481. ハーフリング村 (ギランの牧場) ★
挿絵挿入(2021/9/5)
イメージ壊したくない方は画像オフ機能をご利用下さいm(_ _)m
「いらっしゃい、ギランは今牛乳タンクの方にいるよ」
サクラ達を出迎えに出てきたのは、ハーフリングのギランではなくて、きゅるんとかわいいパンダの獣人。
獣人っていうか、もろパンダ。ジャイアントパンダ。
喋るパンダ。服、着てないし。
「こいつはパンディーや。ここに住み込みで働いとんのや。体もでかいし、力もあるし、働きもんや。からえらい助かっとる」
「パンディーです。宜しくね、サクラ、イシル、ラン」
「あれ?名前知ってるの?」
「うん。ギランがお世話になりました」
ギランから 荷馬車を引き上げた話を聞いていたようで、パンディーは ぴょこんとお辞儀をする。
礼儀正しいパンディーさん。
「ほな、パンディー、わてはギランと話してくるさかい、姐さんたち頼むわ」
「うん。喜んで!」
オズはパンディーに牧場の案内を任せると、ギランを探してミルクタンクの方へと行ってしまった。
パンダの獣人パンディーさん。
見ているだけで和むのはサクラだけではないようで、イシルもちょっと、デレ顔だ。
もふもふ好きがだだもれですよ、イシルさん。
「子牛にミルクあげる時間なんだけど、やってみる?」
「うん!やりたい」
パンディーはサクラ達を牛舎の中へ案内した。
″べ~、ベェ~、、″
待っていると、パンディーが子牛を連れてやって来た。
子牛はお母さんを探しているのか、泣き声がちょっと悲しそうに聞こえる。
「この仔はモモちゃん。大人しい仔だから大丈夫」
パンディーが モモちゃんに、大丈夫だよ、ミルク、飲もうね、と、語りかけ、体を温めるように少しさすってやる。
すると、モモちゃんは安心したのか大人しくなった。
「僕も同じ白黒模様だからか、ここの牛達は良く懐いてくれるんだ」
なるほど、だから服着てないんだね、パンディーさん。
「さあ、サクラ。まず、子牛を股に挟んで、逃げないように固定して。力は入れないで、壁を作る感じかな」
「こう、かな、、」
サクラはパンディーに言われた通り、子牛の顔を前方向に 腹の辺りを股で挟み、子牛が左右にブレないように壁を作った。
「油断すると後ろに逃げるからね。気をつけて、後ろから突撃されるよ」
「り、了解」
「そしたら、下顎に優しく触れて、そう、そのまま、人差し指を口にいれてよ」
「こう?、、」
サクラは言われた通り、子牛の後ろから手をのばして、顎にそっと触れ、人差し指を口に差し込んだ。
すると、ちゅちゅっ、と、子牛がサクラの指に吸い付く。
「あっ!吸ってる!」
ちょっとくすぐったい。
「飲みそうだね。そしたら、指のかわりに哺乳瓶を口に向けて」
「うん」
指を抜いて哺乳瓶の吸い口を子牛へと向ける。
″ちゅちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、、″
「うわあ///」
飲んでる!!
″ちゅくっ、ちゅくっ、、ちゅくっ、、″
「かわいい///」
″んぐっ、んぐっ、んぐっ、″
「おっ?おっ?」
モモちゃんはごくごくとミルクを飲む。
「ちょ、ちょっと待って、、」
子牛と言えど力は強く、サクラは振り回されそうになった。
モモちゃんは後ろに下がるどころか、前へ、前へ。
負けるもんか、たんとお飲み!
「あはは、サクラ、ミルクあげるの上手だね~」
パンディーが感心してサクラを褒めた。
「拾った子猫に飲ませたことあるから」
「じゃあサクラ、帰ったらオレにもミルク飲ませてよ♪」
「あほか///ランははじめっからガツガツゴハン食べてたじゃない」
「じゃあサクラさんには僕が飲ませましょう♪」
「イシルさんまで、変なノリ止めてください///」
そりゃあなたに拾っていただきましたがね。
サクラ達は子牛のミルクやりの後、乳搾りを体験し、チーズ小屋の見学、バター作りを体験し、自分達が作ったバターを使ってサンドイッチを作った。
お天気もいいから、お昼は外で食べようと、表に出る。
「パンディーさん、あれ、何ですか?」
外に休憩用のベンチがあるからと歩いていると、放牧されている広大な敷地の一角、柵の外側に、なにか、あるのが見えた。
「ああ、あれ?」
パンディーさんは ちょっと照れながら、行ってみる?と、三人をその場所へと案内した。
近づくにつれ、色んなものが見えてきた。
(公園?)
「遊具ですか?」
サクラが思っていたことを イシルが先に口にする。
竹製のジャングルジムから、はしごが繋がり、隣の見張り台まで渡っていた。うんていして隣までいけるようだ。
渡った先の見張り台からは滑り台で降りられるようになっている。
その回りには、凸凹に高さの違う木株ステップ、ブランコにシーソー、はん登棒。
ジグザグ丸太越えの小山に、ターザンロープ、ハンモック。
まるでアスレチックランドだ。
「これね、僕が作ったんだ」
「パンディーさんが!?凄い!」
ギラン牧場、隠れた名所!?
サクラ達は 凸凹木株ステップに腰かけて お昼を食べることにした。
↑パンダの獣人パンディーさん




