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【㊗9/26コミックノヴァ・コミカライズスタート】冗談で女勇者たちを口説いた大魔王、攫われて強制新婚生活  作者: アニッキーブラッザー


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第25話 希望から絶望へ

 しまった。こやつらに気づかれてしまった。

 そして、アネストの魔法で盗聴まで……



「それでさー、話しているのはあの魔王軍最強の七星将の一人……『フェイト星将』なんだよねぇ? よりにもよって、ジャーくん除いた魔王軍最強に気づかれちゃうなんて、まいったな~」


「まったくですね。まぁ、あなたが死ぬとは思いませんでしたが、それでもお父様やお母様たち率いる精鋭部隊を相手に生き延びたというのは流石ですね」


「でもぉ~、もしラブリィたちの今の生活を奪うなら、絶対に許さないからね」


「ハッキリ言って、ジャーくんを奪おうとする者たち相手なら、悪いけど一切負ける気しないから」


「皆殺し」



 五人とも笑顔で明らかな怒気を滲ませて口に出しながら自分の向こう側に居るフェイトに告げる。

 すると、フェイトもカチンと来たのか……


『ふざけるな! お前たちの思い込みと自惚れもいい加減にしろ! 大魔王様がお前たちのような小娘になど……それなのに、大魔王様をギアスで辱め……勇者失格の淫乱どもめ! 地獄へ落ちろ! いや、それでも生温い! 我が大魔王様に働いた無礼は必ずや百万の後悔と苦痛をもって、貴様らに必ずや刻み込んでくれる! そして、大魔王様をジャーくんなどと、無礼ものどもめ!』


 

 殺意と憎しみを込めたフェイトの怒号。

 しかし、それを受けても五人は涼しい顔。


「ふ~んだ。フェイトには分からないんだよね~、種族を超えた愛ってのに」

「私と彼は心と心が通じ合っているのです」

「知ってた? 男の子が嫌がるのは、もっとやって、って意味なんだよ?」

「そうね。嫌よ嫌よも好きのうちってやつね」

「私たちとエッチなことしてジャーくんも本当は喜んでる。ジャーくんもエッチな事好きだから」


 と、まさにフェイトには火に油を注ぐ……のだが……


『ふぁっ、え、えっち……えち……えっち……ふぐっ……』 


 やはりその手の話題には弱いフェイト。

 すると五人はニタリと笑みを浮かべた。


「あ~、フェイトってば、お子様かな~?」

「おやおや、魔王軍の筆頭の星将もウブなのですねぇ」

「あははは、そうだよ~、ジャーくんとラブリィたちはラブラブエッチなこといっぱいこれからもするよ~♥」

「そういうこと。恋愛未経験の坊やは馬に蹴られる前に退散しなさい」

「お父様たちに言っておいて。幸せに暮らしてるから邪魔するなって」


 なんということだ……フェイトにとってもこやつらは宿敵だというのに、今ではまるで相手に……


『はっ! そ、そうだ……え、エッチ……大魔王様とエッチということは……何ということだ! 五人のお腹には既に大魔王様の御子様が!? そ、そんな!?』


 と、そのとき物凄い先走った勘違いをフェイトは……子……あっ!?



「へ? ん-ん、子供はまだかな~。欲しいけど、てか絶対作っちゃうけど。でも、それには時期が……」


『とぼけるな、貴様ら! 大魔王様は最上級神クラスの魔人族……満月の日や、意図的な体液コントロールをしない状態で交われば、100%妊娠するというのに!』


「……へ?」



 し、しまっ――――ッ!



「フェイト、今すぐ念話を切れ! 今すぐに!」


『へ? 大魔王様……何を……』


「よいか―――――「ジャー君今すぐ口を閉ざして。フェイトに指示も出さないで。あと、フェイトは念話切らないで」……」



 いかん、口が動かせぬ。脳内でフェイトに指示を出そうとしても、指示ができぬ!

 しかし、ソレを知られるわけには……知られるわけには……



「フェイト、今の話だけどどういうことかなぁ?」


「ええ、満月の日以外というのと、体液コントロールとは何のことですか?」


「教えてくれないと、ジャーくんの手足を切っちゃうよ?」


「早く教えなさい……なんて言ったの?」


「秒で教えろ」



 そして五人は笑顔の消えた真剣な顔。まずい、フェイト……ソレは……ソレだけは……



『どういうことも何も、何を寝ぼけている。大魔王様と、そ、その、エッチなことをしているのであれば知っているであろう? 大魔王様は選ばれし特殊な種族。女性や雌と交われば種族問わずに100%妊娠させることが可能……大魔王様ご自身の意志で体液を薄めるコントロールをしたり、大魔王様の体質が唯一変調する満月の日だけは除くが……』



 ソレだけは……



「ちなみに、フェイト~。ジャーくんの体液は人間にとっては強すぎる成分だから接種すれば肉体に強いリスクが伴うのは知ってるかなぁ?」


『へ? ……え、そ、それは……どういうことだ? そのリスクとはすなわち確実に妊娠してしまう以外になにかあるというのか?』


「……ちなみに満月の日だとどうなるか分かる~?」


『な、え? 何だ……どういうことだ? だから満月の日だとその力が弱まって、妊娠しないとかそういうこと以外に何かあると……』



 フェイトよ……そなたからの念話は自分にとっては希望だった……まぎれもなく希望だった。

 しかしたった今、全てそなたは絶望にしてしまったぞ!?



「「「「「へぇ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」」」」」



 そして、五人は自分に振り返り、これまで以上に怒りに満ちた笑みを浮かべていた。

 バレてしまった。



「っ、フェイト! 良いな、絶対に来るでない! そして、使命を全うしろ! 自分は決して死にはしない!」


『だ、大魔王様……しかし……』


「切れッ!」


『ぐっ、大魔王様……今しばらくの辛抱を! 必ずや僕がお救いしてみせます!』




 これから起こることを聞かれてしまえば、忠誠心の高いフェイトはこの地に乗り込んできてしまう。


 しかし、今あやつを失えばそれこそが絶望。


 だからこそ、今は耐えるしか……




「ジャーくぅ~ん。ほんとーにダメだなー、ほんとーに。彼女に嘘つくなんてさ~♥」


「まったくです。これはもう覚悟が必要ですねぇ♥」


「んふふふふ~、そっかー、嘘だったのかー、ほんとーはジャーくんと毎日四六時中エッチなことしても何も問題なかったんだ~♥」


「やってくれるわねぇ。もう、そっちがそのつもりなら、こっちももう同意がどうとか、まどろっこしいこと言わないわ……今すぐよ♥」


「即♥」




 嗚呼……こやつら……



「そなたたちに話が――――」


「黙ってジャーくん。はい、私たちと仲良くくっつきながら、一緒にベッドにいこう♥」



 そして、何とか口八丁で煙に巻こうとしても、もうこやつらはそれすらさせない。

 そのまま自分は朝まで――――ー

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