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539. 女子旅 part2 ㉑ (ニュクテレテウス討伐:南/ミケーレの場合) ◎

イメージ写真挿入(2022/1/15)




「ハイドンさんは娘さんがいるんですよね」


南の本拠地で 今日の食事担当ミケーレと共に 隊員達にしし汁を配っていたサクラ。

一通りまわり終えて、片づけをしながら、何気なくハイドンに話しかけた。


「サクラ、その話題は、、」


「へ?」


ミケーレが慌てて止めるが、既に遅し。

ハイドンはホクホクしながらサクラに答える。


「なんだ、イシルから聞いたのか?ん?」


「はい、スッゴい娘さん想いだとか」


「そうか、そうか、しょうがないな、イシルは」


何がしょうがないんだとツッコミを入れたいミケーレ。

ここはこれ以上さわらず、スルーしたい。

娘の事になると長いんだ、ハイドンは。


「ハイドンさん、今は落ち着いてるけど任務中ですし……」


ミケーレが止めに入ったら 鋭い一瞥がとんで来た。


(ひいぃ!)


ハイドンの事だから、仕事はちゃんとするだろうけど。


「これもな、アンジェラが作ってくれたんだよ」


ハイドンは腰に下げた 愛娘の手作りの御守りをサクラに見せる。


「アンジェラちゃんていうんですか!天使ですね!」


「天使?」


「あ、はい、現世、、いや、私の国で『アンジェラ』は『天使』を意味する言葉なので」


「天使、、天使か!その通りだ!!」


ハイドンのテンションがあがってゆく。

ああ、また娘自慢のネタが出来てしまった。


(お願いだ、サクラ、これ以上ハイドンさんをいじるのはやめてくれ……)


ミケーレの願いも虚しく、サクラはさらに話に花を咲かせる。


「似顔絵が、入ってるんでしたよね?御守りに」


「そうだ。それもイシルから聞いたのか」


「はい」


(うわぁ、ハイドンさん嬉しそう。自分から人に見せびらかすことはあっても、人から見せてと言われることは少ないからなぁ)


「……見たいか?」


嬉しさを押し隠しながら、ハイドンが勿体つける。


「見たい、デス!!」


サクラの間髪いれない返事に、ふにゃあっ と、ハイドンの顔が蕩た。

満面の笑みだ。


「しょうがないなぁ///」


(しょうがないのはアンタだよ)


ハイドンは御守りの中からいそいそと紙を取り出し、開いて見せた。

イシルが見た似顔絵と同じ。

紙には大きな四角が書いてあり、その中に丸が二つ。

丸の上には()()がはりつき、丸の下には下には三角がひとつ、三角の下には()()()がはりついていた。

そして四角全体を囲む黒いギザギザ、、髪とヒゲ。


「うわぁ///子供らしいダイナミックな似顔絵ですね!」


「だろう?」


「はい。特徴を良くつかんでますね。大きな顔はお父さんの存在感を感じます。凛々しい眉に、力強い口、、アンジェラちゃんはお父さんが大好きなんですね~」


(なんだその誉め殺しは!!あの絵から一体どう読み取ればそんな褒め方が出来るんだ!?)


「ハイドンさんがアザミ野にいてくれて、本当に良かったです。おかげでルヴァンも、トトリも、カナルも、今、安心して過ごせてるんですから。アンジェラちゃんもだけど、アザミ野の子供達は幸せですね」


改めてお礼がいいたかったんです。と、サクラは頭を下げた。


(ハイドンさんを取り込んじゃったよ、サクラ。凄い……)


しかも、打算が一切見えない。

ハイドンは終始笑顔で大満足。


(なんだ、このおもてなし感は!?ジパングの人間はみんなこんなに人がいいのか!?)


「あ、そうだ、これ、アンジェラちゃんに」


サクラはリュックをごそごそ漁ると、カラフルな卵を取り出してハイドンに渡した。


「なんだ?うずらの卵か?」


キラキラ光る、小さな卵。


「むいてみてください」


キラキラなのは卵を包む包装紙だ。

それをむくと、中からチョコレートが出てきた。


「菓子か」


「はい」


「ん?なんだ?」


振るとシャカシャカと音がする。


ハイドンは小さな卵形のチョコを半分噛む。

中は空洞になっていて、そこには星屑のような菓子が入っていた。


「これは、、」


「可愛いでしょ?」


甘いミルクチョコの卵の中、カラフルミンツと共に入っているのは、いちご菓子、マーブルチョコ、こんぺいとう、ホワイトチョコ、ハートラムネ。





挿絵(By みてみん)





トゥインクル♪トゥインクル♪トゥインクル☆スター♪

心踊る懐かしき チョコレート。

振ってみて中身が何か当てながら食べました。

因みに糖質は五個で15.5gです。


「中身は5種類入ってます」


「ほう!」


いそいそとハイドンがもう一個剥き出す。


「ダメですよ、ハイドンさん、家に帰ってアンジェラちゃんと一緒に楽しまないと」


「ははっ、そうだな、スマンスマン」


大のオヤジをも童心にかえしてしまう駄菓子の威力、凄いです。


(ハイドンさんに怒れるなんて……)


人を気遣い、もてなし、見ていないところでも自然と後片づけをし、上司の扱いも上手いサクラ。


(いいなぁ///)


とりたて美人てわけではない、

スタイルがいいわけでもない、

年齢も多分いっている。


だけど、雰囲気が好きだなとミケーレは思う。

ふとしたときに見せる表情が可愛い。

特に食べているときの顔といったらたまらない。

心地よい気の使い方がグッとくる。


「サクラ」


ミケーレは片づけに戻ったサクラに呼びかけた。

はい?と、サクラがとぼけた顔してミケーレを見上げる。


素朴で飾らない、ありのまま、そこにいる。


「しし汁のお礼がしたいんだけど、今度食事でもどうかな」


「お礼だなんて、いいですよ~、私が食べたかっただけですし」


(あれ?かわされた?)


いや、誘われてる事に気づいていないようだ。

こういうことに慣れてないのか、()()()ところも ほっこりする。


「アザミ野に旨いトマト煮込みの店があるんだけど、そこは前菜も旨くてね、熟成された豚もも肉の塩漬けが絶品なんだよ」


「それ、、プロシュート!」


サクラが話に食いつく。


「あと、薄切りの生牛肉にパルミジャーノ・チーズとオリーブオイルを――」


「牛肉のカルパッチョ!!」


食いつきが食い気味。


「薄くスライスしたバケットにニンニクオイルをぬって、フレッシュトマトとバジルを――」


「ブルスケッタあぁ///」


早押しクイズじゃないんですよ、サクラさん。

食べ物の話で面白い程サクラは釣れる。


(幸せそうな顔するなぁ///)


サクラがうっとり、食べ物に想いを馳せているところに、ミケーレはもう一度サクラを誘う。


「どうかな、、」


来やすいようにもう一言。


「お友だちも一緒に」


「ありがとうございます!」


(やった!)


ミケーレ、サクラを誘い出す事に成功です!





















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― 新着の感想 ―
[一言] 金目猫様 中身がいろいろな卵型のチョコレート お写真もかわいくて、おいしそうで、楽しそうですね! 「因みに糖質は五個で15.5gです。」 さすがです! 糖質制限ダイエットとしても完璧で…
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