ムーア魔法学校(再):壱
明日までに四本投稿、できればいいなぁw
「これでよしっ」
本物のダイヤモンドの涙を環奈ちゃんに飲ませ、地下室を出た。
リビングに戻るとソファに座らせていた瑠璃ちゃんの姿が無い、どこに行ったのか、ときょろきょろと見回していると。
瑠璃ちゃんはソファに横たわって寝ていた。
「年越しまであと四時間か、四人を迎えに行かないとだめだよな」
と、独り言を放っていると携帯に電話が掛かってきた、ぱっと見知ってる番号ではない。
「もしもし」
〔もしもし、美月です〕
電話の相手はバンドグループのメンバーの一人、草月美月ちゃんだった。
「美月ちゃんか、どうかした?」
〔お姉ちゃんがいなくなっちゃったんだけど、マネージャーさん場所知りませんか?〕
「お姉ちゃんて、別グループのバンドグループの沙夜さん?」
〔そうだよ!、さっき喧嘩しちゃって、帰ってこないから心配になって〕
「わかった、探してみるよ」
〔ありがとうマネージャーさん〕
そう言われ電話を切った、沙夜さんを探す事になるとは思わなかったが、こんな時間だし、心配になって電話を掛けてきてもおかしくはないか。
一応都内にある防犯カメラを全部ハッキングして探してみるが、見つけたらすぐに対処出来るように。
エボじゃなく、ハイエースで迎えに行こうと思いハイエースの鍵を取り出した。
車に乗り込みエンジンを掛ける、こちらもGT-Rとエボ同様にルイでの自動操縦ができる。
(注:ルイが方向音痴なので無事にたどり着くかは不明)
「ルイ町中のカメラをハッキングして、草月沙夜って女の子を見つけてくれ」
〔ラジャ、目標の写真を見せて下さい〕
「お前も一度会ったことあるだろ、バンドグループのメンバーの一人だ」
〔ラジャ、その方を探してみます〕
「見つから無かったら板東君使っていいから」
〔ラジャ〕
※
車を走らせ三十分、捕まっていた女の子達を飛ばした会社の医療所に着いた。
ここに来るまでにルイからの報告はなく、見つかっていないのだろう。
「迎えに来てやったぞ~」
「来てやったってなんなのかしらね」
「ほんとは別件があったから迎えに来なくてもよかったんだけど?」
人が気を利かせて迎えに来てあげたのに、千聖ちゃんの態度と言えば、感謝のかの字もないんだから。
「まあまあ、千聖ちゃんせっかく大輝さんが迎えに来てくれたんだから、好意に甘えないと」
「そうね、甘えさせて貰うわ」
「歩いて帰りたいならそれでいいんだけど」
四人と共に車に乗り込むと、いきなりルイが泣き言をつぶやいてきた。
〔マスター、目標の発見が出来ません〕
「板東君使っていいって言ったろ」
〔いえ、使いましたが発見出来ません〕
「は、役に立たないな」
〔面目ございません〕
「血眼になって探せ、見つから無かったら俺が探すわ」
〔ラジャ〕
こういう役に立たない所は誰に似てしまったのだろうか、俺のせいじゃないよね?。
「あなた誰か探してるの?」
「ん、ちょっと仕事仲間が行方不明になっててね」
「そう」
「まあ、多分すぐに見つかるよ」
再び家を目指して三十分、道中雨が降り始め、早く見つけねばと思った。
三階の自室に行きパソコンを点け、世界中どんな所どんな人でも見つけられる、というのがうりの板東栄一朗君を起動した。
カチカチッ、と音を立て目標の写真を設定すると、放置して二分ほどで見つかった。
「んだよ、やっぱりさっさと見つかったじゃねーか」
コートを手に持ち一階までドタドタドタ、と音を立てて急いで降りる。
「見つかったから行ってくる!」
「いってらっしゃい」
見送る四人を背に傘とコートを左腕に持ち、エボに乗り込んだ。
「ルイ、お前あとで覚えとけよ」
〔な、何のことでしょう〕
車を二十分ほど走らせていると、雨宿りしている綺麗な女の子を見つけた。
前と後ろから車が来ていないのを確認し、サイドブレーキを上げ、ブレーキを踏み込む。
キュルキュルキュル、とすごい音を立ててタイヤが横滑りし、車が横に二回転ほどした。
車を停止させ傘とコートを持ち、その先ほどの女の子の元へ走る。
「沙夜さーん!」
「マネージャーさん」
「美月ちゃんから電話で帰ってこないって言われて、よかった見つかって。さ、車に乗ってこんな寒空じゃ風邪引くよ、服も濡れてるし」
沙夜さんの俺からしたら小さな体にコートをかぶせ、傘を手渡した。
服は濡れて半透け状態だし、これは目の保養に、いやいやけしからん。
「年中半袖のYシャツ姿の人には言われたくないです」
「どこでそれを聞いたんだか」
「こんな寒い時期に半袖のYシャツ姿の人なんて、彼方以外見たことがありません」
「そいですか」
「それで美月はなんていってたんですか?」
「沙夜さんと喧嘩していなくなっちゃったんだけど、場所しらないですか?って」
「なんで、彼方に」
「行く当てがないなら寮に来ると思ってたんじゃない?」
「そうかもしれないですね」
「ま、車に乗ってよ、一応今日はうちに泊まって良いから、こんな時間に女の子を一人にもできないからね」
「ありがとうございます」
優しく車までエスコートし、車の中へ入らせた。
運転席に座り、車を出すと携帯が鳴り響いた。
携帯を見ると相手は美月ちゃん、心配になって掛けてきたのだろうか。
携帯を通話出来るようにスピーカーにして、携帯を固定出来る場所に置いた。
〔もしもし?プロデューサーさん?〕
「おう美月ちゃん、どうかした?」
〔お姉ちゃん見つかった?〕
「うん、見つかったけど」
〔あ、私電話するタイミング間違えちゃった?〕
「うん、間違えてるね」
〔やらかしちゃったな~〕
「隣にいるから、話したかったら話していいよ」
〔ううん、大丈夫、また今度電話するね〕
「うん、一応今日は寮に泊めさせるから、ご両親に伝えておいて」
〔うん、わかった〕
電話を切り、横目で沙夜さんを見る。
何というか仲がいいんだなこの姉妹は。
「心配してるみたいだし、今日は家帰ってもいいよ?」
「いえ、今日は泊まらせてもらいます」
「うん、ならいいよ」
※
年が明け電話が入り、国外からの依頼要請が入ったという連絡が来た。
依頼人はフランス、ムーア魔法学校の学長からだった。
二年前突如として消えた、三ヵ国の一つそして俺とミスティが通ってた、魔法学校。




