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50 護衛クエスト

 出発の日。

 まだ暗い内から店の前に集まる。

 武器商店 『グリフォンの嘴』

 三階建ての煉瓦造りで、なんとも立派な店構えである。

 でも何でだろう?この街の店名は素材の名前じゃないといけないルールでもあるのか?


 エーミールさん達は幌馬車が三台に、商隊長のエーミールさん、ベテラン商会員のニクラスさん、御者兼商会員さんが五人、小間使いの少年が一人だ。

 皆短いマントと、動きやすそうな服を着ている。


 俺達もビシッと旅装を決めている。

 昨日のうちに各種調味料や食材から備品、薬や替えの服なんかまで充分過ぎるくらいに、買い揃えておいた。

 念願の胡椒や砂糖もお金に物を言わせて購入した。

 全員この間のマジックアイテムを装備して、バックパックも使い勝手良く整えてある。

 不用品は木箱に詰めて【アイテムボックス】の中だ。

 オーランドは、新しい金属製の胸当てに変わっていて、見た目から頼り甲斐がある。

 俺は、あの総オリハルコン製の杖に、マントまで着けて、格好だけは一人前だ。

 中身と体力は今後の成長に期待って事で。


 話し合いの中で決まった事だが、俺とエレオノーレさんとデイジーは馬車に乗って行く。

 俺は体力が無いし探索魔法があるから、真ん中の馬車で全体の警戒に当たるのだ。

 エーミールさん達には詳しくは言えないから、気配察知が上手いのだと誤魔化しておいた。

 エレオノーレさんとデイジーは、エーミールさんが是非とも、どうか!と言われたので乗る事になった。

 乗る事が決定してから、エレオノーレさんにはジャックという旦那さんがいて、人妻に手を出すとどうなるか解るよな?うちの可愛いメンバーに変な真似したら許さないからな?とオーランドが脅していたのは見なかった事にした。

 俺にも下心が透けて見えていたので、仕方がないと思う。


 先頭の馬車が、御者の人とニクラスさん。

 馬車の中身は、商品と馬の餌、横に徒歩のオーランド。

 真ん中が、御者の人と俺が御者席に座り、馬車の中身が、高額の商品にエーミールさんと、御者の交代要員である商会員の二人と小間使い君。

 横に徒歩でヤンスさん。

 最後尾が、御者の人が一人と、馬車の中身に商品と移動中の食料や商会員達の荷物類に、天幕類、そしてエレオノーレさんとデイジー。

 横に徒歩のジャックさん。


 商品が三つに分かれているのは、万が一の事故などでどれかの馬車が駄目になっても、最低限の利益を出せるようにする為だそうだ。

 人員配置については、デイジーは真ん中の馬車でという話も出たのだが、初対面で為人も分からない所に、戦う力のない女性神官をおいてはおけない、とエレオノーレさんが断固拒否した。

 ヤンスさんと不肖俺、霧斗が居れば大抵の敵はどうにでもなるし、接敵される前に俺が気づくから一番安全だとも、言いくるめていた。



 そして今回、俺はみんなに厳命されている事がある。



『魔法は極力使うな。使う時はデタラメでも良いから呪文を唱えろ』


 何故か衰退している無詠唱で、変に目立って目をつけられたく無いので従うしか無い。

 テクマクうんちゃらって唱えてやろうか?それともぴーりかうんちゃら?古い女児アニメ鑑賞を、従姉妹に強制的に全話付き合わされたから大抵のは言えちゃうんだぜ。


 おっと話が逸れた。


 馬車に乗り込む前に探索魔法を起動して、お手製の座布団を敷いて、いざ出発。



「キリトくんはさぁ、デイジーちゃんの彼氏か何かなの?」

「違いますよ。でもティモさんは手を出しちゃダメです。デイジーは純粋無垢なので」


 ティモと名乗った御者の男は物凄くお喋りだった。

 どこで息継ぎしてるんだろう?って思うくらいに、次から次に喋る。

 俺も初めは丁寧に接していた。

 だけど何時間もそれが続くと、いい加減扱いもぞんざいになるというものだ。

 焦茶の髪に焦茶の瞳のこの男は、優しいのは色味だけで、隣に座っているだけなのに、何故か気力を消耗する。

 あ。


「ヤンスさん、ヤンスさん、ちょっと」

「ん?」


 ヤンスさんを手招きして耳打ちする。

 ひとつ頷くと、自然な動きでオーランドの所に歩いて行く。

 雑談して戻ってくると、そのままジャックの所にも。


「え?なになに?どうしたの?」


 ティモさんが興味津々に聞いてくるけど、ティモさんに近づくとお喋り攻撃が来るよ、って伝えたとふざけておく。

 ひでぇよ!とか聞こえるけどスルーだ。

 本当に少しは静かにして欲しいものだ。

 もしくは御者のチェンジを希望する。


 しばらく進むと、少し開けた道に出る。

 休憩とかに使う広場が道に併設されていると言った方がいいかもしれない。


「ちょっと止まってくれ」


 真剣な声で、オーランドが商隊を停める。

 馬達がいななきながら、ゆっくり止まる。

 それに合わせて、前からゾロゾロと小汚い男達が現れる。

 道の前後を塞がれた。


 盗賊だ。

 いつも俺不運を読んでくださってありがとうございます。

 ブックマーク、評価、いいねとても嬉しいです!

 本当にありがとうございます。


 いよいよバトルスタートです。

 戦闘シーンは苦手ですが、頑張ります。

 次回もどうかよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 何か言われた時の主人公の内心を見る限り、注意されても真剣に受け取ってないんだろうなこれ。 これだけ不真面目だと温度差酷そう。
[一言] 竜破斬でも唱えればいいのに
[一言] テクマクマヤコンテクマクマヤコンとかラミパスラミパスルルルルル、パンプルピンプルパムポップン、マハールターマラフーランパなんて若い読者は知らないだろうなぁ。
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