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再建と鍛冶場の夢

 鳥のさえずりしかしない。


 ――まあ、そりゃそうだ。

 俺たちの家は吹き飛び、黒焦げの瓦礫の山。

 まさに“焼け野原”という言葉がぴったりな景色だ。


 俺は灰まみれの石をどかしながら、深いため息を吐いた。


「はぁぁ……これは……どこから手を付ければいいんだか……」

「屋根じゃないですか? 寝れないのが一番困りますし」


 と、さらっと言ってくるのはウィンリー。

 朝から元気にバケツ片手に水を運んでいる。なんか、妙に手慣れてるんだが。


「てか、王女なのに働くの慣れすぎじゃない? 森のエルフってそういう感じ?」

「元王女なので! 今はミツボシ様の臣下ですので! ミツボシ様のために働きます!」


 臣下?……俺そんな立場だっけ……?


 瓦礫を片づけながら会話してると、ふと後ろからイリーナが話しかけてきた。


「主、このドワーフ が話がしたいそうです」


 ドワーフ ?あの小さい人か?

 てか、いつから主呼びになった?


「お、お初にお目にかかります。私はドゥンゴラ一族のドワーフでございます。この度は助けいただきありがとうございます」


 一歩前に出たドワーフが丁寧に頭を下げる。


 確かドワーフ ってわ穴掘りや工作に巧みな種族だった気がするな。


「ミツボシ様、驚かないで下さい! このドワーフはただのドワーフではありません!  かの有名な神具や宝具を作り出したとされる古代の一族、ドゥンゴラ一族の名を冠するドワーフですわ」


 イリーナが珍しく興奮している。


 よくわからんが、凄いドワーフってことか?


「俺はツキシマ・ミツボシと言います。ミツボシとでも呼んでくんでください。ええと……?」


「し、失礼しました!!  私はドゥンゴラ一族のエルリック・ドゥンゴラと言います」


「ありがとう。で、エルリックさん。俺が助けたとはどういう事です?  記憶では、ウィンリーが貴方を助けたかと思うのですが」


「 違いますよー! 私は食われそになっていたこのドワーフ をここに運んだだけです」


 ウィンリーが割り込んでくる。

 それを助けたと言うんだよ。


「私の集落は、突如現れたあのドラゴンに襲われておりました。そこへウィンリー様が現れて、ドラゴンをここまでおびき寄せてくださったのです。そのおかげで我々は難を避け、さらに、怪我をして動けなかった私をここまで運んでくださいました」


 お前どこに何してんだよ。

 俺はウィンリーを見つめる。


「なるほど。で、なんでドラゴンがドワーフの集落を襲ったんですか?」

「はい。バタードラゴンは金銀を何よりも愛しております。私どもが採掘、加工した金銀を狙ってきたのだと思います」


 なるほどな! そう言う事か。

 王様が言ってた、百年に一度魔物が突如出てくるって話しと関係があるってことかな。


「そ、それでですね。あの、このような土地をお持ちのミツボシ様にお願いがございまして………」


 お願い? なんだろう。


「なんですか?」

「……この地に、私たちを受け入れてはくださいませんか? もちろんタダでとは言いません。家の再建はもちろん。武器や防具なども作らせてもらいます」


 それは願ってもないことだ。

 伝説のドワーフ が作る武器や防具はどんなものか楽しみだな。


「いいぞ」

「本当ですか!?」

「土地は余ってるし……俺らと共存できるなら、どうぞ」

「そ、それはもちろんです!」


 ドワーフの頑固なイメージだが、エルリックは物分かりが良さそうだ。


「では同胞を連れてまいります!!」


 俺は頷くて、エルリックは弾丸のように飛んでいった。

 それにしても……、俺は他の種族でも普通に話せるんだな。

 いや、ドワーフは人型だ。もしかして、向こうが人語を理解しているのか?


「さすがミツボシ様ですわ」

「はい、すごいです」


 いや、そもそもエルフとか淫魔とかと話せてるだけでも凄いよな。

 転生した時に自動的に言葉も理解できるようになっていると言うことかな。


「ドラゴンを倒し、あの頑固者のドワーフ を説得して話しをまとめるなん素晴らしいですわ」


 怒り狂ってドラゴンを倒したのはイリーナさんだよね?

 イリーナは頑なに俺のおかげと言うからとりあえずそういうことにしといた。


 じゃ、俺たちはバダードラゴンを食べるとするか。


 太古のドラゴンか。どんな味がするか楽しみだ。


 俺は万能圧力鍋を出し、捌いたバタードラゴンの肉を入れる。


『火竜の焦がしバター炙りステーキ』◀︎にしますか?


 と表示される?

 俺はイエスボタンを押してみる。


『数量は?』◀︎はいくつにしますか?


 俺は三つと選択し押す。

 すると圧力鍋がチッチッチッっと動きだす。


 じゅううぅ……。


 香ばしい匂いが漂ってくる。

 チンっと出来上がる音がする。


「い、いただきます……!」

「いただきますわっ!」


 ――パクリ。


「う、うまああああああいっっっっ!!!」


 舌の上でとろけるような火竜の肉。

 バターの香りが鼻腔をくすぐり、香ばしさと甘味が絶妙なハーモニーを奏でる。


 まさに――伝説の味。


 ドラゴンを食べると、ピコンっとステータスが表示された。


【 名 前 】 月島光星ツキシマ・ミツボシ

【 年 齢 】 33

【 職 業 】 料理人

【 レベル 】 3

【 体 力 】 50

【 攻撃力 】 50

【 防御力 】 30

【 魔力 】 ?????

【 料理技 】 ぶった斬り、捌く

【料理スキル】 作物栽培 調味料精製

【 関連道具 】 万能圧力鍋 アイテムボックス


 おぉ、レベルが上がってるぞ!!

 それにバターが作れるようになったみたいだ。

 よし!この調子で異世界の食材を堪能するぞ!

 あとは金銭がやばいから明日ギルドにでも行ってみるか。


 こうして俺たちはバタードラゴンを食べ尽くした。

 後に売るようで残しておけばよかったと後悔した。

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