70 塾っぽい何か
すみません、話の流れ上めちゃくちゃ短いです。
「キリトさんは高度計算も出来るのですね」
「へ?」
設計図で部屋数や面積の計算をしていたら、偶然通りがかった院長先生から声を掛けられ、変な声が出た。
「高度計算、ですか?」
「ええ、今面積計算を行われていましたよね?」
「建築設計を勉強したわけじゃないので大雑把にですけどね。ある程度計算しておかないと家具なんかを置けなくなってしまいますし」
面積計算を“高度計算”って呼ぶのか?
よくわからないので、曖昧に返事してへらりと愛想笑いをする。
「良ければ子供達に計算を教えてやってくださいませんか?」
よく分からずに、へらりへらりと曖昧に返答していたら、何故か子供達に勉強を教える事になっていた。
基本文字と四則演算ぐらいならなんとか教えることが出来るだろうけど……。
とりあえず、小学校の教科書を思い出しながら、足し算・引き算の概念も絵に描いてみた。
でっかい羊皮紙に基本文字表や、日常的に使う単語や物の名前、一から百までの足し算表に九九などを書いて学習室の壁に貼る。
「キリト兄ちゃんこれなぁに?」
「これは計算の表だよ。こっちが足し算で、こっちが引き算。あっちが掛け算。向こうは基本文字と単語表」
数人の子供が駆け寄ってきた。
試しに、パンがひとつずつ増えるイラストを指差して数を教えて、順を追って説明してみると、あっという間に理解してしまった。
「なぁなぁ、じゃあコレは三十四?」
「こっちは『こっぷ』?」
「おお、正解だ。君らは本当に物覚えがいいなあ」
頭を撫でながら褒めると、頬を染めて自慢げに笑う姿が可愛らしい。
あれは?これは?と先を争う様に質問を投げかけてきては理解した事を応用して尋ねてくる子供達。
まるで乾いたスポンジが水を吸い上げるかの様にぐんぐん覚えていくその姿に驚かされる。
今のがわかったなら君達が下の子達に教えてあげて、と話すと大きな子達は責任重大だ、と真剣な顔で勉強していた。
そうやって子供達と過ごしながら図面を描き上げていたある日、ヤンスさんが街で一番と言われる建築家を連れてきた。
いつも俺不運を読んでくださってありがとうございます。
いいね、ブックマーク、評価、本当に励みになります。
これから少し短いお話が続きますが、ご容赦ください。
中々筆が進まずかなりヤバめです……




