冒険者女の密かな願い 後編
どうも作者です。
本当は昨日の夜にでも投稿するつもりだったんですが寝てしまい……。
とりあえず前回の続きです。
どうぞ。
「宿に残る?」
「はい、何かいけなかったでしょうか?」
女将さんからの返答が不安を煽ります。
「いえ別にそういうわけではないのだけれど、今から掃除の時間なので……」
「あっ、そんなんですか? 別に大丈夫ですよ?」
宿なんだから掃除位はしているでしょうし、何よりベッドシーツの交換などもあると思いますので別にかまわないのですが何か問題があるのでしょうか?
「それでは八時から九時の一時間は部屋の外に出ないと約束して頂けますか?
お約束頂けないことには宿内におられることをお勧めはできませんので……」
なんだかすごい迫力で女将さんが迫ってきました。
近くで見ると本当に人形みたいに整った顔立ちをしていてちょっと怖いです。
「だ、大丈夫れす」
返事を咬んでしまいました。
恥ずかしい……。
「では、よろしくお願いしますね」
そう言うと女将さんは後片付けのためか厨房に戻っていきました。
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部屋に戻ってきた私は閉めていた窓を開き朝の空気を室内に取り込みました。
宿の部屋はふかふかのベッド、シックな机、机に合わせた椅子と簡素なものですが、その全てが良い調和をなし、部屋に清潔な雰囲気を与えています。
私は一時間の時間つぶしのために最近流行の小説を取り出し読み始めました。
『最強だけど宿を始めました』 著:ライース・神楽
とある女性が自分の元居た世界とは別の世界(異世界というそうですがよく分かりませんね)で宿経営をしてそこで巻き起こる様々な事件に立ち向かっていくという内容の本なのですが、宿屋の実態や経営のしんどさが面白おかしく少しの脚色と共に書かれていて従来の小説にはなかったような面白さがあるんです。
従来の小説は、英雄譚などの過去の偉人をさらに脚色して書いたものばかりで、最終回も魔王を倒し、姫と結ばれ、ハッピーエンドを迎えるといった決まりきった内容しかなく面白みにかけていたんです。
もう一つの特徴としてその女性は世界をまたぐ前までは魔力も乏しく力も持たない所謂『おちこぼれ』な冒険者だったのですが、世界が変わって一変、その新しい世界では最強の力を持つ存在になるんです。
私だったら今までの鬱憤を晴らすために大暴れしているだろうと思うのですが、その女性は平和に生きるために宿を始めるんです。
それもまた「最強の力を得たのに何故大暴れしないんだ~」と批判を貰いながらもその女性になんだかかわいらしい印象を与え人気になっています。
そんな、小説界に新しい風を吹き込んだ小説を、朝の風が吹き込む部屋で読む私。
うん、変なことを考えてしまいましたね。私に小説を書く能力はなさそうです。
そんな一人芝居をしていると開けた窓から玄関先を掃除する女将さんの姿が見えました。
箒で掃く姿ですら絵になってしまいます。
そうしてしばらく女将さんの掃除姿を眺めていると不意にドアがノックされました。
女将さんはまだ玄関先で掃除をしていますし誰でしょうか?
「はい、どなたですか?」
「お客様ベッドシーツの交換に参りました」
扉の方を振り返えりノックに答えた私に対し、帰ってきた返答はまさかの女将さんからの声でした。
私は急いで窓の外を見ましたが女将さんの姿は見えません。
「あれ? つい先ほどまであそこで掃除していたような?」
「お客様? お部屋にお邪魔してもよろしいでしょうか?」
「あっ、どうぞ」
とりあえず私は部屋に女将さんを招きいれました。
「ありがとうございます。それでは交換させていただきますね。あら? この本は……」
「よろしくお願いします。その本今人気ですよね」
本のことに気づいた女将さんは本を手に取りしばらく眺めていた。
私はシーツの交換をお願いしながら本の人気について話しかけたのだが、女将さんは反応薄くその本を机の上に置いた。
「……えぇ、そうみたいですね。私は暇がありませんので読んではいませんが……」
「そうなんですか!? ぜひ読んだ方がいいですよ」
強く押す私になんだか困惑した様子でベッドシーツをはがしていく女将さん。
「……機会がありましたら読んでみたいと思います。では失礼いたします」
パタンッと扉が閉まり部屋に独りになる私、
ふと窓の外を見るとそこには玄関先を掃除する女将さんの姿が!?
困惑する私に声がかけられた。
「お客様、換えのシーツをお持ちしましたので開けてくださいますか?」
「!? 今さっき出て行ったばかりですよね!?」
出て行ってから10秒も経っていないのではないでしょうか?
その早さで声をかけてきた女将さんに私は困惑するばかりでした。
「? ベッドシーツを交換しに来たのですが~」
「は、はい! 今開けます」
やはり玄関先からいなくなっている女将さんの姿に驚きながらも扉を開ける私。
先ほどとは違い本に目を留めることもなくベッドシーツを換えていく女将さん。一気にベッドに清潔感が戻った。
「???」
「どうしました?」
「先ほど出て行かれましたよね?」
「? はい? 出て行きましたが?」
「外で掃除もされてましたよね?」
「……してますね」
「今居ますよね?」
「……居ますね」
「……え、どうなってるんですか?」
純粋に疑問だった。
私の質問に女将さんはポンッと手を打つと、
人差し指を顔の前に立ててこういった。
「ヒミツです☆」
「……」
これで女将さんが無表情でなかったら完全に惚れていたかも知れない。
それほどの破壊力を秘めた言葉だった。
「では失礼いたします」
惚けたように硬直する私を置いて女将さんは部屋を出て行った。
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シーツを換えてもらったベッドに倒れこむようにして寝そべり、しばらくの間女将さんがもしあのセリフを微笑みながら言ったらどうなっていたかを妄想しもだえる私。
宿の玄関先では掃除をする女将さんの姿があったという。
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以上が私が語れる宿での不思議体験です。
それにしても女将さん綺麗な人でした。
今度、宿の手伝いの依頼とかないかな~。
やってしまった。
まさかあんなことを書いてしまうなんて。
ふ、批判が怖いZE。
突然ですがここで少しアンケートを
今閑話をつなげて話を書いていっているような状況ですが、どんなお話を読んでみたいですか?
現在私が考えている話は、
「聖誕祭で」(仮)
「女神の居ない日」(仮)
「ある魔装具屋の話」(仮)
「従業員募集中」(仮)
「宿の新名物」(仮)
「女神を狙う影」(仮)
「武闘大会」(仮)
「舞踏会での出来事」(仮)
「エピローグ」
などを考えているのですが他にも「こんな話を読んでみたい」などございましたら感想にでも書いていただければと。
作者の妄想力を総動員して面白そうな話を書きたいと思います。
(考えていた内容と異なってもご批判等はなしでお願いいたします)
今までにも色々とこんな話を読んでみたいと感想で頂いていましたが
一度まとめてみたいと思いこのたびアンケートとして書かせていただきました。
とりあえず明日2/27朝八時ごろまで受付しようかと思っています。
自分の力で話を書けよ! って批判があるかも知れませんがよろしくお願いいたします。
また感想を頂いた方には極力返信するようには努めてまいりますが、返信が出来ない場合などもあるかも知れません。
ご了承いただければと。
ではまた次話で。




