序詩1:想いは流れる
一人の少年が
誰もいなくなった世界で
今もずっと立ち続けています
遠い昔で遠い未来の出来事
女の子が木彫りで
人形を造りました
かわいい男の子の人形です
彼女はその人形に
名前を与えて
大切にしました
ご飯を食べるときも
夜になって眠るときも
朝目覚めるときも
二人はいつでも一緒でした
毎日一緒に遊びました
笑うときも泣くときも
片時も離れません
彼女はその人形に
色々な事を教えました
男の子は熱心に聞いて
一生懸命覚えました
やがて彼女は
美しい女性に
成長しました
男の子は木で出来た
体の人形だったので
子供のままで彼女を
ずっと見ていました
時は流れ
想いも流れ
そして彼女はついに
人生の最後を迎えます
幼い頃には知らず
今になって初めて
気が付いた事が
彼女にはありました
でもそれを彼女は
人形の男の子には
とうとう教えなかったのです
遠い昔で遠い未来の出来事
女の子が木彫りで
人形を造りました
かわいい男の子の人形です
でも男の子はついに
教えてもらえませんでした
やがて彼女は亡くなって
もう家には誰もいません
彼女は自分の
悲しい気持ちを
男の子に感じて
もらいたくなくて
死について教えなかったのです
一人の少年が
誰もいなくなった世界で
今もずっと待ち続けています
今もずっと
Destination Station of a Dream
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