説明が終わりました。
五話目です。
熱が出てしまいとてもしんどいです。
どうぞ・・・
青々とした美しい緑が広がる草原――。
『マルタイの草原』
その昔5千という魔物の大群に対し、たった10人の戦士で立ち向かった英雄『マルタイ』の名が付けられた誰もが知る草原である。
当時なんと呼ばれていたかは資料の喪失により解らない草原だが、この草原で魔物を殲滅したマルタイ達の功績を称え、隊長であったマルタイの名を冠する様になったらしい……。
補足ではあるが当時のマルタイの部隊は『マルタイ十勇士』と呼ばれる様になり、英雄譚には必ず登場する程のビックネームである。
今では当時の激闘の後も無く、どこか長閑で牧歌的なイメージすらあるこの草原で、
一人の女が大量の紙の束をもって何も無い空間に相槌を打っていた……。
どこからどう見ても頭のおかしい女であるが、その顔はとても整っており、むしゃぶり付きたくなるような素晴らしい肢体をくねらせる様はどんな聖人君子でもノックアウトであろう。――――主に性的な方面で……。
その素晴らしい身体の持ち主『カーラ・グライス』は一人静かに頷き続けている。
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『それでは次の説明に移りますね☆』
語尾に☆マークでも付いているんじゃないかというぐらい明るいテンションで、『俺』の頭に響く声『サイコ・ウシン』が告げた。
(てか実際☆マーク付いてるだろ!? それと何だあのマルタイに対する説明!? いるのか!?)
『は~い、モノローグに突っ込まないで下さい。
次は世界についてですね。資料の12ページをご覧下さい。』
(いや、でもいらn『ご覧くださ~い☆』 ……はい)
『俺』は静かに頷き大量の紙の束から12と書かれた一枚を取り出した。
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――世界設定――
クラン大陸 :
トランプのダイヤのマークを少し崩したような形の大陸。
【唯一神『クラン』が作り上げた】と伝承などには記載されている。
大陸の中心にオークラン王国があり、西にはマルタイの草原が大きく広がる自然豊かな土地である。
北には『エルクラン帝国』、東には亜人の国『ミルクラン王国』の二大国が居を構え、南にはドラゴンが住むとされる『クランリード山脈』が雄大に腰を降ろし、見るものを圧倒する。
マルタイの草原を越えると魔人達の集落が点在する通称『魔人の園』がある。
ファンタジー世界にありがちな国家間の戦争などはほぼ無く、互いに協力しあい魔物の大侵攻に備えている。
いたって平和な世界である。
オークラン王国 :
大陸で初めて冒険者ギルドを設立し、冒険者の地位向上を目指した元貴族にして冒険者『カイル・オークラン』が収める大陸最大の国。
国王は世襲制ではなく、国王に相応しいとされる人物を法具『クランの導き』が選定している。
国王が存命中でも相応しくないと法具に判断された場合は国王の交代もありえる。
国王自らが元冒険者であり、冒険者ギルド発祥の地として冒険者の数が多い。
大陸間の交易の中心地として大いに発展している。
通貨、言語などは大陸共通のものを使う。
宗教は唯一神『クラン』を奉ずる『クラン教』
二大国 :
『エルクラン帝国』と『ミルクラン王国』を指す。
基本的に仲の良いクラン大陸の国の中で特別に仲の良い国。
エルクラン帝国は魔法技術、科学技術共に高い水準をほこっており、魔導具なども作られている。
ミルクラン王国との交易により豊かな自然の恵みを数多く受け取っている。
ミルクラン王国はエルクラン帝国の高い技術力を受け、自然の保護などに力を入れている。
しかしミルクラン王国は亜人しか住むことが許されていないため人とのハーフは全て他国に行かなければならない。(入国の規制がされているわけではないので商売などは出来る)
また、唯一ハイエルフ族だけはその高いプライドからか他国との共存に強い拒否感を顕わにしている。
魔人の園 :
魔人達の集落の総称。
魔人には国や国王といった感覚が無く誰でもフランクに付き合うものが多い。
長老と呼ばれる者を筆頭に20~100人規模で生活をしている。
しかし、長老の決められ方や集落のまとまり方などの決まりごとは詳細不明。
高い知能と魔力を持つが、魔物と同一視されることもしばしばあるので基本は園から出ることは無い。
(伝承などでは魔王は魔人の中から生まれたとされている)
クランリード :
ドラゴンの生息地。
他の魔物もワンランク強いものばかり。
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(……以外にありがちな設定だな)
『まぁ冒険のできる世界を作ろうとした結果ですよ♪……私、人の争いのドロドロした感じ嫌いですし……』
「なるほどだから平和な世界なのか。――それよりも続きは?」
『あッ! はい次は大陸共通の事項です』
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クラン教 :
唯一神『クラン』を奉ずる宗教。クラン大陸において90%近くの人が入信している。
「全ては『クラン』神の元に!!」を教義に掲げている。
地名にクランの名が多く見受けられるのもクランが世界を作ったとされているから。
唯一神『クラン』 :
最高神が送り込んだ地上偵察部隊の天使。偵察が目的なので加護を与えたりなどはしない。
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(クラン入りこんでるなぁ~。ほぼクランの独壇場じゃね?)
『いや~ビックリしましたよ私も。偵察に出した天使が
まさか『唯一神クラン』なんて呼ばれているなんて♪(笑)』
(……というか、マジクランすげぇな。入信率90%の宗教って何だよ!?)
『本人は私を差し置いて『唯一神』と呼ばれていることに大変恐縮しているみたいで……』
『――今も私の目の前で入射角45度ジャンピング土下座をかましてますからねぇ……』
(そうか……。大変だな中間管理職天使『クラン』は……)
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クラン語 :
大陸のどこでも使用できる共通言語。
国により少し訛りが違うがあまり気になるようなものでもない。
文字はぶっちゃけアルファベットを90度回転させただけであり、
ローマ字記入で言葉を作っていく。文法は日本語と変わりない。
主人公には知識がインプット済み。
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(なんだ、このインプット『済み』ってのは!? いつの間に入れたんだ!?)
『あッそれは【ご都合主義】です。これからの生活が困らない様に私からの配慮です』
「あ、ども、ありがとうございます」
『いえいえ、それでは次に硬貨について説明します。これは実物をみてもらったほうが早いですね。
じゃあまず一番小さい硬貨から……』
(……ん? 硬貨? 実物?)
「まて、実物は貰ってないぞ?」
『……あれ? 送ってませんでしたk…………、送ってませんでしたねぇ……。
今送ります。少々お待ち下さい』
(また、長時間待ちか……)
今、送りますと聞いてまたFAXと同じように時間がかかるのだろうと思った俺は、心の中で嘆いた。
が、
『…………はい。送りました』
(? あれ? えらく早いな? リダイヤル? まぁ良いか……。――また、FAXみたいに空間割れるのかな? 楽しみだ)
……。
――ワクワク。
………………ィ。
――ワクワク。
…………ィィィ。
――ワクw……?
――キィィィィィン!!! ――――――チュドォォォォォォォォン!!!!!!
「のわ!!!」
ジェット機などが音速を超えて飛行する際に発するであろう高音と
それとともに飛来した何かが地面との衝突により生んだ爆裂音が俺の身体を叩いた。
「なんだ!!?」
もうもうと立ち込める土煙の中、俺は飛来してきた物体に目を凝らした。
(……金貨? いや、他にも銀貨や銅貨もあるぞ!?)
多分ウシンの言ったいた実物だろう硬貨が約50cmほどのクレータを作りそこにあった。
(いやいやいや!? あの音にしたらこのクレータは小さ過ぎるだろ!! ――って言うより……)
「あぶねぇだろうがウシン!!! FAXみたいに優しく送れよ!!!」
カーラが怒鳴るのは仕方ないだったのであろう。
『だってぇ~、FAXみたいにぃ~空間跳躍でぇ~送ろうとするとぉ~、座標のぉ~指定とかぁ~すごく面倒くさくてぇ~』
(ウゼェ、果てしなくウザイ喋り方だ。この場にいたらあの金髪全て毟り取ってるところだ!)
『――ごめんなさい。自分でも少しウザかったです……。まぁ今回は時間もなかったので全力投球させて頂きました』
「……え!? あれ投げたの?! 膂力ドンだけだよ!」
『まぁ暇つぶしに『こ○亀』全巻を2時間で読破するようなだらけた生活を送っていても最高神ですから☆。
高々49825億光年程度の距離なら六畳部屋の端から端にボールを投げるよりも簡単なものですよ』
『――――――では、説明を続けますね』
(……まて、光年って光が進む速さで一年かかる距離のことだろう? 数秒で着たぞこの硬貨!? ……てか『こ○亀』を2時間で読破って速読レベルじゃねーだろ!?)
『この硬貨はくr……』
やっぱり説明モードのウシンには何を言ってもダメでした……(泣)
(やっぱイジメだろコレ……)
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クラン硬貨 :
金貨、銀貨、銅貨の三種類からなる。
1金貨=100銀貨であり。1銀貨=100銅貨である。
日本円に直すといくらという換算はきかない。
やはりというか硬貨の表面にはクラン神が描かれている。
なぜかは不明だが魔物を倒すと手に入れることが出来る。
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『こんなところでしょうか……あら?』
シクシク、メソメソ。
『何泣いてるんですか? とりあえず説明は終わりましたよ? これから異世界生活ですよ?』
「――お前が無視するからじゃろがい!!!」
大声だしてスッキリした。
うん、メソメソしてるなんて俺らしくないな。
『にょわ! 急に大声出さないで下さいよ!!! ――それよりこの説明が終わったら私はもう引っ込みますから』
(えっ? お別れなのか?)
いきなりのお別れ発言、少しでも一緒にいた時間があるので何となく寂しくなった。
『まぁ元々私はあまり現世に干渉してはいけないのですよ……。――まぁクランを通じて世界は見ていますのでコレからの人生楽しんでください』
「そうかなら仕方ないな、せいぜいこれからの人生楽しんでいくさ」
『はいそれではさようなら~』
その言葉を最後に聞こえなくなったウシンの声に少しの寂しさを覚えながら、俺は王都に向けて歩き始めた。
こうして長くて短いウシンとの付き合いも終わり、カーラとしての人生が始まったのである。
「――やっぱり女らしく私といったほうが良いのだろうか?――この紙の束はどうしよう……」
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『ふ~説明も終わりましたし後は時々覗いてみれば良いでしょう』
『――……あれ? 天ちゃん? どうしたんですか? そんな良い笑顔で……!?』
――その日、神殿に響き渡る神の懇願の声は天使全員を震い上がらせたという。
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ウシンからのFAX下部空白欄
――神の裏設定集――(カーラたちには見えていません。――そう言う仕様です)
国王を元貴族にしたのは、【貴族は平民より優れた能力がある】という裏設定があります。
具体的には【力が強くなり易い】【魔力が高くなり易い】などです。
コレは貴族という称号がステータスUPの補助をしていると考えて下さい。
さらに一応ですがロープレの世界観がありますのでレベルUPなどもあります。
主軸はロープレですので。
硬貨の説明で日本円への換算は出来ないとしていますが、
ぶっちゃけ物の値段をいちいち調べて当てはめるのがめんどくさかったからです。(笑)
お分かりいただけただろうか。
ウシン最終回のお知らせです。
次話もよろしくお願いします。
無双しないとか言ってたけどちょっとはさせますので、
戦闘描写なんてしたことないので不安ですが近いうちにさせます。
それでは。