1話②
「その先を右に曲がってください」
「左に行ったら?」
「射殺します。」
「…」
黙って山田とやらの声に従い、俺は部屋を出て歩いていた。相変わらず、あの部屋と雰囲気は変わらず、といったところであった。近未来的なそれは、相変わらず俺を戸惑わせたが、それよか自分の体に起こったことの方が戸惑わされた。
「この先の突き当たり左の、奥の部屋に向かってください。」
「へいへい。」
声も女の声に変わっていた。愛着の湧いた低いちょいハスキーな声は、少し低めの女性の声に変わっていた。
「あーそれです。その白いドア。」
「どれも白いだろ。」
キィ…と金属音がした後、開けた場所に出た。
何千…いや、何万人いるのだろうか。そこはとてつもなく広く、人が充満していた。
「ここは、人類の住むところです。」
「どういうことだ?」
「今、人類は滅亡の危機に瀕しております。」
…は?
突然の滅亡という非現実的な単語に途端に汗が吹き出す。
「ここにいる人間が、すべての人類です。」
「…他は全員死んだのか。」
「いえいえ。生きてますよ。」
間が置かれて、信じられない言葉が聞こえてきた。
人間の大半は、怪物となりました。