間話 ○視点 アルマ 【魔法の夜明け】
アタクシはアルマハルトを統べる女神、アルマですわ。
アタクシが彼の存在を知ったのは、師匠からのお願いがあったからでしたの。
厄介事は遠慮したいところですが、人の子を一人世界に受け入れるだけだ、と言われれば受け入れて差し上げるのが女神の度量というものですわ。
その人の子は、見目はあまり良くなくて、身体つきもひょろひょろの貧弱で、正直受け入れ難いものでしたのよ?
でもね、なんとその人の子は、衰退していた魔法を復活させたのですわ。
あれだけアタクシが喜んだことは久しぶりでしたのよ?
危うく祝福を授けてしまうところでしたわ。
しかも、将来有望な稚い子供達に魔法を広め始めたのです!
嗚呼、なんと喜ばしいことかしら!
それに、なによりもあの小さな人の子達の魔法を扱う姿の愛らしさと愛おしさときたら!もう!
もう!もう!
アタクシ、身悶えしてしまいそうになってしまいましたの。
舌足らずな口調で、「あたちのなかのよおせえさん……」だなんて!
思わず新しい魔法と魔法生物を作ってしまいましたわ!
ええ、ええ。
スキルの生成は慎重に行なわなくてはいけない事など百も承知ですわよ?
でも、貴方、これを見てもそう仰れて?
ね?ね?ねー?かーわいらしいでしょう?!
自分の中に“妖精さん”がいる事を微塵も疑わず、あどけなく、真剣に。
あのように祈られてしまっては“妖精さん”を作らねば女神の名が廃るというものですわよ!
アタクシの可愛い子ども達。
魔法をまた取り戻してくださいませ。
そうしたら、【鑑定】をまた授けて差し上げますわ。
もっともっと魔法を拡げるのです!
魔法に溢れた美しい世界を、またアタクシの手に戻して下さいな。
はぁ、それにしてもイーリスちゃん達はどこまでも愛らしいわね。
ひょろひょろの貧弱っ子も、中々良い仕事するのではありませんか?
このように広めてくれるのであればアタクシ、貴方に加護を授けても良くってよ?
だから新しい子供達にもっと【妖精さんの魔法】を広めてくださってよろしいのよ?
うふふ、ふぁんたじーに溢れる世界をまた見る事が出来るのね!
楽しみだわ!
ね!お姉様!
いつも『俺不運』読んでくださってありがとうございます。
ちょっと思いついてどうしても入れたくなってしまったアルマ女神視点の間話です。
イーリス、お気に入りなんです。
きっとアルマ女神も同じ気持ちだろうな、と思ったらスルスルとアルマ女神が語ってくれたのです。
ブックマーク、感想、評価、誤字脱字報告いつもありがとうございます。
次回は少し真面目に冒険しに行きます。
滅多にない真面目な『飛竜の庇護』をどうぞよろしくお願いします。




