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113 ランジェリーレボリューション 4

※ご注意下さい※

 「ランジェリーレボリューション」のタイトルの付くお話は、下着が話題になります。

 苦手な方は読み飛ばして下さい。

 下世話な話や、直接的な表現はほとんどありません。


 霧斗にとって、下着の研究は絵のリアリティの為です。

 断じてえっちな下心ではありません。(……多分)


 読み飛ばす方用に、あとがき部分にあらすじを載せています。

 ブリギッテ(泣く泣く弟子として受け入れた後、名前を呼び捨てる様に、と切々と訴えられた)を強制的に弟子に取らされて、約一ヶ月。


 現在()()()は俺達の拠点に住んでいる。


 受注していた仕事を全て終わらせて、現在工房は改装中だ。

 改装のお金は、ブリギッテの工房からと、俺のお財布から出ている。

 いつの間にか提出されていた書類のせいで、強制的に共同経営者にされてしまっていた。

 なので、改装費を俺から渡したのだ。

 俺は出さなくて良いと何度も固辞されたが、こういう事はきっちりしとかないと後々問題になると、父が言っていた。

 そして、行商人から店舗持ちに変わった為、俺の商業ギルドへの税金も小金貨一枚に上がってしまった。

 初回は差額のみを支払い、来年度は一括で小金貨を支払う事になる。

 半年分が勿体無いと思う俺はがめついのだろうか?

 勿論、行商してはならないという訳では無いので、出掛けた先での商売も可能である。


 ちなみに、彼女達、というのは、ブリギッテの工房で働くお針子見習い達で、工房が改装で一時的に閉まる為、一緒に移動してきたのだ。

 確かに商品として売りに出すのであれば、お針子さんも育てなくてはならないし、工房に住み込んでいたのであれば、住む場所にも困るだろう。

 始めは彼女達は宿を取ってそこで作業をするつもりだったらしい。

 しかし、新しい事業に手を出して、改装までするのだ。

 宿代もバカにならないのだからうちに泊まれば良い、とエレオノーレさんが声を掛けたのだ。


 宿とは違い、此方が食事の用意やベッドメイキングなどはしない。

 その代わり、他のハンター達と合同でクエスト受注する時用の大部屋に泊まってもらっている。

 食事類は各個人でお願いしている。

 屋台で買ってきても良いし、お客様用のキッチンは自由に使用できるので自分達で作ってもいい。

 水だって希望されれば俺が補充している。

 練習台として、エレオノーレさんとデイジーは何度もサイズを測られたり、試作品を試着したりして協力していた。

 にこにこと協力を申し出るエレオノーレさんを見て、これが目的だったのか!と驚愕したのは内緒である。

 ジャックのご機嫌も良いからご飯も美味しいしね。


 さて、ここでブリギッテについて詳しく触れておこう。

 背が高く、骨太で、無駄な肉は付いていないのに、なんとなく大きく見える女性だ。

 身長的にはヤンスさんくらい。

 肩甲骨辺りまである赤茶色のカーリーヘアを一括りにし、バンダナを五センチほどの幅に折って、カチューシャの様に使用している。

 健康的な肌色に、薄く浮くそばかすと、吊り目がちな緑色の瞳がジプシーを思わせる。

 中々迫力のある。オシャレな女性だ。

 二十九歳既婚、お子さんは無し。

 旦那さんは、別のお店を経営していて、帝都に居る時はお店の執務室で寝泊まりが多く、殆ど別居状態だそうだ。

 また、出張も多く、家にあまり帰ってこないらしい。

 ブリギッテも、依頼が重なれば工房に泊まり込むことも多いし、お互いにすれ違いの生活の様だ。

 別に愛が無いわけではないそうだが、今は二人とも仕事に打ち込みたいのだとか。

 早く結婚して、沢山子供を産め、という考え方がまかり通るこの世界では、少しマイナーな感覚である。

 俺としては別に個人の自由だと思う。


「師匠、新しい布が届きました。こちらは肌触りが素晴らしいです!」

「ししょー、このデザイン、ここの布何を使っているんですかー?」

「お師匠様、これはどの辺りにパットポケットを付ければ良いでしょうか?」


 拠点の客室は若い女の子でいっぱいだ。

 そして口々に俺を師匠、師匠、と呼んでくる。

 ブリギッテ自体が二十代後半と、若くして服飾工房の工房長を務めているのだから、当然と言えば当然なのだろうけど、そこに勤める娘達はブリギッテより若い。

 成人したばかりの十五、六のお嬢さんばかりだ。


 これはブリギッテが選り好みしたわけではなく、“新設工房”の“若い女性工房長”の下に来るのは未経験であったり、既存の服飾工房にツテを持たない、未就職の娘だけだからだ。

 基本的に、ある程度服飾に興味のある人は、親、もしくは親戚やご近所さんがその仕事に就いている事が大多数である。

 親としても、いつ潰れるかわからない新興工房よりも、しっかり根を張って立っている老舗工房に勤めさせたいと思うのは自然な事だ。

 その結果、ブリギッテの下に来たのは、“熱意と夢だけはでっかいけど、腕の伴わない素人のお嬢さん達”という事になる。


 そのお嬢さん達を紹介しておこう。


 まずはクリスタ。

 金髪碧眼の妖精の様な可憐な美少女だ。

 十七歳。

 小柄で華奢、繊細な砂糖細工と表現しても良いのでは?と思うほどの見た目だが、下町育ちで、立ち居振る舞いはかなり粗雑である。

 言葉遣いもかなり荒く、基本的にお客様の前では余計な事は口にしない様に指導されているほどだ。

 何処かの貴族の落とし胤では?と疑っているが口にはしない。

 服飾に対する熱意は強く、そのうちブリギッテの様に自分の店を持つことを目標に、日々努力している。

 しかし、その努力はまだ実を結んでおらず、裁縫の腕は正直微妙。

 縫い合わせるのは上手いが、刺繍は上手くない。

 デザインに至っては壊滅的としか言えない。

 俺の呼び方は「師匠」新しく届いたダブルガーゼに頬擦りしている。


 次にカリーナ。

 この工房最年少の十五歳。

 肩口で切り揃えられた黒のストレートヘアに、眠たげなヘーゼルの垂れ目。

 クリスタより小柄ながら、胸部装甲はここにいる誰よりも大きい。

 そう、エレオノーレさん以上である。

 失礼ながら、うっかり二度見、凝視してしまった。

 色だけは日本っぽいけど、顔付きはしっかり外国人。

 めちゃくちゃに彫りが深い。

 裁縫の腕は、どれもまだ練習中と言ったところだろうか?

 俺の方がまだまっすぐに縫えるレベルだ。

 原因は胸のせいで、手元がうまく見えないからではないかと、こっそり思っている。

 デザインや、素材の組み合わせ、布選びのセンスはピカイチである。

 俺の呼び方は「ししょー」ブリギッテの作った下着をマジマジと見ながら縫製跡を指でなぞっている。


 そして最後に、ディアナ。

 いつでも元気いっぱいで、明るいムードメーカーの十九歳。

 明るい茶色の髪をポニーテールにして、にこにこ笑顔のこれまた美少女である。

 勝気な瞳はディープブルー。

 覗き込むと吸い込まれそうなほどに美しい青だ。

 チョロ目なところがあって、いつか悪い男に騙されるのではないかと、かなり本気で心配しているところだ。

 裁縫の腕は平均的で、でも刺繍だけはおかしなくらいに上手い。

 見本も何も見ずに下絵をサラサラと描き上げて、時間は掛かるものの、美しい刺繍を施す。

 俺の呼び方は「お師匠様」自分で作ったパッドを作りかけのブラに当てては首を捻っている。


 偶然ではあるが、胸のサイズが大中小とバリエーション豊かで、それぞれのサイズの悩みやデザインの確認に適している。

 ちなみにブリギッテのサイズはカリーナとディアナの間くらいで、ブリギッテとカリーナの間にエレオノーレさんが居る。

 クリスタとレジーナが同じくらいで、二人とディアナの間くらいにデイジーがいる。


「何度も洗って柔らかくしてもらったダブルガーゼだからね。柔らかくて肌に優しいはずだよ。だけどクリスタ、それ以上頬擦りするならソレ、買い取ってもらうからね。

 カリーナ、それは絹だと思う。ブリギッテの技術だから綺麗に縫えてるけど君にはまだ早い。

 手元のリネンがうまく縫えるようになってからだ。

 ディアナは、胸を持ち上げて美しくなる位置に付けてくれ。自分の胸をベースに考えて良い」


 三人にそれぞれ返事を返しつつ、顔を描かずに、素体に下着のデザインをバリバリ描いていく。

 儚くて繊細なクリスタはレースとリボンで甘く、ボリューミーでおとなしいカリーナは染め抜きの布と毛皮を使ってファーがアクセントの控え目な仕上がりに、元気いっぱいのディアナはスポーティにシンプルなデザインで。

 ブリギッテには大人っぽいデザインで赤が似合うので、同色のレースと刺繍を多用してセクシーに、エレオノーレさんは隠してチラリがマストで、黒のレースとビーズでセクシーに、デイジーはフリルとリボン、露出は最低限で清楚に可愛く。


 頭の中身をアウトプットできるのが楽しい。

 ノリノリで筆を進めていると、脳内の妹が「お兄ちゃん気持ち悪い」と凄い目で責めてきた。

 まるで生ゴミを見る様な目だ。

 脳内のイマジナリーシスターとはいえ、少し傷つく。

 しかし、客観的に今の自分を見てみると確かに気持ち悪いかもしれない。

 振り返って見直すと、デザインが過熱して、すこーし破廉恥な物になりつつあったので、その辺の“男の妄想”の下着はシレッと回収しておく。

 ありがとう、脳内の妹よ。


 そして、ついでに、下着の研究をしていた時に、妹が「女の子が、いつでもそんなぶりぶりエッチな下着ばっかりつけてると思わないでよね」と言ってきたのを思い出す。

 女性には、おデートの時用の“勝負下着”と日常使いの“男性には見せない下着”があるらしい。

 それは、あまり装飾は付いておらず、胸の形が崩れるのを防ぐ為の、比較的楽な下着の事らしい。


 ここで注意してほしいのが、漫画などで、元気っ娘がつけているようなスポーツブラとは、また違うのがポイントだ。

 スポブラってこと?って聞いたら「全然違うし!」と怒られた覚えがある。

 無理に持ち上げたり寄せたりしないが、しっかりとホールドしてくれるシンプルな形の物なのだ。


 それって女性ハンターにはピッタリなのでは?

 あと、町娘でも、そういう予定がない時はシンプルな普通の下着を着けて、デートなんかの時はちょっと奮発して装飾のついた寄せてあげる勝負下着を着けたりするなら、そっちの需要もあるよね。

 男としても、“自分のために下着までオシャレしてくれた”というのはかなり点数が高い。

 早速、できる限り装飾を省き、ワンポイントのリボンや、布の柄で魅力を出す。

 装飾が無い分、安くできるけど、素材にはこだわって肌に優しい物にしてあげないと。

 肌に当たる部分はパイピングして擦れたりしないようにしておこう。

 メモで「日常使い用。素材は肌にストレスのない物を」と追加しておく。


 ……そうなると綿がもっと安くなってほしいよな。

 畑で作ってみ……いや、めんどいわ。

 足りなくなってきてから考えよう。


読み飛ばし用あらすじ

 ブリギッテが強引に弟子になって一月、ブリギッテ含む四人のお針子見習い達が拠点に引っ越してきていた。

 店舗改装中の為、店舗に住んでいた彼女達はエレオノーレの提案で、霧斗達の拠点で作業をしている。


 お針子見習い紹介↓

 クリスタ…金髪碧眼の妖精の様な可憐な美少女だが、下町育ちで、立ち居振る舞いはかなり粗雑。

 縫い合わせるのは上手いが、刺繍は上手くない。

 カリーナ…十五歳。

 肩口で切り揃えられた黒のストレートヘアに、ヘーゼルの垂れ目。

 エレオノーレ以上の胸部装甲を持つ。

 裁縫の腕は、どれもまだ練習中。

 ディアナ…ムードメーカーの十九歳。

 明るい茶色の髪をポニーテールにして、瞳はディープブルー。

 裁縫の腕は平均的で、刺繍だけは異常に上手い。


 新たに現れた雰囲気も胸のサイズも違う女の子達のイメージで下着のデザインを考える霧斗。

 妹の発言を思い出して、普段使いの下着を思い出してメモ。



 新しいキャラクターの紹介回です。

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[気になる点] 泣く泣く弟子として受け入れた ので、 強制的に弟子になり ではなく 強制的に弟子として取らされ のほうがしっくりくるかも
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