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62 孤児院の魔法教室

 いつも『俺不運』読んでくださってありがとうございます。

 今回は話の流れの関係で短めです。

 あらかじめご了承下さいませ。

 お行儀良く並んで座っている子供達は魔法の才能のある子達を厳選しているそうだ。

 何故かエレオノーレさんまでいる。

 デイジー監修の呪文を、子供と手を繋いで唱える。


「俺の中に居る土の妖精さん、どうか傷ついて疲れた壁を直してあげて。この手の触れる傷がなくなる様に」


 かなり恥ずかしかったけど効果は抜群だった。

 変換した魔力を繋いだ手を通して子供達の手から発動させたのも良かったかもしれない。


「できたー!」

「私もできたわ!」


 想像していたよりも多くの子たちが、魔法を発動させた。

 喜び飛び跳ねる子供達に混じり、エレオノーレさんが豊かな胸をそびやかす。

 おおう、目のやり場に困るよ!

 それを見て自分のなだらかな胸をそっと押さえるデイジーは見なかった事にする。


「自分の中に土の妖精さんが居ることわかった人は色んな場所を直してね。よくわからなかった人はもう一回こっちに集まって」


 デイジーの指示に素直に従う子供達。

 土の妖精、と言い換えているけれど、ただの土属性の魔力だ。

 子供がイメージし易く、かつ万が一目をつけられた時も普通の魔法とは違うぞ、と思わせる作戦である。


「良いか?外でこの魔法を使うときはタダでやったらダメだぞ。必ず対価をもらうんだ。でも、君らが大きくなってこの孤児院に顔を出した時は率先して無料で修復してあげるんだ。ここは君達の帰るべき家なんだからな」


 そう言うと、皆が真面目な顔で頷いた。

 それから、皆で手分けして修繕していく。

 天井などの高い所は大人組が、壁やその他低い場所は子供達が担当だ。

 四歳くらいの女の子が舌っ足らずに「わたちのなかのつちのよおせえさん……」と真剣な顔で壁の傷を修復しているのは可愛いやら末恐ろしいやらでなんとも言えない気持ちになる。

 ハンスが、頑張り過ぎてふらついたのを見つけ、デイジーが説教する場面もあった。


 沢山魔力を使用した事もあって、子供達はあっという間に眠りについた。

 院長先生からは何度も何度もお礼を言われた。

 くすぐったくて、気恥ずかしくて。

 眠たくなったと言い訳をして部屋を飛び出すと布団にくるまって寝てしまう。


 部屋の外から皆の笑い声が響いてきた。

 恥ずかしいけれど温かくて、幸せな気持ちで胸がいっぱいだ。

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