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53 衝撃の事実と盗賊の処理

 デイジーが習った教師は、帝都でも教え上手で有名な魔法使いで、その中で数名は魔力を扱える様になったのだとか。

 俺の教え方は“魔力を流す”ところから始まり、“呪文等は自分が解りさえすれば良い”等、全てにおいて現代魔法としては異質で、下手に口外できないレベルなんだそうだ。


 結局、俺の【マナーブック】に書いてある事は非常識に当たる様だ。

 原因を探る為にアレコレ考えてみたけど、デイジーに言われるままにエーアスト帝国の歴史を表示させて謎が解けた。


 この【マナーブック】は三百年前の情報だったのだ。


 この、【マナーブック】は、三百年前の、情報、だった。


 なんてこったあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!


 魔法はなんでか知らないけど衰退してしまったみたいだ。

 つまり俺の予習は、全部無駄だったわけだ。

 いや、魔法が使えているから全部ではないのか?


 念の為幾つか確認してみたところ、かなり常識が違う。

 確かに日本も三百年あれば、車だってケータイだって発明されている。

 生活常識が丸っと違っても全くおかしくない。


 二人で頭を抱えているとヤンスさんが顔を出した。


「そろそろ回復したかー?……何してるんだお前等」

「ヤンスさぁぁんっ!俺、ダメかもしんない!」


 どこから覚え直せば良いのか分からないくらいにズレが多い。

 正直全てを投げ出したくなるくらい面倒だ。

 教科書がそもそも前時代の物とか、俺の行動指針がグニャグニャになってしまった!と感情をぶちまけると、ヤンスさんは遠い目をして溜息を吐いた。


「よし。一旦全て忘れろ。そしてロープをありったけ寄越せ」

「現実逃避しないで下さいよぅ。ロープは出しますけど……」


 ぐずぐず文句を言いつつ【アイテムボックス】からロープを取り出す。

 デイジーすら、視線を合わせてくれないのだ。

 傷つくわぁ……


「そういえば、盗賊達はちゃんと強制労働になるんですよね?」

「そうだな。ここで死を選ぶ奴は別にして、それ以外は強制労働、労役になるな。なんで今更?」

「こちらに対する知識の自信がなくなったんです〜」


 拗ねて体育座りをする。

 良いんだ。

 どうせ非常識野郎ですよ。

 俺、なんかやっちゃいました?はテッパンですよ。

 テンプレですよーだ!


 ひとしきり拗ねたところでデイジーに声を掛けられて、オーランド達の手伝いに行く。

 天幕を出ると、商隊の人達は思い思いに寛いでいた。

 彼等の間を縫って『飛竜の庇護』の所に行くと、縛られた盗賊達が二十人くらい居た。

 その前で、オーランドが仁王立ちで殺気を放っている。


 エレオノーレさんに話を聞くとオーランドは「ここで縛られたまま魔物に齧られるのと、素直に歩いて次の街の警備隊に引き渡されるのはどちらが良いか?」と問い掛けたらしい。

 それに対して盗賊達は仲間割れを始めて、誰が悪い、アイツのせいだ、いや、お前のせいだ!等と見苦しい事この上無かったそうだ。

 それを見たオーランドが殺気を放ち、盗賊達は怯えている。

 今ココ。

 らしい。


 漏れ聞こえた内容から、本来は出てくる予定の無かったメンバーまで捕まって、逃げる事が出来ない、という事がわかった。


「キリトちゃんが潜んでいた奴までビリビリしちゃったからね。お手柄じゃん?……とんでもない魔法でね。(ボソリ)」


 肩を組んで、誉めている様に見えるけど、最後に俺にしか聞こえない声量で付け足した一言と、肩に回された指先に怒りがこもっていた。

 本当にごめんなさい。

 オーランドは盗賊とか山賊とか、そういう奴等が大嫌いなのだそう。

 他人の迷惑になることをするのが許せないんだとか。

 マジ怒りのオーランドはめちゃくちゃ恐い、俺も怒られない様、気を付けよう。


 返事をした盗賊達は武器を剥ぎ取られて縛られている。

 それを可哀想だと思うのは間違いだろう。

 うっかり武器を持ったまま油断すれば間違いなく此方に大きな被害が出る。

 念には念を入れるしかない。

 俺は、彼らが武器になるものを持っていないか【鑑定】で確認していく。

 靴底に刃物を隠し持っている奴が居た。

 そいつから靴を脱がせると、ヤバい奴を見る目で見られてしまった。

 他にも糸鋸をベルトに忍ばせている奴もいた。

 色々まとめて没収した後で、オーランドに報告する。


 様子を見に来た盗賊の仲間がいる事も含めて。

 いつも俺不運読んでくださってありがとうございます!

 ブックマークいただきありがとうございます。

 とても、とても励みになります。


 やっと霧斗と周りのズレの原因が発覚しました。

 長かった!

 犯人は神様候補者の一人です。

 基本的にスキルは最適化をして与えるのですが、極度の緊張と焦りでそのまま与えてしまった事が要因です。

 とはいえそれは霧斗達にはわからない、まさに「神のみぞ知る」事実ですね。


 ちなみに、霧斗は気づいていませんが、彼が「常識」や「マナー」だと思った事はどんどん更新されています。

 ちゃんとハンターの章を確認すれば、「頭を下げて挨拶してはいけない。舐められたら終わり」と他の文書とは違う色で表示されます。

 盗賊の扱いも更新されていて、強制労働については同じ内容が違う色で表示されました。

 他の詳しい処分についてなどはまだ以前の色のままですね。

 殺処分的な所は昔よりも厳しめになっています。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >確かに日本も三百年あれば、車だってケータイだって発明されている。   ◇ ◇ ◇  いつの時代からの話? 現代では車もケータイも既に発明されているけど、戦国時代以前なら300年経…
[一言] 魔法に関しては、山奥で隠居していた魔法使いから学んだと言えばワンちゃん誤魔化せ・・・無いかな?。 誰だと聞かれたら適当な名前を言って、亡くなった事にしておけばいけるかも?。
[一言] やっとわかった! キリトの行動にすごくイライラして読んでた(笑
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