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第8話 慈悲

 人間が何人死のうと、どのように死のうと、自分には関係ない。

 ただ、見るに堪えぬ……



「ジャーくんの子供を孕むんだっけ? だったらその前にあなたちの子宮を先に―――」


「ひぎゃあああああああああああああああっ!!??」


「なんだこいつ、メチャクチャ強……ひっ!?」


「だ、だめだ、逃げ、ひっ、うぼびゃっ?!」


 

 女盗賊団たちの『腹部』を次々と剣で突き刺していくシャイニ。

 


「地獄の業火でジワジワと苦しみなさい。人の旦那様を犯そうとした罪を永劫に後悔しなさい。ファイヤ……少しずつ燃えて……うふふふふ」


「はっ、そんな魔法で、っ?! も、燃え!? ばかな初級魔法で、っ、消えない、ひ、ひぎゃああああ!?」


 

 一瞬で相手を燃やし尽くす強力な魔法ではなく、あえて低級の炎で相手を少しずつ燃やし、対象が燃え尽きるまで消えない地獄の炎を振りまいて笑みを浮かべるアネスト。



「そもそもラブリィの彼氏さんを汚い目で見ないでよぉ。そんな目はこうだ~♪」


「ひぎっ!? いぎゃああ、め、目がぁ!?」


「見えない! 目が、目がぁあ!?」


「助けて、助けてぇッ!?」


 

 光速の早打ちで次々と矢を放ち、盗賊団たちの両眼を正確に撃ち抜いていくラブリィ。



「とりあえずさー、人の彼氏を犯そうとしたんだから、拳骨ぐらいさせてもらうわよ? 拳骨ッ!!」


「かぴゃっ!?」


「あ、あ~! 脆いなぁ、頭を叩いたのに潰れて二つに裂けちゃったじゃないのよぉ!」



 拳骨……頭上から相手の脳天に叩き下ろした拳は、そのまま相手の頭部から股下まで一気に引き裂いていくディヴィアス。



「絶対死ぬけどすぐに死なない毒。一ヶ月ぐらい体中がボツボツになって……いつか死ねる」


「や、やだぁぁああ! ひっ、痛い痛い、ぐるしい! ごろじてええ! ごろじでええええ!」



 即効性の致死性の毒ではなく、ジワジワと蝕む毒であえて相手を苦しめようとするキルル。

 殺すのではなく苦しめたり、一瞬で殺したり、とにかく女たちの阿鼻叫喚。

 

 勇者が躊躇いなく人間を苦しめて殺しているというあまりにも凄惨な光景だった。


 全ては……



「ジャーくんは私が守るよ!」


「アナタ……アナタにまとわりつこうとする虫は全て駆除します」


「ジャーくんはラブリィたちだけのものだよ♥」


「ジャーくん、危ないから下がってて! 彼氏を守るのが彼女の務めなんだから!」


「孕むのは私たちだけ」



 これが恋というものと呼べるのか?

 しかし、こうなってしまうと、自分というよりも人類にとっての脅威ではないのか?


 仮にもし、連合軍が自分の存在に気づいたら、今後世界中が自分を断罪するように声を上げるだろう。


 だが、この五人はそのとき、それまで自身たちの味方であった仲間や故郷すらも裏切って、逆に攻撃してしまうような危険を孕んでいるのではないか?


 我が軍の将がこやつらに告げたという『大魔王を倒した者たちは一時だけ称えられ、やがて大魔王より力をもった脅威と見なされて、恐れられ、迫害される』という言葉……まさに、自分以上の脅威となるのではないのか?


「ひぎゃああ、た、たしゅ、助けてぇぇ! か、かーちゃーん!」

「う、うぅ、ころし、て……お、おねがいします、ころして、ころしてください! ころして!」

「あぅ、あ……あ、う、あぁ……」


 少なくとも、同じ人間相手にこれほどのことを躊躇いなくやってしまうあたり、その危険性は疑いようは無い。


「ばけもんだー! た、助けてくれー!」

「魔族だ……魔族に操られてるんだ!」

「助けてくれー、魔族がいるぞー!」


 ついには、悪党である盗賊たちが泣いて助けを乞いながら逃げ出す。


「あ~あ……村の方に逃げちゃったよ……めんどくさいなぁ」

「殲滅しますよ、シャイニ」

「みんな射抜いちゃうぞ~」

「ったく、もっと拳骨が必要のようね」

「逃がさない」


 頭を失って混乱する盗賊たちは、もはや我が身可愛さにバラバラになって悲鳴を上げて逃げ出す。

 これがもし戦争であれば、完全敗北。

 しかし、この逃げ方であれば全滅はせずに誰かは助かる。

 そしてこやつらにとっては、「この生活を外に広められる」ということは望ましくないだろう。

 

 自分としてはそれは望ましいこと。

 

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