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460. ѕαкυяα ιи ωσи∂єяℓαи∂ 23 (勇者召喚)




ワンダーランドで一番悪口が上手い人を呼び出した召喚士、ウサギのぬいぐるみジャック。

それに応えて現れたのは、なんと、時計ウサギのチコを抱えたランだった。


「うわっ、なんだ、虫!キモッ!」


ジャスミンの姿を見て開口一番、既に悪口なラン様。


「ややっ!バケモノ!あの触覚はゴ○ブリかいっ!?」


チコも同様に。


「ゴ○ブリのがマシだろ」


「そうですね、マスター。ゴ○ブリに失礼でした」


ランとチコの言葉に、ズーン、と、落ち込むジャスミン。


(どっちがじゃなく二人とも口が悪いのか)


ていうか、いつの間にこんな仲良くなったの、この二人。

マスターって?ジェダイですか?とうとうフォースの力に目覚めたんですか、ラン様よ。


「てか、ここどこだよ、、あ!サクラ!」


ランは小さなサクラを見つけると、嬉しそうに寄ってきて、たかいたかーい♪と、サクラを抱え上げた。


「うひゃあ!」


「あっは♪子供になってもサクラは変わんねーな」


ランはサクラをむぎゅうと抱きしめて、スリスリする。


「むに、、ラン様、、あの、、」


「サクラ、敬語は直しとけって言ったろ、言うこと聞かない子は――」


ランが″お仕置きだ″と 小さなサクラのほっぺにチュウの口を近付け、サクラはそれを腕を突っぱねて抵抗する。

ランの顔にむにっと手をついて――


「んー、手もちっちゃくて可愛い♪」


ちゅっ、ちゅっ、と ランがサクラの手のひらにキスをする。


(ひいっ///そんなに子供好きじゃなかったよね!?ラン様!)


「おのれ、人を無視してイチャイチャと……」


ジャスミンに背を向けたまま サクラをかいぐりいじりたおすランに、ズワッ、と ジャスミンの闇が襲いかかるのがサクラから見えた。


「あっ!」


サクラの体が硬直したのを感じたランは後ろも見ずに黒い霧を短剣で切り裂く。


「へっ?」


切り裂かれた黒い霧を見て、ジャスミンが間抜けな声を挙げた。


「なんだテメー、邪魔すんなよ虫ケラ野郎、早くやっちまわないとサクラが元に戻っちまうだろうが」


(虫、、ケラ、、)

ずーん○|¯|_←ジャスミン


ランがサクラを片手でだっこしたまま 落ち込むジャスミンを睨んだ。

なんだよ、なにをやっちまう気だよ、ラン様(滝汗)


「あれ?お前、、ヘンテコな姿してっけど、、」


(ヘン、、テコ)

ずもーん○|¯|_←ジャスミン


「あの夢魔か?たしか、名前は、ジャ、、ジャス、、ジャスコ!」


ランの言葉に、サクラが大手スーパー、『JUSC○』(←一応伏せ字)を思い出し、ぷふっ、と吹き出した。

20日はJUSC○!今は統合されてもうないけれど。


「ううっ、ジャスミンだ」


何故かジャスミンはバカにされたような気がして ブルーになる。

ちょっと涙目ですね?


「サクラ、もしかして、ピンチだった?」


コクコクと ランの片腕に抱っこされてるサクラが頷く。


「マスター、こいつだ!こいつが恐怖の大王だよ!」


「え?こいつ?ジャスコ?」


ずどーん○|¯|_←ジャスミン


ジャスミン、ランの口の悪さが地味に効いてるね。


どーん、と、チコが仁王立ちになり、腰に手を当て、落ち込むジャスミンにふんぞり返った。


「夢の世界を片っ端から食い潰す悪いヤツめ!伝説ノ勇者様が召喚なされたんだ!思い知るが良い!!」


「「伝説ノ勇者様!!」」


それを聞いたジャックは、″僕、勇者サマ召喚しちゃったんだぁ″と、少年のようにキラキラと瞳を輝かせ、アリスなんか、頬を染めて″勇者サマ///″と、うっとりしちゃってるよ?


(いつ伝説の勇者になったの?)

(今さっき)


またテキトーなこと言ったんだね、ラン様。


「伝説の勇者だと?そんなもの、、」


ジャスミンの黒い霧が 得意気に笑うチコにからみつく。


「ぴやっ!?」


トラ(ラン)の威を借るキツネ(チコ)、大ピンチ!


「おまえ、仕事増やすなよ!大人しくしてろ!」


ランはサクラを抱えたまま、チコに絡む闇を振り払い、更にジャックやアリスにも仕掛けてくるジャスミンに対して黒い霧を打ち返した。


ランが打ち返した黒い霧は、チコの時魔法を跳ね返した時と同様にジャスミンを襲う。

しかし、ジャスミンには効かない。


黒霧は再びジャスミンから力を得て威力を増幅させ、チコやジャック、アリスを狙って襲ってきた。


「くっ、、」


ランは襲いかかる霧を全て切り裂いていく。


「ふふふ、防ぐ事としかできないのね、勇者サマ♪」


魔戻りの短剣は魔法を切り裂き無効化したり、跳ね返したりできるが、魔法をつくりだす事はできない。


はね返した魔法で攻撃することはできるが、黒い霧は跳ね返してもジャスミンを傷つけることはなかった。

黒い霧を跳ね返せば一回り大きくなって再び力を得て放たれる。

返り討ちに合うのはこっちだ。

ランは防ぐ事しかできない。


ランにも闇が絡みつき、ジャスミンがうっとり、はぁ///と喘ぐような吐息をはきだした。


「ふふふ、勇者サマ、顔と魂は一級品ね///」


どうやらランを味見したようだ。


ジャスミンはトドメとばかりに、全身から黒い霧を吹き出した。

ランの魔戻りの短剣では切り裂くのが間に合わない程の闇が部屋中を埋め尽くしてゆく。


「うぐっ、、」

「サクラ!」


絡みつく闇に、サクラもチコもジャックも苦しそうに呻く。

アリスはかろうじてジャックが光の玉に包み、守っていたので今のところは無事だ。

しかし、ジャックが力尽きれば、アリスも――


「ラン、悪口を……」


ランの首にしがみついている小さなサクラが 苦しげに息を吐きながらランに耳打ちした。


「ジャスミンに……悪口を言って……弱点、ダカラ、、」


そんな弱点のある魔物なんて聞いたことないが、ランはわかったと頷き、ジャスミンに向かって口を開いた。


「てめぇ、クソアマ、何してくれてんだ、このデカ尻ロバ足が、人の夢に寄生する事でしか力を発揮できない能なしのクセにデカいツラしてんじゃねーよ」


ひきっ、と、ジャスミンが顔をひきつらせ、同時にジャスミンが出している闇に戸惑いが見える。


本当に悪口が効いている。

ランは効果ありと確信し、調子づく。


「さっさと闇を引っ込めやがれ、重いんだよ。乳もケツも重そうだなクソ女、軽いのはテメーのアタマくらいかよ」


闇の威力が弱まり、ランが魔戻りの短剣で切り裂くと消えてゆく程になった。

ジャスミンは動かない。

いや、動けない。


ランが冷たい瞳で嗤う。


「なんだ、その負け犬みたいな目はよぉ。弱すぎだろお前。何ならオレがお前でも働けるいい店紹介してやろうか?そんな体でも物好きはいるから相手ならいるぜ?ゲテモノ好きがよ」


悪口がいよいよ下ネタじみてきたので、ジャックがあわててアリスの耳を両手でふさいだ。


「その不格好な()()を節のあたりから″ピ――――″して、動けなくなったお前のだらしない″ピ――――″に、デカイ″ピ――――″を″ピ――――″して、″ピ――――″してやっからよ」


ジャスミンの顔が強張り、わなわなと震える。


「お前みたいな″ピ――――″は″ちょっと″ピ――――″すればすぐにピ――――″を″ピ――――″やがる。″ピ――――″の上で″ピ――――″を″ピ――――″して、自分から″ピ――――″を″ピ――――″だよな、このアバズレが」


それ、悪口じゃなく下ネタですよね、ラン様。


「″ピ――――″が、″ピ――――″で、″ピ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――…………″」


最早ピー音しか聞こえない

(※お好きな言葉をどうぞ)


「ぐっ、、くそっ、、これで勝ったとおもうなよ!!」


ジャスミンはジリジリと苦しそうに後退し――


「憶えてろよ!」


定番負け負け捨てゼリフを2つも吐いて、黒い霧となって消えた。


ジャスミンが消え、サクラも元の大きさに戻ると、ジャックがハッとして、走り出した。


「ジャック?」


ジャックはドアを出て、聖堂へと向かう。


(もしかして、イシルさん!?)


ジャックの慌てっぷりに、サクラも急いで後を追った。


もしかして、イシルさんもジャスミンと戦ったのかもしれない。

魔法の使えないこの場所で、イシルは、もしかしたら――









ジャックとサクラが部屋を出たあと、アリスは顔を赤くしながら、ちら、ちら と 自分達を助けてくれた勇者を見る。


さらりとした髪は水の加護を表す青。

その長い前髪から覗く瞳は髪と同じ、いや、それよりも透明度のある深い色。。


アリスが好きだった本の王子様にそっくりだった。

その、蒼い瞳がアリスを見た。


アリスは目を反らしうつむく


(王子様と二人きり……)


いや、チコがいる。

チコがいますが、アウトオブ眼中。見えてない。


「アリス、だよね?」


王子様が自分の名前を呼んでくれた。

柔らかく、優しくアリスに言葉をかける。


アリスは顔も上げられず、こくりと頷いた。


「どうしてイシルを呼んだの?」


「それは、ジャックが……」


アリスの旦那様になるために、ジャックが連れてきてくれた。

でも、王子様に知られたくない。


「アリスを……オトナにしてくれるために」


「オトナに、ねぇ」


アリスはドレスをきゅっと握りしめる。

王子様はどう思っただろう。

王子様に嫌われたくない。


「アリス」


ドキリ、甘やかな声。

名前を呼ばれただけで 凄くドキドキする。

こんなの、初めてだ。


「オレがオトナにしてやろうか?」


ビックリして顔を上げると、王子様の顔がすぐ近くにあった。

王子様の手が アリスのアゴにかかる。

アリスが下を 向かないように。


「アリス」


素敵な、理想の王子様。

胸がきゅんっ、と、苦しくなる。

でも、なんだか、ふわふわして、ずっとこの気持ちを抱えていたい……


アリスはオトナの階段を上り始める――




















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