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チートだけど宿屋はじめました。  作者: nyonnyon
第五章:宿での出会いは一期一会編
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登場!? 女神の元彼 その1 第2話

どうも。

作者です。

話が上手くまとまらず更新が遅くなってしまいました。

では、前話の続きです。

『誠に勝手で申し訳ございませんが、本日は店主の都合により休業いたします。

 宿にお立ち寄りくださいました皆様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、どうぞご理解いただきますようよろしくお願いいたします。

                               店主 カーラ・グライス』


「……って、何じゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 今日は謁見もなく時間が空いたので少しカーラをビックリさせてやろうかと朝から宿までやってきたのだが、宿の前に貼られた紙に逆に驚かされてしまった。


「あれ!? 嘘だろ!? 聞いてないぞ、そんな話!?」


 伝え忘れか? と思いながら事の真相を確かめるために一路ギルドを目指した。



----



「リリカァァァァァァァ!!!!! いるなら出てこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉい!!!!」


 ギルド内に私の名を呼ぶ普段は聞きなれない男の声が響き渡った。


 大声を出した男に一瞥をくれた冒険者達は皆驚きの余り彫像のように固まっている。


「これはこれは国王様、今日はどういったご用件でしょうか」


 冒険者達が皆固まってしまうほどの男、国王カイル・オークランに私たちがよく知る男が歩み寄った。

 見上げんばかりの長身、鋼のごとく全身を覆う鍛え上げられた筋肉、傷だらけの顔はそのすさまじいまでの人生を物語るかのようだ。 傷だらけの顔の奥には優しげな眼差しを潜めている。

 筋骨隆々の身体をスーツの中に窮屈そうに押し込め、そのスーツとあわせたのか様な蝶ネクタイが妙にかわいらしくマッチし、厳つい外見にかわいらしさを持たせているのかも知れない。 子供なら見てしまうだけで泣き出しそうなほど厳つい顔をしているのに、逆に子供達には人気があるくらいだ。


 そんな厳つさの中にも優しさを感じさせるその男こそギルドマスターの『ピオネール・ルーメン』である。


「おぉ、ピオ! リリカはいるか!?」

「そんなに大声を出さなくても聞こえていると思いますよ、……ほら其処に」

「国王様うるさいですよ、アイカがビックリして固まっちゃったじゃないですか」


 私は驚いて固まったアイカを抱いたまま国王様に歩み寄った。


「む? そうかすまんな。 アイカよすまなかったな」


 ぽふぽふと国王様がアイカを撫でる。 驚き固まっていたアイカは国王様に触れられたことにより再起動を果たした。


「……! むぅ~こくお~。 びっくりだよ~」


 再起動を果たしたアイカが脹れている。 ぷにぷにのほっぺいっぱいに空気を溜めて怒っていることを表しているがなんだかほほえましい。


「すまんすまん、そう怒るな。 可愛い顔が台無しだぞ? それにアイカに嫌われたら俺も立場がない」


 何とかアイカの機嫌を取ろうとする国王の姿は冒険者達の緊張を幾分か和らげたようだ。


「それで? 国王様はどうしてこんな朝早くからこちらに?」

「おぉ! そうだった! カーラは何処に行ったんだ!? 宿が閉まっていたんだ」


 ん? カーラちゃんが何処に行ったかって? 確か昨日国王様も一緒に聞いてなかったっけ?


「昨日言ってませんでしたっけ? 明日は行くところがあるから宿は定休日にするって。」


 確か言っていたはずだ。 え~と……。



--


『明日なのだけれど……、まぁそこら中に張り紙をしているし、分かるわよね?』

『ん? なにがだ?』

『はぁぁ。 明日は行くところがあるから朝から宿を閉めているから』

『そうか、わかった。 ――ガツガツ――』

『はぁぁ。 リリカ、そう言う事だから』

『はいよ、うちの旦那からも聞いてるしね』

『そう、じゃあお願いね。 宿の前には一応張り紙をしておくわ』


--



 うん。 言ってる。 誰がどう聞いても言ってる。


「いや、聞いてないぞ? 本当に言っていたのか?」

「言ってましたね。 国王様が生返事を返すからですよ」

「む? そうだったか? で何処にいるんだ? カーラが宿を閉めるなんてよっぽどだと思うが……」

「あれ? 知らないんですか?」

「……どういうことだ?」


 よく解らないといった表情でこちらを見てくる国王様。


「今日は何の日かご存知ですよね?」

「? 何かあったか? 聖誕祭は随分先だし、特に行事ごとはないはずだが?」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ。 今日はカーラちゃんの誕生日ですよ、誕・生・日!!」


 盛大なため息をついて国王様に告げる。


「……」


「……!」


「…………なにィィィィィぃぃぃぃぃょょょょょょょょょょ」



 数秒の間をあけ本日二度目の大絶叫がギルド内にこだました。



----



「落ち着きましたか?」

「こくお~うるさい」


 どういうことだとグダグダうるさい国王様を引き連れ『歓喜の庭園亭』へとやってきた私たち。 ギルドの仕事でよく合うので店主とも顔見知りである。


「カーラの誕生日だって? 初耳だぞそんなこと。 知っていれば大いに祝ったってのに……」

「まぁ、カーラちゃんはそんなに言いふらすタイプの子じゃないですしね」

「それにしても誕生日だってのに何処に行ったんだカーラは?」

「あぁそれはですね、カーラちゃんはこの日必ず元彼のところに行ってるそうですよ?」








 ……ピシッ









「……は? っと、すまんすまん。 なにやら幻聴が聞こえてな……。 すまないがもう一度言ってくれないか?」

「……ですから、今日はカーラちゃん元彼に会ってるそうですよ? それも自分から会いに言ってるみたいで、かなり未練があるんじゃないでしょうか?」




「なん……だと」


 国王様がなんだかぐったりしだした。 まずい兆候だ。


「まぁでもうちの旦那の情報ですし嘘か本当か分かりませんけどね」

「……ぞ」

「はい?」

「……くぞ」

「なんですか?」

「会いに行くぞ!!!!! 話を聞きだしてやる!!」


 急に走り出した国王様を慌てて追いかける私たち親子。


 あのぉ、国王様? 旦那はまだ仕事中なんですけど!?

はい、次話で旦那登場です。


ここまでお読みの方はすでに当たりをつけておられるかも知れませんが、

作者は期待を裏切る男ですのでお気をつけ下さい。


そして密かに登場したギルドマスターさん。


彼の登場は作者も考えておりませんでした。

何故出てきたんだ!?


では、まだ続きますが次話で。

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