秘薬を求めて:終
あけましておめでとうございます。
今年も箱丸をよろしくお願いいたします。
今日は投稿が遅れましたが、年越しまで家族ぐるみで飲んで、その家帰ってねたらこの時間になっちゃっただけです、すいません。
糸をたぐり着いた場所、廃墟に近いビルにたどり着いた。
「正面から、さっさとやろう、相手が女だろうが知ったこっちゃ無い」
気がつくと右手が強く握られていた、いつの間にか周囲に電磁波が放たれて、周囲の物が宙に浮いていた。
『死ぬまで守る』その約束だけは、絶対に果たさなくては。
中に入ると、強烈な異臭がした。
薬ではなく、この激臭は、死者の臭い、しかも一人じゃなく複数のしかも大量の。
「俺以外にもここに来た奴がいるのか」
死体のほとんどは銃火器を持っている、全身が切り刻まれ全ての血が体から抜かれていた。
「あら、随分と来るのが早かったのね」
瞬時にMS8を取り出し、正面にあった階段の上に構える。
「いい加減その格好やめたらどうだ?、似ても似つかないぞ?」
「ふふ、そうね」
「四人は無事なんだろうな、それにダイヤモンドの涙も」
「あるわ、でも、ただであげるとは言ってない」
女が右手をスッとあげると、倒れていた死体達が立ち上がった。
ふらふら、とういうより立っているのが不思議。
「どう?私の可愛い人形は」
「どうやら、捕まってるのは四人だけじゃないらしいな」
「そうね、最初は一人もいなかった死者がいまはこんなにいるわ」
囲むように一歩、一歩近づいてくる、ゾンビに向け刀を向ける、鞘から刀を抜こうとしたが。
接着剤で、付けられたように抜けない。
「うそ、抜けない、やばい。え、このタイミングでかよ」
何度脆葉月を抜こうとしても抜けない、理由は分からないが、抜けないとなれば、別の武器を使うしかない。
背中に脆葉月を担ぎ直し、両後ろ腰からカッターのような刃の剣を取り出す。
「うふふ、私の所に来るまで死なないでね」
そう言って奥に進んでいった女を横目に、回りのゾンビに目をやる。
「あんたらに恨みはないが、こちとら大事な女の命が掛かってるんだ本気でやらせて貰う」
一度に飛び掛かってきたゾンビの頭を右腕で切り飛ばし、アンカーをあらかじめ付けて置いた剣を根元から外して飛ばす。
遠くで銃を構えていたゾンビの頭も、一度に横に切った。
くるっと一周して戻ってきた剣が自動でくっつくのをみて、再び腰にしまう、ながさてきには小太刀程度だが、切るには充分だ。
階段を駆け上り、先程女が行った場所に走るとドアを蹴破り中に入った。
「来てやったぞくそあま」
「随分とはやいのね」
「時間がないんださっさとよこせ、じゃないと半殺しじゃ済まさないぞ?」
「怖いわね、でも、そういうのは嫌いじゃないわ」
片足を踏み込み脆葉月の鞘の先で女の腹部を突く、気を失わない程度に。
女の脇に腕を入れ、倒れないように支えた。
「これで俺の勝ちだろう、さっさとダイヤモンドの涙をよこせ、命までは取らない」
「私を舐めない方がいいわよ」
「なめてないよ」
女から刺された刃物を手で抑え、膝で蹴り落とした。
「こんだけ綺麗なら、こんなことしなくても」
「自分が狙われてるって自覚があるのかしら」
「俺の首が欲しいなら、色仕掛けの方が効果があるよ?」
「なら、そうさせてもらうわ」
「え?」
「これが本物のダイヤモンドの涙、彼女達は奥にいるわ」
「随分とよく喋るんだね」
「時間が無いわよ」
「あ、忘れてた」
預かったダイヤモンドの涙をポケットに入れ、奥の部屋へ入る。
中にいたのは案の定、数え切れないような数の女の子たちがいた。
「これは一体」
「大輝さーん!」
見渡したときのんちゃんが走ってきた。
「のんちゃん平気だった?」
「はい、みんな大丈夫ですよ」
「ならよかった」
そう言ってのんちゃん頭をポンポンと軽く叩く。
デバイスを起動させ、人体範囲転送魔法の術式を打ち込んだ。
「んじゃ、ここにいる全員病院に飛ばすから、検査受けといてよろしく」
右腕でトンッと床を叩き、部屋にいた女の子を飛ばした。
「なんでこんなに女の子を集めてたの?」
「老けない薬でもってね」
「ま、そういうことにしといておくよ」
「そういえば自己紹介がまだだったわね、東城瑠璃よよろしく」
「和田大輝、よろしくね瑠璃ちゃん」
瑠璃ちゃんと握手をした、握手をしたときの瑠璃ちゃんの手は、少し冷たかった。




