◯視点 アルマ 【貧弱っ子】
三周年記念で突っ込みが沢山入っていましたので後程出す予定だった間話を修正して急遽投下します。
短いですが、ネタバラシとしてお楽しみください。
本編を読んでいた方はもう一つ前にも間話がございます。
まだの方はそちらからお読みくださいませ。
アタクシはアルマハルトを統べる女神、アルマですわ。
アタクシが彼の存在を知ったのは、師匠からのお願いがあったからとは以前お話しましたわね。
ええ、厄介事は遠慮したいところですが、人の子を一人世界に受け入れるだけだ、と師匠に言われれば受け入れて差し上げるのが女神の度量というものですわ。
その人の子は、見目はあまり良くなくて、身体つきもひょろひょろの貧弱で、正直受け入れ難いものでしたのよ?
本当に残念な人の子ですわ。
でもね、なんとその子は、衰退していた魔法を復活させたのですわ。
あれだけアタクシが喜んだことは久しぶりでしたのよ?
それからというものアタクシ彼の観察をする事にしました。
いつ魔法を広めてくれるのか楽しみにしていましたの。
なのにあの子ときたら、ほんの少しだけ広めたかと思ったら魔法を教える事を止めてしまいましたのよ?
アタクシあの時はとても悲しく思いましたわ。
とはいえ、あの子は中々に観察し甲斐があったのですわ。
新人達が変なスキルの付け方をしたせいで、ありえない組み合わせになっていまして、本人の気質もあるのでしょうけど、見ていて飽きないんですの。
地球の食文化を持ち込んだり、ファッションを持ち込んだりして人の子の文化水準がぐんとあがりましたわ。
魔法を教える事はなくなりましたが、魔法の可能性は見せつけてくれましたし、ふぁんたじーには貢献してくれていますの。
あの時の真摯な祈りはとても良いものでしたわ。
魔力を込めて呼びかけるあの子の声は、きっと見ていなくてもアタクシに届いた事でしょう。
普段はシステム任せにしてあまり応えませんが、この時ばかりはすこぅしだけ手助けして差し上げたわ。
傷付いた人の子が回復すると、良質な感謝の祈りが沢山届きましたし、これからも見守ってあげようと思いました。
ドワーフの子らと大きな鏡を作ったり、建物を作ったり、文房具を作ったり。
死にそうな幼子を助けたりもしていましたわね。
その後は精霊とも仲良くなっていましたわ。
あの子、種族を気にしないから誰とでも仲良くなれるのよねぇ。
あの時歌っていた歌は中々趣深いものでしたわ。
ぜひもう一度聴きたいものですわね。
そうそう、人の子が行うオークションとやらの時は笑わせてもらったわ。
次から次へと悪事を働く子を吸い寄せたり、八つ当たりを受けたりしていましたもの。
あと、あれね。
『金継ぎ』
うふふふふふふふ。
今思い出してもお腹が捩れそうよ。
あの子、言葉の響きで勘違いしていて……っ!
どこからか「違う!そうじゃない!」と叫ぶ声が聞こえるようだったわ。
勿論ウチの世界にも金継ぎという技術は存在するわ。
それもほとんど地球と変わらないやり方でね。
え?あら?ご存知ないの?
そうですわね、簡潔に説明すれば、金継ぎとは陶器を樹液などの接着剤を使用して継ぎ合わせ、その合わせ目に金を塗布した物の事を言うのだけど、んふふふっあの子ったら……っ。
くすくすくすくす。
ごめんなさいね。
魔法で接着剤と金を溶かし合わせて、それで接着してしまったのよ?
ほとんど魔法だけのゴリ押しで、金を使う意味もありませんでしたし、なんだったら接着力を落とす……っうふふふふ。
んん、こほん。
まあ、一事が万事こんな感じでね。
この貧弱っ子はとても面白いのよお姉様。
ほら、こちらもご覧になって……。
というわけでネタバラシです。
以前書いた時は普通にやった想定でしたが、ちょっと待てよ?と。
いっかいのイラスト系専門学生が正しい金継ぎ方法を知っているだろうか?
念の為、知り合いに知ったかぶりでいいから調べずに答えて、と質問した中で霧斗が誤解してそうな答えをセレクトしました。
ちなみに、オーランドも存在は知っていますが、やり方などは知りません。
ヤンスはノーコメントで参ります。
ちょっと勘の良い方が多いので隠せていない気がしますが、あえてノーコメントを貫かせてください。
勘違いの霧斗をくすりと笑ってあげてくださいませ。




