ー第九話ー 荒波に乗る漁師 ネットの海に出る
翔太から相談を受けて、10日経った。
とりあえず、3ヶ月は毎日ブログを一定のルールに沿った文体で更新、SNSは漁師の魅力だけを書き込め、そしてコミュニケーションをきっちりとれ、政治とか世相のことは関わるな、完全に無視しろ、ということはそのまま実行しているようだ。
ブログにしてもSNSにしても、多くの人は、まるで演説をするように書き込む。
結果、誰にも届かないので、ブログの読者数もSNSのフォロワー数も増えない。
だから、翔太には、特定の誰かを想定して書き込めとアドバイスをした。
翔太は余計な事を考えず、ひたすらに同じ人とと思われるイメージを作って書き込みをしてるようだった。
翔太の今の対象は、刺し身が好きな人のようだった。
毎日ブログに、刺し身に出来る魚や料理法などが載っている。
ブログでは、浜にあがった魚から刺身にできる魚を選び、それを刺し身にするまでが記事になっていた。
様相は、グルメブログのようだった。
まだ10日じゃ、表示回数も多くないだろう。
一緒に写真を撮ってる奥さんも、楽しそうだった。
ブログにしてもSNSにしても、孝介から翔太に、ぶれないキャラ作り、というのを徹底させた。
今回なら、刺し身の漁師。
刺し身は、日本人で好きな人が多い。ということはそのキーワードは認知があるから一度は見てしまう。
名前と顔が出ていることは、信用を高める上で非常に重要な要素になる。
全ての行動が、刺し身の漁師馬場翔太という一人の男を際立たせる為の要素になる。
ブログに関しては、まだ有名な魚を紹介している状態だった。
記事が増えると、珍しい魚とか季節に合わせた料理法とかを書いていくのだろうか。
今は翔太が料理をしているが、盛り付けをよく見せるために翔太の奥さんにアドバイスしてもらうか。
SNSに関して、まだフォローもフォロワーも100人前後だった。
翔太にはじめに伝えたのは、地元の企業アカウントを見つけ出して積極的にフォローしろ。
そして、その企業アカウントの商品紹介などを積極的に広めろ。
SNSは、自分の力だけで広がる事は、まさに運に頼ってしまうことになる。
なのでフォロワーが1000人を超えるまでは、自分の事もさることながら、誰かの協力も積極的に行う必要が出てくる。それが、SNSでの人間関係の構築の仕方なのだと、アドバイスをした。
結果として、企業アカウントは、仲の良いアカウントと、一緒になって行動をしてくれるようになる。
そういう人間関係の構築を、SNSで行って欲しいと伝えた。
どうやら、刺し身の漁師馬場翔太をアピールしながら、他企業との連携は出来ているようだ。
ただ、漁師らしく荒っぽいところがあるので、考える所はありそうだが。
孝介はそう思いながら、翔太へのアドバイス内容をまとめ始めた。
翔太に次何を伝えようか。
孝介は都会時代にやってきたいろんなことを思い出しながら、次の策を練っていた。