序詩3:罪と罰の螺旋
誰もいない世界で
あの頃の少女を待つ
木彫りの人形
誰もいない世界で
それでもうたい続ける
ブリキの人形
時が紡ぐ
螺旋階段の先に
僕を呼ぶ声が聞こえる
罪を償い
罰を耐え
報いを受ける
時は去っていく
木彫りの人形は
少女の夢を見ながら
安らかな眠りについた
ブリキの人形は
もう自分の不幸に
目を向けなくて済んだ
僕が目の前で今
捨ててしまったのは
実は人形などではなく
過去の自分の記憶だった
木彫りの人形は
僕の罪
ブリキの人形は
僕の罰
時が紡ぐ
螺旋階段の先に
僕を呼ぶ声が聞こえる
罪と罰の螺旋
僕は最後に
一度だけ振り返ったが
もうそこには無かった
もう何も無かった
罪を償い
罰を耐え
報いを受ける
時は去っていった
時が紡ぐ
螺旋階段の先の
扉へ向けて僕は
階段を上ってゆく
失われた世界の彼方で
去り行く時間の彼方で
美しいまま残したかった
記憶が壊れて消えていく
何も無い世界
誰もいない世界
罪と罰の螺旋の世界
僕はもう振り返らなかった
儚く燃え尽きて壊れ
消えていく記憶を背に
新たな扉へ向けて僕は
崩れる階段を上ってゆく
無知だけど
無垢だった
あの頃の僕に別れを告げて
Destination Station of a Dream
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