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452. ѕαкυяα ιи ωσи∂єяℓαи∂ 15 (貴婦人の館)◎★

イメージ写真、挿絵挿入(2021/7/27)

イメージ壊したくない方は画像オフ機能をご利用下さいm(_ _)m


写真多めですが、画像あったほうが館のイメージつかみやすいかと。




挿絵(By みてみん)




森の中に 夜の光を集めたような 不思議な館が建っていた。

紺色の夜のカーテンを纏ったような壁は オーロラを写すように輝き、星の光を放っているようにキラキラと瞬いている。


(ゴージャス!!)


風の精霊達は サクラを『貴婦人の館』の前で下ろしてくれた。


歓迎するかのように門は開いていて、中を覗くと、美しく奇妙な装飾やオブジェが サクラ達を招いている。


「すみませーん、誰かいませんかぁ?」


返事はない。


「おじゃましま~す」


サクラとランは 恐る恐る足を踏み入れる。

奥に進むと、曲がりくねった通路があった。



通路は入り組んでいて、迷路みたいだ。




挿絵(By みてみん)




(ここは閉まってる、こっちは行けないのね)


左側の開いている門をくぐる。





挿絵(By みてみん)





(キレイだけど、ちょっと怖いな)


この館の婦人『卵肌婦人』は夜の女王ってとこかな?

それなら噂通り″満月のコンパクト″を持っていそうだ。


サクラの中で期待値が高まる。


サクラとランは 人を探して 開いている門を選びながら進んでいった。


すると、大きな扉の部屋にたどり着いた。

扉の前には 燕尾服を着た若い男が立っていた。


「お待ちしておりました。卵肌婦人がお待ちです」


どうやら婦人はサクラ達が来ることを知っていたようで、すんなり中へと通された。


広間の中、台座の上の椅子に 大きな扇で顔を隠した女性が座っているのが見えた。


卵肌婦人のまわりには スワローテイルの燕尾服を着た従者達がズラリと並んでいた。

背中にはツバメの羽が生えている。


(ホストクラブ?)


飼っているのはツバメでも若いツバメ達ですね?

風の精霊達が羨ましがっていた意味がわかりましたよ。


サクラとランは卵肌婦人の前まで足を進める。


彼女は 夜のカーテンのようなゴージャスなイブニングドレスを着ていた。


ドレスの裾から覗く組んだ足はすらりと長く、白く輝いていて、光沢すら放っているようにツルツルで……


扇を持つ手も 細く指先までしなやか。そして、噂通りの抜けるような白さ……


てか、白すぎ!真っ白じゃないか!!


扇の上から覗く瞳はキラキラと、昭和の少女マンガのヒロインを思わせる輝きを放ち、おでこもツルツルのテカテカ。


あれ?髪が、、ない?


「うふふ、待っていましたよ、サクラ」


凛と張りのあるつややかな声。

卵肌婦人が 扇をおろし、サクラとランを見下ろした。


(んがっ!?)

(にゃっ!!)


「あらあら、風達の噂通り、おかしな二人だこと」


サクラとランを見て、そう言い、コロコロと笑う卵肌婦人は――


ゆで卵だった。


(ハンプティ・ダンプティ!!?)


キレイにつるんとむかれた ゆで卵。

ゆで卵に目鼻口があり、すらりと伸びた手足がある。

正しく卵肌婦人!!

柔肌ですね?


卵肌婦人は サクラとランのあんぐり顔が可笑しいようで、なかなか笑いが止まらなかった。


「あー、笑った笑った。面白い顔だこと」


いや、貴女の存在ほど可笑しくはないと思いますけどね?


「満月のコンパクトが欲しいのよね?」


「はい、お願いします」


時間がないので、相手がゆで卵だろうが半熟卵だろうが固ゆでだろうが怯んでいる場合ではない。


サクラは物怖じせずお願いする。


「そうねぇ、毎日同じ顔ぶれで見飽きていたところだわ……そろそろ新しいツバメに逢いたいし、この世界を解放してもらってもいいわね」


そんだけイケメンツバメをそろえてまだもの足りませんか卵肌婦人!

イケメンに対する飽くなき追求。

是非お友達になりたいデス!


「ただ、わたくし、今退屈しているの。たわくしとの勝負に勝ったら 差し上げても良くってよ」


「勝負って何でしょう?」


卵肌婦人の星の瞳がキラリと鋭く輝いた。


「クロッケー勝負よ。サクラが負けたら首を跳ねさせてもらうわね」


おーっほっほ、と 卵肌婦人が高らかにに笑う。

ホントにオホホ笑いする方始めて見ましたよ。


あいやー、この世界で卵肌婦人は ハートの女王兼任ですか。

槌はフラミンゴ、球はハリネズミでしたよね?


「丁度槌もボールも持ってるみたいだし」


卵肌婦人がサクラの三日月の杖とランを指差す。


「ボール、オレ!?」


「受けて立ちます」


「おいいっ!!」


ランがサクラにつっこんだ。


(ランならスピードで勝てるでしょ)

(まあ、そうだけど……)

(叩かないから、走ってよ)

(ちっ、しかたねーなぁ)


「待って、、」


ボール役のランを見た卵肌婦人は 目を細めてランを見つめた。


「その黒猫――」


(何だろう……)

(オレの身体能力がバレた?)


「イケメン臭がするわね」


((!?))


何と鼻の利くご婦人でしょう、卵肌婦人。

貴女こそ正しくイケメンハンター!!


「予定変更よ。ワタクシが勝ったら、その黒猫、いただくわ」


「わかりました」


「おいいっ!!」


再びランがサクラにつっこむ。


(どちらにしろ勝つんでしょ)

(そうだけど)


「じゃあ、わたくしのボールは――」


卵肌婦人がイケメンツバメに目配せすると、ドアからボールを()()()ツバメが帰って来た。


″がルルルルる……″


鎖に繋がれ、入ってきた()()()は ダラダラとヨダレを滴し、牙をむく、三つの首がある――


闇の番人『ケルベロス』。


(……)

(……)


サクラは拳にぐっ、と 力を入れる。


「イシルさん、頑張るよ」


相手が誰であろうと関係ない!


「ランが」


「オレかよっ!!」


「だって私、打つふりするだけだし」


全てはランにかかっている。


「私、頑張って応援するから」


手に持つ三日月の杖を握りしめ、うん、と、サクラが力強くうなずいた。





挿絵(By みてみん)







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― 新着の感想 ―
[良い点] ハンプティダンプティの女性版を想像したことが無かった・・・(笑)つるつる、って良いですね! 若いツバメも文字通り!! 金目猫様の意表を突く楽しいところ、大好きです~!
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