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インタールード -あなたは今大切な物がありますか?-  作者: 箱丸佑介
第四節:命を賭ける価値のある守りたい物
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秘薬を求めて:弐

「幸せは~歩いて来ない、だ~から歩いて来るんだね~」

上機嫌でセスナを運転しながら歌を(暇なので)歌っているのも束の間。

香港の航空域に入ってしまい、空軍からの落とすぞ!という軽い脅迫を無視していると、後方から戦闘機二つに囲まれた次第である。

〔マスター、バルキリーが二機ほど〕

「いやいや、あれはどうみてもzガン◯ムだろ」

〔いえいえ、あれはメサイアでしょう〕

「いやいやゴーストだろう」

〔いえ、あれはエコジーでしょう〕

「その発想はなかった」

〔マスター、そろそろ撃たれそうですね〕

「ならここからはウィングスーツで飛んでくから、格納庫に戻しといてくれ」

〔ラジャ〕

ドアを開けて外に出る、自慢のウィングスーツで飛んでいける距離だろう、最悪デバイスで飛んでいこう。



「香港か、来るのは初めてだよな」

手近な場所にあったビルの屋上に着地し、義手をいじる。

魔法使用デバイス以外にも、便利な機能がありマップなどを空中に出す機能がある。

中に映像を出す装置自体二年ぶりなのだが、市販されているわけでも、会社で使われているわけでもなかったが。

少しだけ懐かしい気がしなくもない。

マップを出し、目的の展示場を探していると、このビルの一室だということがわかった。

「相変わらず、むだについてるなー俺」

俺以外にも盗もうとしている人間がいるなら、早く行動した方が良いだろうな。

両手と靴底に、ウォールランの道具をつけ、一歩ずつビルの窓を降りていると、下から悲鳴と銃声が聞こえ窓が割れ、四人組が飛んでいった。

窓が割れた部屋に入ると、どうやらここが秘薬のあった部屋らしい。

展示場にあった物は全てかっさらわれ、あるのはショーケースの割れた破片だけ。

「本当に二日くらい掛かりそうだな」

日本との時差は一時間、移動に三時間、帰りはもっと掛かる、タイムリミットは単純計算であと四十五時間。

この展示場自体は二十四時間で公開しているらしいが。

日付が変わって三十日、午前一時、時間はまだまだあっても、最悪の場合も考えて明日の午前中には帰りたい。

「香港の警察はばかばっからしいからな、犯人が捕まるのは宛てにしないで、ちゃっちゃと探すか」

入ってきた窓から飛び出て、窓を走って一階まで降りる。

手っ取り早いのは痕跡の糸を探すことだが、手を合わせた相手ではないことを考えるとそれも難しい。

(注:いつも誰かを探す時も、普通の人間には見えない糸をたどって探しています)

「さっそく詰んだか、さっき出てって行ったときに嗅いだ少しの花の匂い、それをたどって探すか」

鼻をきかせて、四人組が出ていったときに嗅いだ花の匂いをたどることにした。

そもそも無理な話ではあるのだが、やらないよりはましだろう。


少しずつたどっていき、半日掛かってやっと地下水路にたどり着いた、こういう所はチンピラのたまり場くらいにしかならないと思っていたが。

「上手くいったね、あそこまで警備がざるだなんて思わなかったけどね」

「そうでやんすね、防犯カメラもハッキングして停止させたでやんすし、顔バレはないとおもうでやんすよ」

「こんなんでしばらくは遊んで暮らせるんだから、ちょろい街だよな香港て」

「そう、だね」

男女二人組で四人組か、どうせ殺しはなしだ、少しくらい痛い目みてもらうかな。

「面白そうだな、俺も混ぜてくれよ」

「だれだい!?」

「通りすがりの日本人、あんたらに用があってきたんだ」

近づいていくと、急に片方の女から回し蹴りが飛んできた。

それを片腕であしらい、脚を掛けて倒す。

「待て待て、何も殺そうとか警察に差しだそうとか言ってるんじゃないんだから、話くらい聞いてもいいだろ?」

「なにが目的だい?」

「ダイヤモンドの涙」

「ばか言うなでやんす、あれは今日取った中で一番高価なもんでやんすよ」

「金は欲しいだけやる、だからよこせ!。又は力ずくでも奪い取る」

「テトラ、これを持っていきな、あんたはそれ持って逃げるんだいいね」

「う、うん」

女がテトラと呼んだメンバーに袋を渡して、こっちにまた攻撃してくる。

「まてっ」

「行かせないよ、あんたにはやらない」

「そうだぜ、ここから先は俺達を倒していくんだな」

「そうでやんす」

「その言葉に二言はないな?」

ボコッ、ビシッ、ドカッという音を立てて三人を軽くあしらうと、テトラが逃げていった道を走って追いかける。

それから三時間ほど走り回り探しても見つからない、糸を追いかけても見つからないし、よほど逃げ足が速いか隠れ上手かの二択だろう。

後者はあり得ないとはおもうが。

諦めて腹ごしらえにラーメンを食べて再び糸をたどると、

裏路地に入ったところで血生臭い匂いがし始め、少し進むと、テトラと呼ばれていた先ほどの女が倒れていた。

ボロボロになり体中が血とあざだらけ、衰弱して脈が薄い。

「大丈夫か!、しっかりしろ!今助けてやるからな」

衰弱し、体がボロボロの中、テトラが右手を差し伸べてくる。

手を取るとテトラは握っていたボタンを渡してきた。

ふと、テトラをみるともう、意識がなかった、彼女はもうすでに、息を引き取っていた。

「これを使えば、なんとかしてこいつを襲った人間がわかるかもしれないな」

ぎゅっと、そのボタンを握った瞬間後ろから何者かに殴られ、俺は意識を失いその場で倒れた。



目を覚ますとイスに座らされ、両手両足イスに縛り付けられた。

「もう目覚めたのか、君の石頭は私の(銃)より頑丈なようだね」

「お前らか、さっきの女を殺したのは」

「君とは関係のない人間だろう」

「ならなんで俺をここまで連れて来たんだよ」

「君が探しているのはこれだろう?」

ダイヤモンドの形をした親指位のビンとくっついた、宝石を見せられた。

恐らく、秘薬であるダイヤモンドの涙だろう。

「くれって言ったらくれるのか?」

「この薬は希少でね、別の毒薬とセットで売れば高価になる」

「俺は毒じゃなくて、薬が必要なんだよ」

「私から力ずくでも取れば良い」

「ならそうさせてもらう!」

拘束されていた器具を取り外し、男に飛びかかる、が、取り巻きの男に囲まれた。

「生きていたら会いましょう」

「待てっ!」

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