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チートだけど宿屋はじめました。  作者: nyonnyon
第五章:宿での出会いは一期一会編
33/61

登場!? 女神の元彼 その1 最終話

どうも、作者です。


元彼最終話です。


色々詰め込みました。


では、どうぞ。

 目視できる範囲に近づいたカイルが走り出してきた。 え~と、こいつの説明をどうしようか?


「ねぇ、私達は兄弟ってことにしようと思うんだけど、それでいいかな?」


 とりあえず提案してみる私。


「かまわないよ。 君と兄弟なんて少し面白そうだしね」


 意外とすんなり受け入れられた。 まぁ面白いこと好きのこいつならこれぐらいはやってくれるとは思っていたが……。


「きぃぃぃぃぃさぁぁぁぁぁまぁぁぁぁぁ」


 ドップラー効果を撒き散らしながら疾走してくるカイル。


「そこになおれぇぇぇぇぇい」


 駆け込んできた勢いそのままに、隣に立つ即席兄弟に殴りかかるカイル。 その拳は届くことはなく虚しく空をきった。

 身体ごとよけられたカイルは、私達の後ろにあった石にぶつかりながらも軌道を修正し、再度殴りかかる。 その敏捷さは圧巻の一言で今度こそ避けることは出来ないだろう。


 が……。








--むにゅん








「え……?」

「……」

「あれ? えっ?」


 避けられぬように胸倉を掴もうと伸ばされたカイルの手は、違うものを掴んでしまったようだ。


「カーラ……、この場合は悲鳴をあげた方が面白いと思う?」

「は……? おぇ?」

「まあ、多少は面白いことになるんじゃないかしら?」

「えっと……、ちょっとm」

「そう、じゃあ、…………きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!(笑)」


 大絶叫をかます女。 カイルは訳が分からず掴んだ手を離すことも出来ていない。



 ……おい、いいかげん離さないとただの変態だぞ?



 その後、追いついてきた三人に変態を見るような目でずっと見続けられるカイルの姿があった。



----



「姉!!!!?」

「そう、私の姉よ彼女は」


 そう返した私の言葉にここに来ていた全員は驚いたような声を上げた。 まぁ姉がいるなんて話は今作った即席だし、私でも驚くだろう。 それにこいつは……。


「始めましてでいいでしょうね、私は"『ウシン』"、世界中を飛び回っているから中々会う機会がないかも知れないわね、いつも妹がお世話になっているわ」


 そう、あのウシンなのだ。

 いつものちゃらんぽらんな喋り方を改め、真面目に喋るウシンには何処となく神の威厳が漂っていた。


「貴方がカイルね。 いつもカーラから聞いてるわ。 国王なのに毎日ご飯を食べに来て暇そうだって……、まぁいつもご飯を美味しそうに食べてくれるのは嬉しいけどってね♪

 それに……、


 急に人の胸を鷲掴みにするような剛毅な人だってことも分かったしね♪」


 ちょっとおどけた感じで言った瞬間、神の威厳はどこかへ消え去った。


「いや、あれは不可抗力で……」

「あんなに強くつかまれたことなんて今までなかったわ……。 もう少し優しく扱わないと女の子には嫌われてしまうわよ?」

「いや、だからあれは……」


 カイルをいじっていくウシン。 国王相手にここまでいじりにいける人物も珍しいのではないだろうか?


 まあウシンはこの世界の人間ではないし、ましてや人ですらないがな……。


「あの~カーラちゃん、ちょっといい? 家の亭主の話だと、確か元彼に会いに来てるんじゃ?」

「え? 元彼? 元彼ではないですが男性には会いに来てますね」

「その男の人って言うのは……」


 何処? とでもいいたげなリリカを制すように先ほどカイルがぶつかった石を指差す私。


「あれです」

「? 石?」

「正確にはあれの下ですね。 今はもう生きていないんですよ」



 ――その場になんともいえない空気が流れた。



「えっと、ごめんなさい。 変なこと聞いちゃったわね」

「別にいいですよ」

「えと、じゃあ何でここに来てるの?」

「あぁそれは、……この人は私の原点であり、私達姉妹を結びつけるきっかけになってくれた人なんです。 仲悪かったんですよ、私達姉妹は……」


 リリカからの質問に即席だが話を組み立てていく私。 そこにカイルいじりを終えたのか、ウシンが援護射撃に入ってくれた。


「彼は私の元彼でね、妹と上手く行ってないことを相談したら『俺に任せとけって』って言ってくれて……。 妹とはそこから関係が修復できたと言うか、スタートしたと言うか」


 ウシンの説明はどこか不思議な説得力があり、リリカはほとんど疑問を挿むことなく納得してしまったようだ。


 てか、こんなところで最高神パワーを使うなよ……。


「だから、彼、『リュータ』の命日とカーラの誕生日が重なったときはどうしようかと思ったわ……。 私だってすぐに立ち直れるわけじゃないから最初の頃はつらくて……。 でも、カーラが『毎年ここで誕生パーティをすればお義兄さんも喜んでくれる』って言ってくれたから必ず毎年きてるのよ」


 少し涙ぐんだような仕草を見せるウシン。

 こいつ、演技が無茶苦茶上手い。


 即席で作ったわりには意外に深い話になってしまった。 リリカの頬には一筋の涙のあとまである。


 すまない! 超即席作り話なんです。 そんな設定はないから。


「そうだったのか……。 うおぉぉぉぉぉぉ! カーラァァァァァ、すまないぃぃぃぃぃぃぃ」


 カイルは大号泣だった。 ちょっとうっとおしい。


「はいはい、カイル……、泣かない泣かない。 ……っともういい時間ね、そろそろ帰るわ」


 説明うんぬんかんぬんで意外に時間が経っていたようだ。 そろそろ帰らないと日が暮れる前に王都につけなくなってしまう。


「そうね、私もそろそろ行くわ。 また来年会いましょう。 それじゃ☆」


 バビュン! と音を残し遥か遠くまで飛んでいくウシン。 そんなウシンの人間離れした行動に私は内心ひやひやものだったが、皆には(カーラのお姉さんだからなぁ)と言った非常に不名誉な納得のされ方をしてしまった。



----



 王都への帰りの道中で急にカイルが話しだした。


「ふぅ、別に昔の男を一途に思っていたわけじゃないのか……」

「だから……、ディックにも言ったと思うけど、別に一途とかじゃないわよ。 それよりカイル、こんな時間まで遊び歩いて、政務はどうしたの?」

「政務は今日、休みになったんだよ。 それよりもよかったぁ~。 よし、カーラ、結婚しよう」


 いつもより真剣な面持ちで話しかけてきたカイル。

 まぁ私の答えは決まっているが。


「休み? そうなの? 意外ね。 それと人の姉の胸をいきなり鷲掴みにする人と結婚は出来ないわね」

「……だから、あれは不可抗力だと何度も言ってるじゃないか。


 ――はぁやっぱり今回もダメだったか……。 今日はバカップルがいるからいけるかと思ったんだが」


 魔物を葬り去りながら後ろを振り返るカイル。 そこには親子三人で手をつなぎながら笑顔で歩く夫婦と娘の姿があった。



----



 後日、ウシンから届いた手紙には《あの即席設定をカーラちゃんの人物設定として採用したから☆》と言った内容が書かれていた。

はい。


詰め込みました。

まさにグダグダです。

申し訳ない。


次回はちゃんと宿に来た客目線で話を書きますので……。


では、次話で。


3/25 ケータイでの変換に対応させてみました。

東海青龍王敖広様 ちゃんと表示されておりますでしょうか?

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