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フグ豚の捕獲

 俺たちはギルドにきた。

 扉を開けると、冒険者たちの喧騒と、武具の音、酒の香りが広がっていた。

 俺たちが受付に向かう途中、誰もがうちの美女を二度見した。

 純白の長い髪がふわりと風に流れる度に、妖艶な香りが辺りを魅了する。


「あら、ミツボシ様こんにちは!」


 受付嬢の視線がウィンリーとイリーナに移る。そして、グッと身を乗り出した。


 「ちょっと待って……この子たちは新しいパーティ?すっごい美人じゃない!? しかもひとりはエルフ、もうひとりは……サ、サキュバスよね!?」


 ギルド内の視線が、一斉にこちらへ集まる。


「……おい、あの男、美女二人連れだぞ……」

「くそっ、転生者か……? ふざけんなよ、チート野郎か?」


 ざわつくギルド。

 なんかやけに

 ハハっ、やっぱり目立ちますよね。


「今日のご用件はなんでしょうか?」

「報酬が高い依頼はありませんか?」


 ミレイユは少し悩み、一枚の紙を出してきた。


「そうですねー、これなんかどうですか?」


【クエスト名】:神秘泉に棲むフグ豚

【内容】:フグ豚の捕獲(十匹)

【報酬】:金貨100枚+素材(持ち帰り分OK)

【難易度】:特殊(推奨パーティ 3人以上)

【備考】:フグ豚の素材は流通で高く売れる。


「金貨100枚!?」

「フグ豚時代は攻撃力はないのですが、問題は泉迄に大迷宮を抜けなければなりません。そこには凶悪な魔物が棲みつき、死亡者が後を立たないため、報酬をあげさせてもらってます」


 なるほどな。大迷宮ってのが気になるが……

 報酬がいいし、攻撃力がないならいいか。


「よし、その依頼受けます」

「かしこまりました」


 

 俺たちは馬車に乗り、黒の洞窟に向に向かった。


《黒の洞窟》――入口前


 山間にひっそりと開いた、岩の裂け目のような洞窟。その中からは、まるで吐息のように冷たい霧が流れ出していた。


「気温、急激に下がってます……これは中、かなりヤバいかもです」

「地熱と地下水が交差してる場所……幻想的ですが、まさに魔物が好む環境ですわね」


 洞窟に一歩足を踏み入れた瞬間、空気が変わる。


 視界を遮る白い霧、足元に響くぬかるみの音、天井から垂れる水滴。そして、何より――


「気配が……一匹、二匹……いや、群れてる!」


 ギャアアアアア!!


 突如、霧の奥から突っ込んできたのは――

 灰色の甲殻に鋭いハサミを持つ魔物、《クローラビットクラブ》。

 甲殻類と獣が混じったような、洞窟特有の異種融合種だった。


「くっそ、また変な混成魔物だな!」

「ミツボシ様、私が前衛を!」

「イリーナ、援護を!」

「御意に!」


 ウィンリーが前に出て、剣で一体を一刀両断。

 イリーナは冷気魔法で霧を切り裂き、敵の動きを封じる。俺は包丁を構え、魔物の急所に狙いを定めた。


「料理人の戦い方ってもんを教えてやるよ!」


 地面を蹴って跳びかかり、包丁を振り下ろす。魔物の足を切り裂き、動きを封じた。


「ミツボシ様、お腹空きましたーー」


 よし、昼飯にするか。

 俺はいつも通り万能圧力鍋を出し、捌いたクローラビットクラブとバターを入れる。


『クローラビットクラブの蒸し身』◀︎にしますか?


 俺はイエスボタンを押す。


 ーーー数分後。


 クローラビットクラブの蒸し身ができた。


「じゃ、いただきます」


 クローラビットクラブの蒸し身を、イリーナがひと口。

 ――その瞬間、舌の上に「泡の甘み」がじゅわっと広がる。


「……これ、ただのカニじゃないです。まるで、甘エビとホタテを掛け合わせたみたい」


 ぷりっとした弾力のある身には、かすかに柑橘のような清涼感があり、後味はほのかな潮風。

 そこにバターが染み込み、芳醇さを加えてくる。


「……泡の香りも残ってる。これ、匂いも味も“ふわっと包み込む”感じね」


 肉厚な爪肉は特に濃厚で、噛むたびにうまみが滲み出し、脳髄をくすぐるような“塩気の快楽”が襲ってくる。


「肝(泡香肝)はとろける……まるで海のフォアグラ……っ」


 その濃密な味わいは、かすかにハーブと海苔の香りが混じり、ひと舐めするだけでワインが欲しくなる逸品。


【 名 前 】 月島光星ツキシマ・ミツボシ

【 年 齢 】 33

【 職 業 】 料理人

【 レベル 】 5

【 体 力 】 50

【 攻撃力 】 50

【 防御力 】 50

【 魔力 】 ?????

【 料理技 】 ぶった斬り、捌く

【料理スキル】 作物栽培 調味料精製 感知

【 関連道具 】 万能圧力鍋 アイテムボックス


 おっ、防御力が上がったぞ。

 それに感知スキルが追加になってる。場所を感知できるようになったってことか。

 よっしゃ!

 その後、俺たちは迷宮の洞窟を進み、はちに刺されそうになったり、落とし穴に落ちたり、岩玉に追いかけられたと散々な目にあいながら、目的の湖にたどり着いた。

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