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ある魔術師の物語 弐話

読んでくれて居る人はいないかも知れませんが投稿します( ̄∀ ̄)

楽しんでいただけたら幸いです

「…ここは?」

真っ暗だった。もう、びっくりするくらい何も無い空間。

「何処だよここ、何があったんだっ、て、たしか…」

思い出した。そう、たしか盗賊達との戦闘で魔術を使って…それで反動で意識が飛んだ。


「ああ、もしかして死んだのか。俺は」


別に後悔は無かった。生きていても特に楽しくなかったから。

ただ残念なのは記憶を取り戻せなかった。

それだけ


俺は昔の記憶を失っていた。

知り合いによるとなんかの魔術行使の代償らしい。

記憶を失った後、日常生活に必要な事と、多少の魔術の知識は残ってた。

それ以外は、全部パー。

名前も自分の身分も

何の魔術行使をしたのかも忘れた。

だけど、全部思い出す事だけを夢みて生きてた。家族の事とか、友達の事とか…

それが終わった。ただ、それだけ


それだけだけど…

記憶を無くしたあと知りあった、ある少女から頼まれた依頼もあった気もするが、積もり積もった恨みがあるので考えない。

ざまあみろ


「でも、死んだら真っ暗ってつまんないな。なんかないのかよ?」


あたりを見回すがやはり何も無い。


「願ったらなんか出るかも、なんて甘い考えか」


自分の考えに少し苦笑する。

だったらさっき自分の記憶のことを考えたときに思い出やらが出る筈ではないか

「なんか、面倒になってきたな…もう、眠ろう…」


次に目が覚めるときは、暖かい風景があると信じて…

シュボッ

信じて…

パチパチ

信じ…

メラメラ

信じ…てっ…?!


「あっつぅあーー!」


びっくりだった。もう色んな意味で。

自分の叫んだ声と自分の居る所の異常なまでの暖かさに


「汝、安らかな風の祈りを!」

「風刃っ!」


魔力を解放した瞬間、莫大な風圧が頭上にあったのであろうふたを吹き飛ばし、目の前の視界が開けた。


「あら?」


すぐ近くから(具体的にはふたが飛んでった方)女の子の声が聞こえた気がしたけどこの際考えてられない。

急いで入っていた箱から飛び出た。

…飛び出た瞬間に俺は見た。

俺が入ってたの、棺桶だ。

なんか周りに藁が敷いてある 。しかも木製…あ、半分燃え尽きた


「……ぇあ?」

なんか変な声が出たけどしょうがないじゃないか。混乱の極みだ。


だってそうだろ?さっきまで道を歩いてたのに、確かに気温は暑かったけど、焼かれてはいなかった。


「俺になにがあったんだ…?」


そう呟いた所に

「あら?ゾンビさんですか?」

後ろから、女性の声がした。

「え?」

振り向くと其処には大きなタンコブができた、黒髪金眼の、長い髪をした可愛らしい女の人が…


あれ?タンコブ?


「近くで大きな爆発音がしたので見に行ってみたらゾンビさんがお倒れになられていたので、火葬させていただこうかと思ったのですが」

いや待て、まだ何も聞いてないし、普通生きてるかの確認くらいしないか?

ていうかそのタンコブは何?

…いや、やっぱりタンコブについては聞かない方がいい気がするが


言いたい事は色々あったが取りあえずは

「ここはどこなんだ?あと、俺は生きてる、ゾンビじゃない」

現状の確認とゾンビ疑惑の否定をした。


「えーと、ここはフレアスの中央にある首都ファロの近くの森です。

あなたの倒れていた道からすぐ近くです。私が此処まであなたを運ばせていただきました。それとゾンビさんじゃないのですね。なる前の生物ですねっ」


腫れた額をさすりつつ、途中少し引っかかる言い方をしつつもニコニコしながら説明してくれた。

なんか、火葬されかけたりゾンビ呼ばわりされたけど無償に謝りたくなった。

…でも気のせいにしておく


「そうか、じゃああんたが助けてくれたんだな。ありがとう」

「いえ、助けのではなく火葬…」「あ・り・が・と・う・な!」

もう、かそうの、かそ のあたりで無理やり遮った。なんとなく、今の俺は文句言える立場じゃない、と未だに頭をさする彼女をみてそう思った。


「あのー、あなたはなぜあんな所でお倒れに?」

やっぱりそうくるよな。苦笑しつつ嘘を答える

「いやぁ実は行き倒れちまってな、でももう大丈夫だよ。なんか体力回復したよ。わざわざ運んでくれて有難うな」

「いえいえ~それ程でもー」彼女はのほほんと間延びした声で答えた。

「んじゃ、俺はもうそろそろ行くわ。助けてくれて(?)ありがとな…っと後一つ聞いて良いか?」

別に急ぐ用事ではないがそろそろ仕事に戻らねばなるまいが、まだ彼女に聞いておくべきことがあった

「?なんでしょうか?」

「俺が倒れてた場所に、俺とあんたの他に誰か居なかったか?」

気になったのはあの盗賊三人。いくら三人掛かりだとしてもあの魔術、炎蛇招来とかいうのは盗賊なんかが使うのは無理だ。


彼女は思い出すような顔をしたあと

「…いえ?他には誰もいませんでしたよ?お友達ですか?」

そう言った。

「いや、倒れてるのを見られてたら恥ずかしいからな。」

「なるほどー」

やはりニコニコした顔で頷いた。そして

「では、私からもご質問よろしいでしょうか?」「…あ、ああ、別にいいぜ?」

…もしかしてふたか!ふたのことなのか!?なんか怖い!

「では、ぜひあなたのお名前を教えてくださいな?せっかくのご縁ですし…

よろしいでしょうか?」

その質問は…

「俺の、名前は…」

「名前は?」

…有るにはある。呼称がないと困るから、と、ある少女が俺につけた名前。

「名前は、ゼロ ただの、ゼロ。」


あんたには何もないからね


ある少女が言った。何もない。0から出来た名前…でも


「ゼロさん、ですか。いいお名前ですね」

彼女がそう言った事で、なぜだか、少し心は軽くなった。

「…そう言うあんたは?」

「え?」

「だから、あんたの名前だよ。自分だけ言わない気か?」


何となく、俺も彼女の名前が知りたくなったから、なんとなく聞いてみた。


後から思えば、すごく突飛な出会いの後のちょっとした、時がたてば忘れ去るような、普通の会話。

…でも、この会話から、陳腐な台詞かもしれないけれど、本当の意味で俺の物語が始まったんだと思う。

この日、この時に見た、彼女の笑顔を、俺はこの先、きっと忘れない。

「…セリア・ウィン・アクセリアと申します。良ければセリアとお呼び下さいね、ゼロさん」


そういって彼女は柔らかく微笑んだ

どうでしたか?

楽しんでいただけてたら嬉しいです( ̄∀ ̄)

では、出来ればまた次回、お会い致しましょうm(_ _)m

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