クリスマス編:弎:聖夜の悲劇
二日連続の投稿遅れてすいません!。
今日辺りから年末年始まではまた忙しいので、もっと投稿が遅れる可能性がありますが。
許してくださいませ。
ふぁーっとあくびをし目を覚ますと午前三時半、ベッドから起き上がるとまだひんやりと寒い。
さてと、仕込みでもするか。
階段を下りてリビングに向かう、ぐぅー、となった腹に手を当て冷蔵庫を開ける。
それなりの材料は昨日買ったが、果たしてこの量で全員分足りるだろうか、そもそも、どれくらい食べるかがわからないしなー。
カロリーを抑えて作らないとダメそうだよな、相手は女の子だし。
「よし、フェイク料理でも作ろう」
※
「はい、今日の練習はここまで」
午後六時半になり上手く適当に切り上げさせた、これだけの人数がいて彼氏持ちが一人もいないんだから、不思議ですよね。
「今日はクリスマスイブって事で、隣の部屋借りて親睦会するから!」
メンバー全員を隣の部屋に移動させる(半強制的に)。
一応四十人前の手料理と、軽くお寿司も取り寄せて置いたのだが、これでいいよな。
飲み物も色々と買い10種類近くが置いてある、我ながら完璧な準備!。
「ボス、よく一人でここまで用意できましたね」
「まぁ、寿司以外はだけどな。覚えとけ、俺は不可能を可能にする男だぜ」
ライムと二人で話していると、のんちゃんが別のメンバーと一緒に来た。
「大輝さん」
「おうのんちゃん、あれ後ろにいるのって確か白鳥千聖、ちゃんだよね?」
「そうですよ、私の親友です」
「そうなんだ、よろしくね千聖ちゃん」
「よろしくお願いします」
「それで、どうかした?」
「いえ、特には用はなかったですけど。紹介しておこうと思いまして」
しかし、ほんとに芸能界の女の子ってどうしてこんなに可愛いのだろうか。
カメラ持ってくればよかった。
のんちゃーん、とのんちゃんが遠くから別のメンバーに呼ばれていた。
「あ、私ちょっと行ってきますね」
「いってらっしゃい」
小走りで行ったのんちゃんを見ながら、ぼーっとしていると隣に千聖ちゃんがいたままなのに気がついた。
「あれ、一緒に行かなくていいの?」
「私だって、仲がいいって言ってもいつも一緒にはいませんよ」
「そうですね」
「プロデューサーさんはどうして親睦会をする事にしたんですか?」
「俺との距離はともかくとしても、メンバー同士は仲がいい方がいいでしょ?」
「そうですね」
「まぁ、嫌がる子がいなかったから良かったけど」
言ってないだけで、ほんとはいるかもしれないが。
「千聖ちゃんは?、楽しめてる?」
「ええ、楽しいですよ」
「ならよかった」
しみじみと二人で話していると、もう一人別のメンバーが千聖ちゃんの元へやってきた。
千聖ちゃんはなにやら引き気味の顔をしていたが、気のせいだろうか。
「あっちで一緒に楽しまないか?千聖」
「せっかくだけど遠慮しとくわ、私はもう少しこの人と話していたいの」
「そうか、残念だ」
そう言ってもう一人のメンバーは去って行った、なんか、男っぽいな。
「一緒に行ってくればいいのに」
「大丈夫です、いつもの事なので」
「しっかし意外だね、千聖ちゃん敬語じゃないとあんなしゃべり方なんだ」
「あれが意外ならどんなの想像してたんですか?」
「え、自分のこと名前で呼んでたりしそうだなと。後はおしとやかな口調なのかなと」
「しませんよ、そんなこと」
「俺も敬語じゃなくていいからね?」
「なにか理由でも?」
「いつまでたっても敬語は慣れなくてねー、ほら、同い年とか年上の人に敬語で話されるって気疲れするんだよ」
「なら、私も普通に喋ろうかしら」
「そうそう!、その感じ!」
「変わった人ね」
「よく言われる」
ガールズバンドのメンバーは全員高校一年生、A応G(アニメ応援ガールズ)のメンバーの年はまちまち、一番の年上でも二十代前半、平均年齢は低い。
同い年または年上の人から敬語を使われるのは、いつまでたってもなれるものではないのだ。
※
親睦会が終わりメンバーが解散する事になった。
「んじゃ、ライムは送迎バスで送ってくれ。ついでにのんちゃんも頼むわ」
「ボスはどうするんですか?」
「俺は郊外に住んでる子を送ってくる」
指を指した先にいたのは、千聖ちゃんただ一人。
といっても、ほぼ県境辺りに住んでるので、他のメンバーと一緒に送っていったら、時間が遅くなると思われる為、俺が送りに行くということになった。
車に乗り込みエンジンを掛ける、よくよく考えるとこの車(GT-R)に乗せたのは全員女の子な気がする。
気のせいだろうか。
駐車場を出て一時間半、法定速度二十キロオーバーで飛ばして来たのにも関わらずまだ着かない。
「もうすぐだよね?道間違ってないよね?」
「ええ、あと十分もすれば着くはずよ」
「ならいいんだけど」
前方からサイレンの音が聞こえてくる、他の所からもいくつか聞こえてくる。
「ずいぶんとサイレンが鳴ってるな、火事でもあったのかな」
「めずらしいわね、この辺では火事なんて滅多にないのに」
周りをみると、そもそも家がないんだけど。
「千聖ちゃん、もうすぐ着くって言ったよね」
「言ったわよ?」
「もしかして、火事が起きてるのって千聖ちゃんの家?」
焼ける匂いと煙の匂いが車の窓を開けてなくてもわかる、だんだんとその確信のない発言は現実の物となった。
「うそ」
「うそじゃなさそうだな。ここが千聖ちゃんの家ならだけど」
「間違いないわ、ここは私の家よ」
少し離れた所に停車して周りを見渡す、先ほどから少し殺気のようなものを感じるが。
車から降りた瞬間、黒い影が上から飛んでくる、脆葉月を取り出しはじき返すと影は飛び、姿を現した。
「誰だ!」
「初めまして、和田大輝さん」
「お前は、始末屋の斉藤和哉」
「お互いプロなら察してくれませんか?、私の目的を」
「プロなら命が惜しくて俺に喧嘩売るやつなんていないと思ってたよ」
「私の依頼は彼女の一家の抹殺です、あなたには関係が無いはず」
「この子を殺したいなら俺が相手になってやるが?」
「わかりました、お互いに殺し合いましょうか。もっとも、あの家に火を放ったのは私ではないですがっ・・・」
急に黙ったかと思ったら、和哉の心臓には後ろから刀が刺されていた。
「な、お前、裏切ったな」
「敵ニ情報ヲ、喋リ過ギダ。ソシテ俺ノ目的達成ニハ、オ前ハジャマダ」
「がはっ」
刀を持った男は刀を抜き、和哉の頭を叩き落とした。
「我ガ名ハ、ムサシ今ココデ復讐ヲ果タサセテモラウ」
「復讐?」
「我ガ仲間ノ仇トラセテモラウ」
身に覚えがありすぎて誰のことを言ってるのかはしらないが、先程からの殺気はこいつからの物だったらしい。
俺と同様に車から降りていた千聖ちゃんは、腰を抜かして地面に座り込んでいた。
「千聖ちゃん!、車に乗って!」
返答がない、どうやら聞こえてもいないらしい。
「俺のせいって事か、千聖ちゃんの家族が死んだのは」
「半分ハソウダ、ダガワタシガ手ヲ下サズトモ、彼ラハ殺サレテイタダロウ」
「慰めはいらねぇ、でも、てめぇは許さねぇ」
「オ前デハ私ニハ勝テナイ」
「やってみなけりゃわからないだろ?」
脆葉月を鞘からだし、構えるより先に男に心臓を突き刺された。
そして抜かれ一度斬られた。
「一発でやられると思うなよ!」
俺が脆葉月を振ると、男が縦から刀を振り下ろし、脆葉月は真っ二つになった。
勢いの止まらない刀は、俺の右腕の肘から下も切った。
「言ッタダロウ、オ前デハ私ニハ勝テナイト」
せめて、千聖ちゃんだけでも生かさなくては。
「おい、サムライ野郎、いいもんくれてやるよ」
【光魔法:シャイニングブラスト】
左手から閃光が放たれる、一瞬だけの閃光だが、目眩ましにはなる。
閃光手榴弾でもいいかと一瞬思ったが、バレると効果がなくなりそうなのでやめた。
男が眩んでるうちに走って左手で千聖ちゃんを担ぎ、家にワープした。
痛みのせいで位置調整をミスったのか、高さ十メートルくらいの位置から落下した。
「いってぇ」
千聖ちゃんは気を失っているようだが、なんとか家の中まで入れないといけないだろう。
地を這い千聖ちゃんを引きずりながら運んでいると、タイミングよくライムとのんちゃんが帰ってきた。
「助かったか」
「ボス大丈夫ですか!?」
「大丈夫だ、千聖ちゃんを家の中に、のんちゃん一緒に家の中にいてくれ。ライム、俺をルカの所まで運んでくれ、いけばあいつがなんとかしてくれる」
ライムの手に折れた脆葉月の刀身と柄を渡す、完全に戦うすべがなくなった。
しかし今は、自分と千聖ちゃんが生きてるだけでもいいとしよう、どんな報いでも受ける。
でも、その代わりに、千聖ちゃんにも生きてもらわなければ。




