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【㊗9/26コミックノヴァ・コミカライズスタート】冗談で女勇者たちを口説いた大魔王、攫われて強制新婚生活  作者: アニッキーブラッザー


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第15話 空中チュウをしながら戦へ

 どこまでも続く青空に、広大な森林と山々。それを超えると広々とした平原が広がる。

 地上ではこれまで荒れ果てた戦地ばかりを見てきたものだから、こういうのは心が……


「アナタ……ん、ちゅっ♥」

「ぬっ」

「うふふふ、遠くを見つめるアナタの横顔も素敵で、思わずキスしてしまいました♥」


 心が……やはり安らがん。 

 スカイドラゴンに三人乗り。真ん中に自分が座り、自分の背に抱き着くようにアネストが乗って、後ろからキスをしたら弄ったりしてくる。


「ジャーくん、もっと私もチュウ♥」


 そして自分の前には、自分と向かい合うように座って抱き着いて、頬を突き出してキスを求めたりして発情するキルル。

 落ち着くわけがない。



「そなたたち、気を抜きすぎであろう。仮にも力が不明な千人の軍……まもなく接触というのにこのような淫蕩な……」


「まぁ! 妻を心配してくれるのですね、ア・ナ・タ♥」


「安心して。次の満月の日にジャーくんといっぱいエッチして子供もいっぱい生むって考えるだけで最強になるから♪ だからもっとチュ~」



 気を抜き過ぎというより、「絶対に負けるわけがない」という自信なのだろう。

 まぁ、五人がかりとはいえ自分を倒した内の二人だ。

 それだけでなく、多人数を同時に仕留められる大魔法や技を使える二人には、もはや数など大した脅威ではないということだ。


「それよりも、キルル、少し場所を交代してもらえませんか? 私も正面から抱き合ってキスしたいです」

「ダメ。私の指定席」

「ずるいですよぉ!」

「そこで我慢してて。あっ、そうだ……ジャーくん」


 それどころかこんな所で言い争ったり……


「ちょっと我慢できないぐらいムラムラしちゃった……先っぽだけだから……絶対にさきっぽだけだから……いい?」

「ッ!? ぐっ、貴様もか?!」

「ぶっ、さ、流石にソレはいけません、キルル!」


 あろうことか、あまりにもありえないバカげたことをも口にする。

 もっとも、流石にソレは問題だとアネストが……


「それは私が先です! あなたはもう十分イチャイチャしたでしょう!」


 ……こやつも大概か……だが……そろそろ―――



「ぬっ……」


「あ~、うぅ、もうですか……」


「いた」



 流石にこやつらも表情が変わった。

 三人で前方を見ると、長い列になって馬で平原を駆け抜ける武装した兵たちを発見。

 数も千程度。

 あやつらであろうな。






「まったく、まさか我が王国の領土で魔族が暴れているなど、驚きよね」

「うん……怖いわ……」

「何ビビってんのよ、私たち王国騎士団がこの国を守るのよ!」

「でも……その辺のモンスターとかの退治ならまだしも、もし魔王軍とかだったら……」


 遠目からでも分かる。

 兵たちの表情はどこか浮かない。

 やはり、連合にも加盟しておらず、これまで魔王軍との戦経験も皆無だった連中。

 不安の方が大きいのだろう。

 ただ……


「ふふふふ、ならばそれは我らにとっては武勲を上げるチャンスとも言えるではないか?」


 中にはそれなりの空気を纏った者も居る。

 隊の先陣を切って兵たちを率いる女。アレが将だな。

 なかなか鍛えられ、自身の力にも自信を持っている。

 先日の女盗賊団のボスのような女だな……



「カテンヌ隊長……」


「国王様の意向でこれまで我らは異大陸での人類と魔王軍の戦に参戦することができず、戦乱の世で英雄となる機会に恵まれなかったが、女として生まれ、兵となった以上は、やはり目指したいではないか」


「おぉ……それは、確かにそうですね! では、この一戦でカテンヌ隊長も将軍への昇格なども……!」


「ふむ、それは何とも滾る話でないか」



 若干緊張していたであろう他の兵たちの表情が和らいだ。

 どうやら力だけでなく人望もあるようだ。

 

 惜しいものだ。


 相手がこやつらのようなバケモノでなければ……


「スーちゃん、では高度を下げてください! まずは私が話をします」

「ガウガウ」

 

 そして、顔つきの変わったアネストの言葉に頷いて、スーが下降していく。

 そして向こうもこちらに気づいた様子。



「な、隊長、あ、あれを!」


「ドラゴン! しかも、スカイドラゴンだ!」


「あの背に、誰か乗っている! こっちに向かって来るぞ!」


「ッ!? 総員、いますぐ構えよ!」



 慌ただしく連中も馬を止め、こちらに対して身構えている。

 そしてその頃……


「……あやつめ」


 自分と向かい合うように抱き合っていたキルルが、何も言わずに自分の前から姿を消した。

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