間話 ○視点 デイジー 【調合の才能】
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大変短い上に、だいぶ前のお話ですが10000pt記念間話として投稿させていただきます。
わたしがキリトさんに拾われてあっという間に一週間が経った。
これまでは、いつ怒鳴られるか、殴られるか分からずビクビクしながら心休まらない時間を過ごしていたけれど、今いる『飛竜の庇護』の人達は本当に優しい。
毎食しっかり食べられるし、キチンと休める。
食事のお金も、わたしが全部出さなくてもいいし、作るのだって当番制だし、ジャックさんをメインに皆が手伝ってくれる。
材料はキリトさんが必要なものをすぐに出してくれる。
後からメンバーになったからって雑用を押し付けられない。
夜にあの嫌な声を聞く事もない。
全部、全部、キリトさんのおかげだ。
ぶつかって、迷惑を掛けたのに、優しく声を掛けてくれた。
キリトさんの仲間から向けられた敵意から守ってくれた。
髪を編み込んでマジックアクセサリーで留められた時は口から心臓が飛び出るかと思ったし、笑顔で褒められた時は倒れてしまうかと思ったけど。
……あ、だめ。
今、思い出しただけでもドキドキする。
そんな“とてもすごいキリトさん”にも苦手な事があるのだと今、初めて知った。
「うっわ!なんで?!なんか俺のだけ色おかしくない?!」
スプーンにすり切り一杯と言っても山盛り入れてしまったり、タイミングがズレたり、沸騰させてはいけないと言ってもうっかり沸騰させてしまう。
料理はできるのに調合は出来ない典型例だった。
多分本人はキチンとやっているつもりなので注意しても改善は望めない。
「キリトさんには素材の処理をお願いします」
「……わかりました」
そう言うと、乾燥した薬草の葉と茎、根に丁寧に仕分けていく。
なんで素材処理は完璧に出来るのに調合はダメなのか理解できない。
でも孤児院に同じような子がいた。
もう、そういう人なんだ、と思うしか無いんだとわたしはその時に学んだから何も言わない。
材料をすり潰して、水を加え、練り上げる。
別の素材を水に溶かして濾過する。
不純物の抜けた溶液を練り上げたペーストに少しずつ入れて伸ばしていく。
するととろりとした液体になる。
この時に綺麗な青色になる。
カラカラに乾いた木の実を細かく砕いてサラサラになるまですり潰すと先程の青色の液体に適量入れて丁寧に撹拌する。
キチンと混ざれば色が緑色に変わる。
失敗すると濁った青になる。(さっきのキリトさんの状態だ)
さらにこのとろりとした緑色の液体に別の素材を溶かしていた水を加えてとろ火に掛ける。
決して沸騰させてはいけない。
「はぁ……」
ふつふつと揺れる水面を見ていると、キリトさんが溜息を吐いた。
何かガッカリされてしまったのだろうか?
ちらりと視線を向けるとキラキラした目で小鍋を見ている。
「デイジーは凄いね!まるで魔法みたいだ!」
「ええっ?!」
にっこりと輝く笑顔が眩しい。
わたしはキリトさんに見惚れて、うっかり思考停止してしまい、一回分の材料を無駄にしてしまった。




