異世界はじめました。
三話です。
短めです。
どうぞ・・・
目を覚ますとそこは……。
「知らない天井…………
すらない!!」
雲ひとつ無い青空だった……。
(雲ひとつ無い青空だった……!?)
俺は慌てて体を起こし周りを見た。
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草原。まさにそう呼ぶしかない美しい緑の絨毯が眼前に広がっている……。
「綺麗なところだなぁ。でも、ここはどこだろう?
最高神は目覚めれば異世界とか言ってたけど……」
少し高いが女性としては低めな声で草原の真ん中に佇む女性は独りごちた。
(そうだッ、あの最高神は確かにそう言っていたはずだッ。
――ならここは異世界のどこかか?)
『そうで〜す♪
ここは首都クランクランから西へ少し行ったところにあるマルタイの草原だよ☆』
いきなり頭の中に最高神の声が響いた。
「うッ! キモチ悪ッ! 頭にめっちゃ声が響く!
ダメだ……。二日酔いになったときみたいだ吐きそう……(泣)」
――テンションが言葉では言い表せないほど下がった。
――親が仮面夫婦の友達の家に泊まった記憶を掘り起こされた。
――人形みたいに張り付いた笑顔を長時間見せられた記憶が鮮明に頭に浮かんだ。
――深夜、寝てると安心したのか滅茶苦茶ケンカしていた時の声がこだました。
――次の日の朝は何事も無かったように張り付いた笑顔だった。
――何となく人間不信になった。
(欝だ……。死のう…………)
『スト〜〜ップ! いきなり人間不信にならないで下さい!!
一応これからのこととか色々説明しますから!!!(泣)』
「それならばよしッ!」
復活した。
『――――唖然――――』
「どうした最高神? 早く説明をしてくれ」
『……立ち直りが早すぎませんか?』
(まぁそれが取り柄だったしな)
『まぁそれより毎度毎度、最高神と呼んでいては不便でしょう?
これからは私のことはウシンと呼んでいただいてかまいませんよ?』
(ウシン? それはベルギーあたりの芸術家の名前じゃ……?)
『なんとなく気に入りました♪
これからはサイコ・ウシンと名乗ることにします。
ありがとうございます。
では、突然ですが説明に入りたいと思います』
「気に入ってもらって何よりだ。じゃあ説明ヨロ」
俺はウシンの話をじっと待った。
……。
…………。
………………。
(……まだか?)
「……おいウシンよ、まだか?」
ついつい聞いてしまった俺は悪くないと思う。
『ちょっと待ってくださいッ。今説明資料をFAX中ですから!!
――あぁ〜番号押し間違えた!! また入れ直しだよ……(泣)
どうしてくれるんですか! やっと87桁まで間違えずに番号入れてたのに!!!』
(逆ギレ!? しかもFAX!? どう届くの!? てか番号長ッ!!)
三段を超えて四段ツッコミしてしまった……。
他にもツッコミたいところはあるがひとまず、
「あ〜なんかすまん。FAX届くまでおとなしくしてます」
……謝っておこう。
『分かればいいんですよ分かれば。
…………え〜まず異世界管理番号が……ブッブッ………………7875…………
管理組合コーd……862019……ブッブッ…………登録名義番g…………2……
IDNO.が…………22…………ブッブッ……上限歪曲面曲線係s……566577
所在地アd…………49…………ブッブッ……』
(これは時間がかかりそうだ……)
この後、念仏のような数字の呟きを延々聞かされ続けるのであった。
(早く届けFAXよ!!!!)
お分かりいただけただろか。
前フリです。
次話もよろしくお願いします。
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