413. ご当地キャラ ★
挿絵挿入(2021/6/4)
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サクラの提案で、ご当地キャラと地域の特産品・名産品・名物・物語・歴史・人物などをコラボレーションしたキーホルダーを作ることにしたサクラとアス。
「どんなキャラクターがいいのかしら」
アスの質問にサクラが答える。
「んー、可愛くて、親しみがあって、邪魔にならないような、、」
「それは我の事かな」
アスと顔を付き合わせてキーホルダーとにらめっこしていたサクラは、低い声にぎょっとして一人掛けソファーを見た。
「ラプラス、来たんだ」
警備隊駐屯所でリベラにおにぎりをご馳走になってたはずの古竜ラプラスが、いつのまにやら木彫りのクマを膝にのせ、撫でながら話しに参加してきた。
食べすぎて追い出されたのかな?
「竜はかわいいであろう?」
んん?と、念押ししてサクラとアスに聞いてくる。
いや、可愛いというより崇拝、畏怖の対象では?
それでは怪しげな布教活動みたいでイヤだよ。
「竜は格式高いからね」
とりあえず、褒める体でスルーする。
「メレスベスなんてどうかしら」
アスがなかなかいいとこをついてきた。
メレスベスは、あれだ、ボート乗り場にいるでかいイルカ。
(↑イシルさんがげんこつで殴り倒したヤツ)
愛の言葉という意味の魔物で、普段は海にいる、縁起物の魔物。
イルカの風貌に、白いからだに水色の渦巻き模様が入っていて、見ると幸せが訪れるという、人懐っこくてかわいらしい魔物。
「いいよね、メレスベス!可愛いし、縁起物だから、買っちゃうかも。でも、水の魔物って、水族館のイメージが強いかな」
「じゃあ、それは水族館のグッズにまわしたほうがよさそうね」
「竜は……」
「縁起物で言えば、シャナの従魔のマーキスは、たしか、スマラグディーホークていう希少な鳥なんでしょう?」
サクラは口を挟むラプラスをぶっちぎり、アスに賛同の意を述べながら、シャナのマーキスを推してみる。
スマラグディーホークは、光によって色をかえる、エメラルドグリーンの鳥獣。
個体数が少ない上にその凶暴性、魔力の高さから、その美しい羽根は中々手に入らない。
落ちた羽根を拾えた者は幸運だというほどに。
体型は飛ぶ草餅。
「確かに、あのビジュアルは癒しよねぇ」
チラリとアスがサクラを見て笑った。
悪かったね、同じ体型、似てるよ!
「和みは重要だよ。そのビジュアルで言えば、アスのぽよんちゃん、、スライムだって可愛いよ。ゆるキャラの筆頭じゃん!」
ぽよん、ふよんと跳ねるアスの従魔、紫色のぽよんちゃん。
「可愛いけど、服着せられないじゃない?」
アスは服を着せたいらしい。
「民族衣装とか可愛いもんね。でも、ぽよんちゃんだったら、カラーバリエーションは増えるよ。色が与える印象って、結構大切じゃない?
赤→情熱、愛、
ピンク→優しさ、甘さ、可愛さ、
オレンジ→元気、陽気、温かさ、
黄色→明るさ、楽しさ、喜び、
緑→安心、希望、成長、
青→清潔感、知性、
紫→気品、高級感、神秘、
茶→温もり、落ち着き、
白→純粋さ、神聖、浄化、
黒→重厚感、威厳、気品、
みたいにさ、キャラクターに性格づけしやすいし、服を着せたいなら、ドワーフやオーガがぽよんちゃんダッコしてるのでもいいし、何なら疑人化させる?」
「疑人化しちゃったら ぽよんちゃん本来の魅力は半減しない?」
「だよね」
「竜……」
ああ、しつこい、ラプラス!
仕方ない。
「うん、竜もいいね!豊穣神リンスウィールなら、ドワーフの村の守り神だしね」
サクラはラプラスの意見を取り入れてみる。
「ふん、あんなひよっこじゃつまらん、こう、首が幾つもあってな、、」
キ○グギドラかよ!
折角のってやったのに。
「首は8っつくらいがいいか」
ヤマタノオ○チ、災害級ですね?
「モヤモヤ動いて可愛いぞ?」
ラプラスの『可愛い』基準がわからない。
イソギンチャクじゃないんだから……
「でも、村の特色を出しにくくなぁい?コロッケとか、ラーメンとかより キャラクターが目立ちすぎちゃダメでしょ?」
さすがアス!イイ事言った!
「ふん、さすればなんでも良いわ!このクマ公でも良いではないかっ!」
ラプラスが再びぷりぷり怒りだした。
「「あっ!」」
サクラとアスが同時に思いつく。
「それだ!」
「どれだ?」
そんなボケはいらんよ、ラプラス。
「いいじゃん、それ」
「竜ちゃん、あんた最高!」
「何だ?何がだ??」
自分が言った何が良かったのかわからず、ラプラスがキョトンとしている。
そんなラプラスに、サクラとアスが再び声を合わせた。
「「アール!」」
ミケランジェリの従魔、クマのぬいぐるみのアールの事だ。
「あの子なら服も着せられるし、親しみが持てるわよね。他にいない種族だから、レア感もある」
「うん、イケると思うよ。付喪神って、精霊でしょ?ご利益もありそうだし、サスガだね、ラプラス」
サクラとアスがきゃいきゃいはしゃぎ、ラプラスを誉めた。
「いや、あれは口からついてでただけで、我は竜の方が……」
「サスガ竜ちゃん、『神の眼』をもつ千里眼!目のつけどころが違うわぁ~」
アスもサクラに同調する。
数の暴力2対1。
うだうだ言われる前に丸め込む。
こんな時のサクラとアスの結託は早い。
「そ、そうか?」
「そうだよ~ラプラスがひらめいてくれなかったら、中々決まらなかったよ、頼りになるね!ありがとう」
サクラにべた褒めされ、にやけるラプラス。
「う、うむ。我は凄いのだ」
「じゃあ、アールでいいわよね、竜ちゃん」
アスが早々に結論づけた。
「うむ、我の薦めだからな、大事に扱えよ」
「「ありがとう!」」
「???」
誉められたけど、何か腑に落ちないラプラスであった。
「じゃあ、詰めていかないとね、キャラクターはアールに決まったとして、どうする?子ブタちゃん」
「んー、私はぽよんちゃんも捨てがたいんだよね~、だから、ファミリーとしてつけるのもいいかなって。このキ○ィーちゃんもネコ飼ってるし」
「猫なのにネコ飼ってるの?」
厳密に言えばキ○ィーちゃんは猫じゃない(←らしい)
「そうね、子ブタちゃんの言うように、ファミリーを作っておいた方が後々展開しやすそうだから、ぽよんちゃんも組み込んで考えましょう♪ドワーフ村、オーガ村、ハーフリング村から代表を呼んで、話を詰めないとね。他の街はこっちでやるわ」
「他の街?」
「ローズを初めとしたアタシの館がある街、全てよ」
アスがやる気に満ちた瞳をサクラによこした。
商人の目だ。
それは、、コンプリートするの大変そうですね。
こういう企画は夢がひろがり楽しい。
数はどうする?
何種類?
コレクターはどんなものが欲しがる?
レアもの、限定品、印字ミス、、
コラボ商品に、ナンバリングのゾロ目の数字。
話が弾むサクラとアス。
一人掛けソファーでは、興味を失くしたのか、木彫りのクマを抱いたまま、ラプラスが眠りに入っている。
ドワーフの村ならコロッケ、カレーライス、ワインだって忘れないで。
ジャガイモ畑で農作業するアールや、加治姿も可愛いね。
オーガの村ならラーメンにスペアリブ、剣士姿。
御竹山まで行かないと買えないレアものもイイかもね。
ハーフリングの村なら たこ焼き、お好み焼き、あとは行ってみないとサクラにはわからない。
次の骨董市が楽しみだ。
サクラとアスが楽しく話し込んでいると――
″バーン!!″
アスの執務室のドアが勢い良く開いた。
「いつまで話し込んでるんですか?」
「あ、イシルさん」
イシルはつかつかっとサクラによると、サクラの手を取り、立たせた。
「一体何時だと思ってるんですか」
「え?」
何時って、、
窓の外をみると、、
いや、まだ明るいよ?
5時前ってとこじゃない?
1日明けて朝の5時ってこともないだろう。
「帰りましょう」
「いや、でもまだ決めることが……」
「いいよ、とりあえずラフ画を何枚か描かせとくからさ」
アスが帰れとヒラヒラ手を振る。
「じゃあ、またね、アス」
サクラはお迎えにきたイシルと一緒に帰る。
ねぇ、イシルさん、私の門限って、一体何時???
↑木彫りの熊を撫でながら話に参加するラプラス




