これまでのあらすじ
■ここまでのあらすじ
装着者に異能を発揮させる〈異物〉。その対策班に配属された久我には、大きな目的があった。不意な事件で余命一年とされてしまった愛娘を救うための、医療型の異物を探すこと。彼はパートナーの柚木と共に様々な異物関連事件を追いはじめたが、それはこれまで秘匿されていた異物の存在に注目が集まることにも繋がってしまった。
異物の軍事利用を企むクォンタム社。異物の密輸で儲けていた指定暴力団、最上組。更に新興のマフィアであるマックスは、自らの父を殺された復讐のため、異物の力を利用して最上組を潰そうとする。加えて久我の元妻・涼夏は、異物の秘密を探る謎の男・八木と手を組み、独自で医療型異物を探ろうとし始めていた。
事態は混沌としつつある。そうした中で久我は、異物の謎を一番知るであろう、パートナーの柚木に注目していた。久我は柚木の元交際相手である織原の存在を知ると、二人の間に何があったのか調べ始める。時は刻々と過ぎ、久我の娘・京香の危機が、あと半年先に迫っていた。
■これまでの登場人物および組織、用語
久我 多目的型の異物、イルカを持つ。元工兵。災害予防局異物捜査班。
柚木 情報戦用の異物、スリーを持つ。久我の上司でありパートナー。
蝋山 災害予防局保安部主任。元歩兵。
古海 災害予防局調査部主任。元検事。
天羽 災害予防局の元局長。柚木の研究員時代の先輩。
織原 柚木の元交際相手。ジャズピアニスト。故人。
涼夏 久我の元妻。自らを透明化するカメレオン装置を持つ。八木のパートナー。
京香 久我の娘。異物により余命一年とされる。
八木 異物を追う功利的な男。自らを分裂させる力を持つ。
八重樫 八木のコピー体の一つ。事故で死亡。
磯上 偵察型異物カメレオンのドライバー。予防局に確保された後、行方不明。
海坊主 ジョン・山下。近距離型異物のドライバー。予防局に確保された後、行方不明。
マックス 転位能力を持つ。殺された指定暴力団最上組前会長、印南の娘。
赤星 マックスの腹心。多目的型の異物を持つ。
室井 最上組の現会長。
災害予防局
〈エグゾア〉対策のため、十年前に天羽により創設される。天羽はクォンタム社と手を組み、確保したドライバーの能力のコピーを行おうと人体実験を行っていたらしい。局長職はその後、柚木に引き継がれる。
八木の組織
八体の八木のコピー+涼夏からなると思われる。八木の目的はインターセクションの探索にあるという。八木はその鍵と云われる、シャードを手にしている。
クォンタム社
国内最大の軍事企業。異物能力のコピーを目指し、人体実験の末にカメレオン装置を完成させる。その目論見は久我と涼夏に暴かれ、現在経営危機にある。
マックスの組織
新興マフィア。彼らは異物の力をかなり把握しているらしいが、その謎については興味がなく、目的はあくまで最上組の壊滅にあるらしい。しかしマックスの瞳には、エグゾアの謎を解く鍵と云われる、シャードが宿っている。
エグゾア
十年前から発生し始めた、直径数十メートルから数キロの球状に空間がえぐり取られる現象。地球上で年に千件ほど発生が確認されており、その前兆として重力異常が観測される。エグゾアの痕跡には、溶鉱炉から出る滓、スラグとよく似た性質の残骸に覆われている。
異物
エグゾアの痕跡から発見される物体の総称。
ウェアラブル・デバイス
異物の一つ。通常、歪んだ金属にレンズ状の物体が埋め込まれた形状をしている。何らかの意図により、自らの性能に適合する人物に融合する。その能力は主に戦闘用らしく、近距離型、中距離型、狙撃型、偵察型、多目的型、情報戦型、後方支援型、医療型などが確認されている。エネルギー源は〈情報〉。
シャード
異物の一つ。インターセクションへ至る鍵だという。シャードと融合した人物の一人は、瞬間移動の能力を身につけた。
インターセクション
八木によれば、〈エグゾアの謎のすべてがある場所〉。
エグゾア文明
異物を作った存在による文明。酷く荒廃した世界らしい。