110 ランジェリーレボリューション 2
※ご注意下さい※
「ランジェリーレボリューション」のタイトルの付くお話は、下着が話題になります。
苦手な方は読み飛ばして下さい。
下世話な話や、直接的な表現はほとんどありません。
霧斗にとって、下着の研究は絵のリアリティの為です。
断じてえっちな下心ではありません。(……多分)
読み飛ばす方用に、あとがき部分にあらすじを載せています。
「〜〜♪〜♪」
「ずいぶんご機嫌ね?」
「っ!!」
気分良くペンを走らせつつ、鼻歌を歌っていたら、急に声をかけられ、肩が跳ねた。
ビビった。
めちゃくちゃビビった。
心臓止まるかと思ったわ。
出来上がったばかりの部屋で、早速絵を描こうと思い立った俺。
いそいそとお絵描きセットを取り出し、見本に購入したレースを見ながら、買い物中に思い付いたデザインを色々描き出していた。
そうしたら、いつの間にかエレオノーレさんが覗きに来ていたらしい。
にっこりとこちらを見ている美人なお姉さん。
え?ここ、俺の部屋なんですが?
声、掛けられてませんけど?
しかも入ってきた音、しませんでしたけど?
驚いて何も言えない俺の手元から、描き散らしたイラストを取り上げて見ていく。
「今度はどんな絵を描いてい……ちょっと!何よこれ!なんて服を着せてるの!」
エレオノーレさんが見ているのは、最初の方に描いた胸元と袖がレースで透けるタイプのワンピースだ。
袖は手首側がふっくらと膨らんで、手首で絞る様なデザインだ。
今日買ってきたレースを見本に楽しく描かせてもらった。
カラーコンテで簡単に色を置いているので、透けているのがよくわかり、それによってエレオノーレさんが破廉恥だと怒っている。
モデルとしてデイジーを使用しているが、一応顔は描いていない。
とはいえ、特徴的な髪型に、まんまの体格である、知っている人間ならばすぐにデイジーだとわかってしまうだろう。
「ちゃんと下に透けない素材を、胸のこの当たりから入れてるから問題ないですよ。ここの透けはファッション、ファッション」
ほら、ここ、と指差すと、しばらく黙り込んで他に似たものは無いのかと聞いてくる。
描き散らした紙を漁り、数枚提示する。
「レースを使ったのなら、このキャミソールの胸元にあしらったやつとか……ほら、コレなら可愛いでしょ?んで、ワンピースならこっちかな?清楚なノンスリの白。実際にはあんまり着る人いないんだけど、今日のお二人があまりにも素敵だったので……」
服だけを描いた訳ではないが、人を描けば服も描く事になる。
わかりやすい物をいくつか並べていく。
背景は無く、描きたいポーズや服をいくつか描いては色を置き、新しい紙に描いていく。
レースに触発されたお絵描きなので、どうしてもドレスとか下着の様な女性っぽい物が多い。
ショーツの形を見たエレオノーレさんから破廉恥だの変態だの言われたけれど、立体的な縫製の為、ドロワーズの様に食い込みにくいし、腰回りがスッキリするし、脚が長く見えてシルエットが綺麗なのだと説明すると納得してくれた。
「じゃあ、今度は私に似合う、もう少し大人っぽい服はないかしら?さっきの下着みたいなのでも良いわよ?もうちょっとセクシーにしてくれても良いけど」
にこりと艶やかに微笑んで、流し目を送ってくるエレオノーレさん。
大人っぽくて、セクシーな下着?
モヤモヤと頭の中のエレオノーレさんがアラレもない姿を取っていく。
いやいやっ!描けないわけじゃないけどエレオノーレさんなら隠してチラリが、お色気たっぷりで良いでしょ?
丸出しとかギリギリとかはちょっと直接的すぎる。
マイクロビキニとか大好物ですが!
大好物ですがっ!
流石にコレはちょっとジャックの本能が覚醒しちゃうから!
多分エレオノーレさんの身体が保たないから!
流石にダメだと思います。
「あら、そのマイクロビキニって何かしら?」
「ふぁっ?!」
どうやら妄想が声に出ていたようです。
まさか、ジャックの本能、覚醒させたい的な……?
「ちょっ!なに喜んでるんですか!ダメですよ!?
とりあえず寄せてあげるエンジェルな下着とか、ベビードールとかどうですか?甘カワ系とかスポーティなのとか、セクシー系とか色々ありますよ」
顔は描かずにデイジーと、レジーナと、エレオノーレさんのイメージで下着を色々描き殴った。
ヒラヒラとリボンやフリル多めのベビードールから、透ける素材を重ねてギリ見えないもの、深めにスリットの入った黒のスリップ。
フリル系、レース系の上下セット。
さすがにブラとショーツだけの物は素体だけで描いてます。
ブラを指差して、変わった形ね、この辺とかどうなっているの?と聞かれるので裁断、縫製、パットの解説イラストを描いて説明する。
断面図なんかも描いてみせた。
ここがこうなっているからふっくら持ち上がり、バストトップが上がるだとか、ここにワイヤーが入っているからしっかりフィットしてホールドするとか、パッドを入れる事で自然に寄せてあげられるのだ、とか、とても具体的に説明させられた。
因みに、何故俺が女性用の下着にここまで詳しいかと言うと、学校の授業で習ったからである。
絵にリアリティを持たせる為にはしっかりとその作りを理解していないとならない、と描き方と同時に仕組みや作りも簡単に説明されたのだ。
恥を忍んで、妹にお金を渡して、実物を買ってきてもらったりもした。
そして何に使うかを知っているデキル妹は、正しい下着の着け方、お手入れの仕方、というリーフレットや無料のカタログまで貰ってきていた。
あの時は五体投地で妹に感謝した。
おかげで今デザインの引き出しが潤ってます!
本当にありがとう!妹よ!
天使と普通ので何がどう違うのかとか、めっちゃ調べた。
下心じゃないよ?
絵にリアリティを求める為だからね?
本当だよ?!
また、どうしてもマイクロビキニが気になるから、とゴリ押しされて、そちらも渋々描く事に。
黒と白の二つを大きいサイズ、普通のサイズ、ぺたんこのサイズで描く。
めちゃくちゃ破廉恥ですからね、と念押しをして描いているところを見せると、だいぶ引かれたけれど、下着類のデザイン自体はヨシ、と言われ、イラストを幾つか持っていかれてしまった。
残された大量の下着のイラストを片付けて確認すると、エレオノーレさんをイメージして描いた下着のイラストがほとんど無くなっていた。
「アレもあれも無いな。あ、ワンピースも一枚無い。……えっ?!」
ぺららぱらりと残った絵を見返していくと、とんでも無い事に気づいた。
(待って?!白のマイクロビキニのイラストが残ってないんだけど……っ?!)
もしかして持ってった?
え?気に入っちゃったってこと?!
それ、着ちゃうの?
え?
ええっ?
ええええっ?!!!!
みみみ見てええええええええっ!(血涙)
ジャックうらやまあぁぁぁぁっっっっ!!!!
読み飛ばし用あらすじ
作り上げた部屋で鼻歌を歌いながらお絵描きする霧斗。
そこに侵入したエレオノーレが描き散らした絵を覗き見る。
レースを多用したワンピースのイラストに「破廉恥だ!」と騒いで、ファッションだと抵抗した霧斗。
レースがお絵描きの発端なので、ドレスやワンピース、下着等の女性物が多くある。
その中でも現代風の下着は受け入れ難いが、利点を説明したら理解してくれた。
下着の仕組みを学校で習い、リアリティを出す為に妹に協力してもらっていた霧斗は、どんなパーツで出来ているかなど研究した為、とても詳しく説明できた。
しかし、今度はエレオノーレに似合うデザインを考えろ、と無茶振り。
妄想であれこれ描き散らした霧斗の絵を幾つか貰っていくエレオノーレ。
あとがき
いつも俺不運を読んでくださってありがとうございます。
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毎度励みにさせていただいています。
しばらくはランレボが続きますが、どうぞよろしくお願いします。




