骨となり、灰になっても
夫が亡くなり、広い家だけが私に残った。子どもを作らなかったのは、真の意味で私が夫を愛せなかったからだ。寂しい老後の一人暮らしである。
「本日も、ご利用いただき、ありがとうございます」
私の自宅に彼女が来て、そう言う。玄関に入ってもらい、料金を手渡した。同性である女性に世話をしてもらってからというもの、私の日常は華やいで感じられる。
「こちらこそ、ありがとう。じゃあ、お風呂に行きましょうか」
既に湯は沸かしてある。浴槽は女性二人が入れるほど大きくて、そこにはバラの花びらを私が浮かべていた。
「服を脱いで。身体を良く、見せてちょうだい」
脱衣所で私がそう指示をして、彼女が従う。一糸まとわず立つ彼女の姿に、震えながら私は熱く息を吐いた。片手を伸ばして、彼女の頬を撫でる。若さをお金で買える、今の立場を私は堪能していた。
夫の死後、私は本来の性的指向に正直になった。いつか骨が焼かれ、灰になっても私の熱は消えない。