表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/28

美少女たちの温泉大乱戦

「ご主人さまぁ~♪」


 湯気の向こうから、妙に艶っぽい声が聞こえてきた。

 振り向くと、そこには濡れ髪を垂らしたイリーナが、完全に“その姿”で登場していた。


「ちょっ……お前、なに素っ裸で入ってきてるんだ!?」

「え? お風呂って裸で入るものなんですよね??」

「いやいや! タイミング考えろって!!」


 こいつはサキュバス。エロ魔族。分かってる。

 分かってるけど……いろいろと刺激が強すぎる!


「ふふ、見られるの、嫌いじゃないですよ? むしろ、もっとちゃんと見てくださいよ……ね?」


 イリーナが近づいてくる。

 近い近い! 距離感おかしいから!

 湯の中で俺は距離を取る。だがその時、さらに追い打ちをかける声が――


「イリーナ!? またご主人様を誘惑してるんですー! ずるいんですー!」


 湯気を割って突入してきたのはウィンリー。

 そしてなぜか、こっちも素っ裸で突撃してきた。


「ちょっ……お前ら二人して何やってんだよ!」

「これは正当なる縄張り争いなんですー!」


「ふふん、ウィンリーちゃん。サキュバスの誘惑スキル、舐めないでほいしわ!! 戦いはここからですよ」

「望むところなんですー!」


 ――戦いが、始まった。


 俺の両隣で、なぜか女同士の“温泉ボディアピール対決”が勃発してしまったのだ。


「この胸のふわふわ感、サキュバスの魔力でナチュラルな魅惑度アップですわよ♪」

「ウィンリーも負けてないんですー! 肌はぷるぷる、若さと元気で勝負ですー!」


 くっ、何の勝負なんだよこれは!


 しかも、湯気の演出でギリギリ見えないけど、すぐ近くで肌が触れそうなくらいの距離感……!


「ちょ……お前ら、頼むから少しは恥じらいを持て!!」

「えっ? それってなんですか?」


 同時に首をかしげるな!


 しかも今出てる赤い月がちょっとムードが出てきてるのが逆に困る!

 どこかエロティックな空気の中で、俺はとにかく冷静を保とうと頑張った。


 が。


「ご、ご主人様ぁ……イリーナ、ちょっとのぼせてきちゃいましたぁ……」

「ウィンリーも、目がぐるぐるするですー……」


 二人とも、限界が来たようだった。

 俺は急いで二人を湯船から引き上げ、バスタオルで包み、部屋まで運んだ。


 ――そして。


 俺は誰もいない深夜の風呂にそっと入りなおした。

 月が二つ、静かに空を照らしている。


「……はあ。俺の胃がもたないな、マジで」


 そんなため息をつきながら、俺はまた明日から始まる生活に備え、湯けむりに身を沈めるのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ