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チートだけど宿屋はじめました。  作者: nyonnyon
第四章:宿はじめました。
21/61

宿屋の日常7

どうも作者です。


本編は遂に夜。


意外性を付けるか!?


では、どうぞ……

 昼間のバカどもを追い払い、近所のおじちゃん、おばちゃんに冷やかされてから数時間。


 今は夜の時間である。



----



 今日のお客様は全員冒険者であり、その分皆よく食べ、よく飲むやつ等ばかりだ。


 流石に夜の宿は私一人で回すのは厳しいので、引退したはずの老夫婦『ティレプー夫妻』の助力を得ている。

 この二人は私の料理のファンになってくれた第4号、第5号の人達であり、元々経営を続けたかったが腰を悪くし続けられなくなった、と泣く泣く諦めていた人たちだったので、夜だけのお手伝いを頼んだところ二つ返事で手伝いを了承してくれた。


 私の負担が減ってよかったって? ……とんでもない、自由な時間が増えると言うことはその分多くの時間がとられるということである。


 夕食も終わり、ただの酒場と化した宿の中で、私はあちらこちらにお酌をしに動き回っているし、ティレプー夫妻はというと、まかない飯を食べつつ、お酒の出し入れやおつまみ作りに奔走中。

 これが落ち着くまではっきりと言えば心休まる暇がない。


「オネエサーンこっちにビールついでくれやぁ」

「今この姉ちゃんは俺についでくれてんだよ、ちょっと待ちやがれ」

「おつまみ追加ね~」

「………………ぐぅ」

「俺の歌を聴けぇい!!!!」


(ほんと、騒がしい。と言うか寝てるやつ、部屋行け部屋)


「いや~やっぱ王都に来たらこの宿だよな~」

「そうだな、飯は美味いし、女将は綺麗だしよ~」

「酒も美味いしな!!」

「ほんと『女神に会える宿』の言葉通りだぜ」


 ありがたい。そう言ってもらえるとこちらも頑張って続けてきたかいがあったと言うものだ。


「後は女将がもう少し笑ってくれたらな~」

「そうだな~。誰も見たことのない女将の『笑顔』だろ? 見れると幸せになるって聞いたぜ? 女将さんちょっと笑ってくれないか~?」


 ありがたい言葉を言ってくださっていたお客様だが、その言葉でさっきまでの喧騒が嘘のように静まりかえった。


(うぉい!! どうしろってんだ!? 笑うと『悪魔の微笑み』が発動しちまうし、と言うよりそのスキルのせいで無表情になってるわけだし)


 内心私がうろたえていると、


「おい、止めとけ。女将は小さい頃のショックで上手く表情を作れなくなったそうだ。それをほじくり返すようなことはしないほうがいい」


 シーーーンと静まり返る宿屋内。


(ちょっと待てなんだその捏造設定は!!!)


「え? 俺の聞いた話では、笑うと美しすぎるんでそれを見た夫が妻に魅力を感じなくなり、愛想を突かして出て行ったから二度と笑うなって、妻の親から言われたって聞いたぞ?」


 更に静まり返る宿屋内。


(それって微妙に違うけど絶対○タさんだよね!? 家政婦何がしからやってきた?!)


「あれ? 俺の聞いた話だと、女将さんが笑うのは物凄く稀だから、女将さんの笑顔が見れたらそこで一生分の運を使い切って、その後は不幸なことしか降りかからなくなるって聞いたけど……」



「まてよ。俺の聞いた話では、その『笑顔』を見たものは美しすぎる顔が頭から離れなくなり、昼も夜も女将さんのことしか考えられなくなり、最後は発狂して死ぬって聞いたぞ?」


 もう宿屋内は、一切の無音である。


(何じゃその設定はぁぁぁぁぁぁぁ!!!! 私は妖怪か何かかぁぁぁぁぁ!!!!?)


「お、女将さん、ははっ、いや、別に、む、無理に笑わなくてもイイッスヨ?」


 話を振ってきた男が言ってきた。


(こ、これは怒ってもいいのだろうか? ていうか怒るぞ? マジで)


「はいはい、皆さん、その話は大半が嘘ですので気にしないで下さいねぇ」

「そうじゃよぉ、この子は生まれつき表情が出にくい子なんじゃ、申し訳ないがのぉ」


 そろそろキレるか? と言うタイミングでティレプー夫妻が登場してくれた。


(ほっ、やっぱり落ち着くなこういうときは)


 心の中で夫妻に感謝を送りつつ、お客様に向き直った。


「申し訳ありません。ティレプーさんからもお話がありましたように私は生まれつき表情が出にくいのです。笑わないわけではないのですが、表情に出ないため、皆様にご迷惑をおかけしているかも知れません。

 また、噂は全て事実無根のものです。もし私が笑っているところを見ても死ぬことはありませんのでご安心下さい」


 私のその言葉をきっかけに、宿の変な空気は吹き飛んだ。


 この後、約2時間ほど自分達の不用意な発言を晴らすため、飲み続ける客達の姿があった。



----



「ティレプーさん、ありがとうございました」


 時はかわって深夜。

 客達も部屋に戻り、静かになった食堂で晩酌をしつつティレプー夫妻に感謝を述べるカーラの姿があった。


「いいんじゃよ、あんたが表情を出しづらい人じゃと言うのは気づいておったし、わしらの宿を引き継いでくれとるしな」

「そうですよぉ、もうカーラちゃんは私達夫婦の孫みたいなものですからねぇ」

「そうじゃ、困ったときは頼るとええぞ、孫のわがままを聞いてやるのもじじばばの楽しみじゃからな」


 本当にうれしいことを言ってくれる二人である。


「この酒も美味いしの」

「ありがとうございます。よかったら持っていって下さい。まだまだありますから」

「ほほ、そうさせてもらおうかの? さて、そろそろ帰るとしようか……、じゃあの」

「そうですね、じゃあカーラちゃんまた明日ね」


「ありがとうございました。




 おじいちゃん(・・・・・・)おばあちゃん(・・・・・・)




 また明日」




 仕事で疲れていると言うのに、家路に着く夫婦の足取りは軽かった。

はい、こんな感じです。


ティレプー夫妻とからませてみました。

いかがだったでしょうか?


とりあえず宿に関しての説明部分はこれにて終了しようかと。


一応晩酌で飲んでいるお酒は、日本酒という設定。

カーラ作です。

一応お酒が出ましたので、


『お酒は二十歳になってから!!!』


さて、次回はどんな内容にしようか?


では次話で。


10/19 誤字修正

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