15 初クエストにわくわくが止まらない
入る前からゴタゴタしたものの、パーティ登録もスムーズに終わり、報酬ももらえた。
パーティ登録はハンターギルドで数枚の書類を書くだけだった。
参加する前の報酬は辞退するって言っているのに、俺のおかげで達成できたのだから受け取る権利があると押し付けられてしまった。
レジーナからの追加報酬は後日振り込まれるとの事だった。
そう、『振り込み』なんだよ。
ハンターカードが通帳代わりになっていて、ハンター登録したのに合わせて口座も出来ているのだ。
なんてハイテク!
パーティも登録した時にパーティ口座が作られる。
申請しておけば報酬の何割かを自動で其方に振り込んでおいてくれるなんてサービスもある。
依頼によっては高額な物もあり、依頼料を手渡しすると身の危険を感じてしまう時もあるのだそう。
そんな時に使用されるのがこの口座。
利子が付いたりとかは無いのだけれど、手数料無しで引き出せる。
もちろんニコニコ現金一括払いもできる。
そんなことしてギルドにはなんの利益もない様に思われるけど、実はかなりある。
ハンターが亡くなった時、そのハンターの個人口座のお金は全てギルドのものになるのだ。
パーティ口座のお金は残ったパーティの仲間に配分される。
登録された家族が居る場合はお見舞金が一律で支払われてそれでお終い。
口座のお金は小銅貨一枚たりとも渡らない。
また、五年間振り込みも引き出しもされていない口座も同様だ。
つまりはちまちまと口座を利用しつつ余り溜め込みすぎない様に計画的にお金を使わなくてはいけないという事だ。
家族持ちはさっさと家を買って、売ればお金になる物に変えて溜め込んでいくらしい。
うーん……よく考えてるよなー。
結局ギルドは魔法的に管理するだけなのでお金は一つの金庫にそれなりに入っていればオッケーと言う事だし、クエスト失敗して死んだりしたら違約金を払って残りはギルドに丸ごと入るって事だもんね。
ま、俺は【アイテムボックス】があるから大丈夫だけどね。
五年間使わないと没収されちゃうからちょびちょびは使っていこう。
うん。
というわけで、新しいクエストを受注する事に。
クエストは討伐系、採取系、護衛系に分かれている。
基本的に討伐系は緊急依頼のものが多い。
素材は気にせず倒して欲しいって言うわかりやすい奴。
次に採取系は読んで字の如く何々をどれだけ集めてくれって依頼。
植物や鉱石なら戦闘は少ないものの、遠かったり、暑かったり、寒かったり、汚かったり、重かったりするらしい。
反転して、生物、魔生物、魔物の素材採取は戦闘はある上に、素材の部位によっては傷を付けてはいけない箇所があるなど、かなり制限される。
前回のグリーンフライフォックスがこれだ。
護衛系もそのまんま。
誰かを護衛をする仕事だ。
ただ、これも危険度は高い割にあまり旨味は無いようだ。
有名なパーティとかは別だけど基本的に使い捨てというか、壁役というか……そんな感じの扱いになるそうだ。
お金持ちで護衛を依頼する人達は既に強い専用の護衛が居て、人数が足りないから、とかホントに護衛の魔法使いの呪文を唱え終わるまでの壁だとか囮とかになってしまうらしい。
で、あまり裕福ではない人達の依頼は本当に割に合わないのだとか。
申請人数ギリギリいっぱいまでの人数で申し込んで、一人が支払う金額を抑えたり、危険だから勝手な行動を慎め、と言っても無視した行動を取ったりと神経が擦り切れてしまうそう。
因みに前回の俺の依頼「近くの街まで連れてって」もこの護衛系に当たる。
唯一護衛系の良いところは腕が良いとあっという間に有名になれる所だそう。
名声を求める若い男の子達は此方を狙うとか。
(こうやって見るとハンターってかなり足元見られた仕事だよなぁ…… 誰でもなれるけど、命を賭けて仕事して二束三文……)
今回は鉱石の採取依頼にするそうだ。
ダンジョンの奥にある採掘ポイントから魔力を多く含む蛍石を出来るだけ多く持ち帰って欲しいとの事。
俺は【アイテムボックス】があるから沢山持って帰れるぞ!
皆に役に立つ所を見せなければ!
ふんす。
読んで下さった方、ブックマークして下さった方ありがとうございます!
やっとちゃんとしたハンターとして活動が始まります。
これからもどうぞよろしくお願い致します




