もう少し話すことあると思うけど、アスカなことしか話していない
修三「やっぱアスカは良いなあ」
陽介「本当に君はアスカが好きだな」
「他に良いと思うのはエマ中尉、エル、カレン」
「みんな似たようなタイプだな。君の好みが良くわかるよ」
「そういえばそうだな。元気いっぱいで明るくて、それから可愛い子が好きらしい。ついでに誇り高くて、健気さがあるとさらに良い」
「なるほど。ま、現実では無理だな」
「やっぱそうかなあ」
「無理無理無理無理無理無理ィッ!」
「なら君は?君のアニメのチョイスから察するに・・・だいたい清楚なお嬢さんが好きだよね」
「カスが」
「昔はレイが1番だったけど今はどうかな」
「さあな」
「じゃあレイとアスカならどっちが好き?」
「レイだな」
「っしゃあ!ならレイとエウ○カは?」
「レイだな」
「っしゃあ!ならレイとコバ○は?ぶあっはっはっは!」
「カスが!」
「レイだよね。ではでは、レイとモーレツパイレ○ツのあの女子高生海賊は?」
「それ答える必要あるの?」
「答えてくれると俺が嬉しい」
「あっはっはっは、カスが!」
「ふう、最近ネネ(顔も知らないテツヤの妹)は何やってるんだろうねえ。まだ京都にいるの?」
「さあ?」
「会えるといいね」
「何が?」
「またまた、好きなくせに♪てっちゃんの義兄弟になりたいくせに♪」
「ぶあっはっはっはっはっはっは!語感が汚すぎるよ君!君ほどのゲスは見たことがない!死ねばいいのにカス野郎!」
「ダダッダッダッダッダッガシ!お兄さん!お兄さんのためなら死ねる!」
「あはは、死ねんよゲス野郎」
「てっちゃんも、お嬢様とお近づきになるために乗馬クラブ通ってたのに。結局残念だったね」
「ま、動機が最初から不純だったからな、仕方ないよ」
「30万の鞍を買ったっていうのにね。ちなみにネットオークションでは10万前後で売っていたけど」
「ボラれたと?」
「もしかしたら多分、いやしかしそんな馬鹿なことって、ずっきゅーん!」
「無駄にテンション高いな」
「はっはっはっは、君とネネの将来を祝ってね」
「無駄ァッ!」
「さて、そろそろ行くか」
「うん、行こう。良い天気になりそうだな」
日の出から十数分、山肌は鮮やかに染め上げられて、雲海の向こうの太陽の輪郭が温かく緩んでいる。修三は登山靴の紐を結び終えた。この後の長時間登坂を考慮してきつめにしておく。陽介も遅れて準備を整え立ち上がる。富士山8合目。御殿場登山道。7月下旬でもこの時間は冷え込みが厳しい。山小屋で出してくれる高価なココア(中身は普通)は本気で美味かった。振り仰げば星がまだ残る中に頂上まで続く道が果てしない。修三は登山慣れしているので体力にはまだ余裕がある。あまりやらない陽介は既に苦しそうだ。しかし時間はある。天候にも不安はない。ゆっくり行けばいい。休みながら行けばいい。馬鹿話をしながら行けばいい。
しばらく歩くと母娘の二人組に追いついた。追いついて黙々と歩き、やがて我慢比べの様相を呈してくる。
「どうしてこんな気でも狂ったように歩くのかな」
「止まったら死ぬんじゃない?」
「つまりマグロだと」
「まあそうじゃない」