411.リベラと料理 2 (おにぎり三段活用) ◎★
料理写真入りです(2021/5/29)
是非写真付きでご覧いただきたい( 〃▽〃)
あとがきに挿絵挿入しました(2021/5/31)
じゃがいものほくほく感と人参の彩り、玉ねぎの甘みがおいしい、カレー材料のお味噌汁。
「胡椒、入れる?」
「入れません」
「カイエンペッパーは?」
「辛くしなくても大丈夫です」
「……隠し味にフルーツを……」
「カレーじゃないですから」
とりかくリベラはなんでも入れたがる。
これを阻止してミッション2クリア!
リベラと二人で味を見ながら味噌の量を調節し、サクラにはちょっと濃いけど リベラのお味噌汁が美味しく完成した。
「次は おにぎりですね、リベラさん、おにぎりにぎったことはありますか?」
「いや、ないね。麦はいつもスープに入れて食べるから」
ですよね。
おにぎりは日本独特のものですからね。
「リベラさん、塩をだしてもらえますか?」
サクラは水をつけ湿らせた手で、塩を手につける。
塩は3本指の先の腹につく程度とり、濡れた手に馴染ませた。
ご飯茶碗に軽く一杯分のご飯をとり、熱いうちににぎる。
「こう?」
リベラも見よう見まねで、ぎゅっ、ぎゅっと 麦ご飯をにぎる。
おにぎりはご飯が熱いうちににぎった方が美味しい。
「熱くないですか」
「これくらい平気」
リベラの握るおにぎりは平たい丸型で可愛らしかった。
可愛らしい、、
可愛いらしいけど……
「どう?」
リベラがにぎったおにぎりをサクラに差し出す。
″コロン″
(小っさ!)
どんだけ圧縮したんですかリベラさん!?
これはおにぎりではなくお団子ですか?餅ですか!?
「えっ、と、、も少しふわっとお願いします」
リベラ再チャレンジ!
″ぎゅっ、ぎゅっ、、コロン″
再々チャレンジ!
「柔らかく……」
″きゅっ、きゅっ、、ポロン″
今度こそ!
「力抜いて……」
″にぎ、にぎ、、コロコロ……″
「……」
「……意外と難しいね」
何度やってもつるんと圧縮、麦の粒が消える。
麦ってまとまりにくいはずなんだけどな?
「リベラさん、柔らかいものに触れるときはどうしてるんですか?果物の桃とか、子犬とかを握るみたいにふんわり、ちょっと、きゅっ、と」
「柔らかいもの……」
リベラはちらりとサクラを見ると、サクラのほっぺを包み、ぷにっ、と 優しく力を入れた。
「これくらい?」
ふわんと優しく、いたわるように力を入れる。
「んー、もちょっと強くてもいいですかね」
″ぷにぷに″
「こんな感じ?」
「あ、それくらいですかね」
″ぷに、ふにっ″
「それとも、こう?」
もにもにとリベラがサクラの頬をマッサージ。
「あはは、リベラさん、くすぐったいですよ~」
″ふに、くにっ、″
「これは?」
「ひゃあ!何を、、耳は、、」
″ぷよ、ふよ、、″
「やめ///」
「唇、美味しそう」
きゅいっ、と リベラがサクラの唇を撫でる。
「サクラ、真っ赤だよ?可愛いね」
「リベラさんっっ///」
「あはは、ゴメンゴメン、反応が素直だから つい可愛くて」
サクラが声をあげると、リベラがようやくサクラを解放してくれた。
「からかわないで下さいよ!もー、私の顔、ベタベタじゃないですか~」
おにぎり握ってる途中でしたからね。
サクラが水場で顔を洗い、リベラが隣に来てタオルを差し出す。
「ごめんね」
リベラは謝りながらタオルでサクラの顔を包み、、
またもやむにっ、むにっ、と リベラがサクラの顔をこねくりまわす。
「り、リベラすわん、ぬわにを、、」
「あはは」
遊ばれてる?
″ぐいっ、″
リベラがサクラの首の後ろにタオルをひっかけ、ぐいっと手前にひっぱった
「うわぁ!」
サクラのすぐ目の前にリベラの顔がある。
イケメンリベラから女の色香が漂う。
(リベラさん、いい匂い///)
「キスしてもいい?」
イケメンだし、美人だし、グラッと来ますが……
「ダメですよ」
「アタシ、失恋したばっかりなんだけど、慰めてくれない?」
いや、失恋じゃないですよ!と言いたいが、シリュウの代わりにシリュウの気持ちを言うわけにもいかん。
(シリュウさんとヒナとのトライアングルゾーンの中に私を入れないで!!)
「そんなに イシルがいい?」
「うっ///」
ここははっきり言わないと
「……はい」
「ん~残念。」
「……イシルさんにはイワナイデください」
「じゃあ、、」
リベラがちろりと舌をのぞかせ唇を舐め、妖しげに笑う。
「口止め料、くれる?」
口止め料ってなんですか!?
「あー、イチャイチャしてるとこすまんが……」
サクラがどう回避しようか迷っていると、気配もなく いきなりキッチンの入り口から声がかけられた。
「我の光る棒はいつになったら届けてくれるのだ、サクラ」
「あ!ラプラス」
サクラにサイリウムをご所望のラプラスだった。
天の助け!ありがとう!
「待てど暮らせど一向に持ってこんとは、けしからん!鬼の裸体を観賞したり、エルフとラブラブしたり、鬼の娘とイチャイチャする時間はあるというのにな!」
どうやらちっともサクラが届けてくれないので、催促に来たらしく、プリプリしている。
「私を覗くなって言ってるでしょ」
「仕方なかろう、これが我の勤めなのだから」
ラプラスは もっちもっちと口を動かしながら サクラの言葉を華麗にスルー。
「これは、、ムギュ、、甘くて、、モグ、はみごたえがあるなぁ」
リベラが握って凝縮された麦だ。
ラプラスが、ぽいっ、と、もう一個口に入れる。
「しかし、ムグ、もうちっと甘い方が、ムグモゴ、好みだ」
「……甘い?」
白米でもないのに『甘い』って?
サクラも餅になったリベラ特製圧縮麦を口に入れた。
″あむ、、″
口に入れた瞬間、甘い。
(うわっ!これ砂糖だ!)
初歩的ミス!!
リベラが出してくれたのは塩ではなく砂糖!!
″むぎゅっ″
(そして、かっ、、噛めない)
餅というか、ゴムですね?
ラプラスはよくこれを噛めたもんだ。
「光る棒、光る棒は?持っておるのはわかっている。祭りの夜にエルフと二人で先に使っただろう?」
あー///もう!
本当にそんな個人的な事まで記憶するのが仕事ですかぁ!?
サクラはリュックからサイリウムとペンライトを出してラプラスに渡した。
「うはは!これだこれだ!」
ラプラスはご機嫌で 踊りまくっている。
(……変な踊り)
ラプラスの一人○ューチュートレイン???
さて、気を取り直して、おにぎり再開です。
リベラはサクラのほっぺでコツをつかんだのか、その後はおにぎりを握れるようになった。
「おにぎりマスターしましたね!リベラさん!」
「サクラの教え方が旨いんだよ」
いやいや、貴女が勝手にほっぺでマスターしたんです。
「これで出来上がり?」
「いえ、このおにぎりの上にトッピングをしようと思って」
麦は白米と違い、握りにくい。
中に具をいれたり、粘りけのない食材を混ぜ込んだりすると、割れやすいから、初心者のリベラには白にぎりにしてもらった。
だが、これだとちょっと寂しいので、上から後乗せトッピング。
保冷庫に明太子を発見したので おにぎりの上に乗せる。
ネギをのっけてめんたいネギ
ゴマを散らしてめんたいゴマ
明太子にマヨネーズを混ぜて、上にチーズをトッピングすれば、ちょっと洋風、めんたいマヨネーズチーズ
「へぇ、綺麗なもんだね」
「これで終わりじゃないんですよ」
「え?」
「これを″焼き″ます」
焼おにぎりだ。
″切る″ ″煮る″と来たら、リベラの″焼く″も見ておこう。
「じゃあ、リベラさん、焼いてください」
「うん」
リベラはフライパンを熱し、ゴマ油を――
″たりっ″
「はい!それくらい!」
リベラの入れすぎ注意を事前に阻止!
ちょっと小姑みたいだけど、適量が慣れるまでは我慢してもらおう。
良く熱したフライパンに、サクラがにぎったおかかの方のおにぎりをリベラがフライパンに並べていく。
″じゅっ、、″
ぱち、と、油の跳ねる音と、しょうゆの香ばしい香り。
「おにぎりのはしっこが固まってきたらひっくり返してください」
中火で焼いていくと、徐々に下の面がやかれ、水分がぬけて固くなり、こんがり色づいてくる。
″くるっ″
「香ばしい、いい香りだね」
「しょうゆ味の焼きおにぎりのカリカリお焦げは最高ですよ~これくらいの焼き色を覚えておいてください」
ちょっと焼きすぎだが、焼おにぎりは焦げが美味しいから問題ない。
お焦げとお焦げに閉じ込められたおにぎりの中があたためられ、ぷっくり膨らんでくる。
反対側も同じ色に焼けたら、中に水分を閉じ込めたふっくら、カリカリ焼きおにぎりの完成だ!
おかかとしょうゆの濃い味は 冷めても美味しい。
「明太子のほうも焼きましょう」
同じように明太子乗せの丸いおにぎりもフライパンに並べていく。
「ん?誰か来たな」
リベラが人の気配を感じて キッチンから離れようとした。
「リベラさん、火から離れるときは面倒がらずに止めましょう、野営でもそうですよね?フライパンの油から火が上がると危険だから……」
「そうか」
リベラに注意喚起ミッションもクリア!
「いい、我が見てきてやろう」
踊っていたラプラスが気を利かせて リベラの変わりに見に行ってくれたので、料理続行です。
上にトッピングがあるおにぎりは、片面をフライパンで焼いて焼き固めたら、反対側、上部はコンロの真ん中のグリルに移して焼く。
そのままひっくり返したら上の具材がフライパンにくっついて勿体ないでしょう?
「リベラさん、さっきの焼き色ですよ?」
「わかった」
リベラがグリルとにらめっこしていると、何名かがキッチンに顔を出した。
「あっ!サクラちゃんだ」
「なんだ、それでか」
「どうりでいい匂いが……」
先ほどの人の気配は、どうやら焼きおにぎりの香ばしい匂いにつられて、隊員の何名かが帰ってきたようだった。
「サクラ、もういいかな?」
リベラに聞かれてグリルの中をのぞくと、うん。いい色。
「そうですね」
ぷちぷち、こんがり焼き目がついた 明太子焼きおにぎりも完成です!!
サクラは味噌汁をあたため直す前に、分離している味噌汁のうわずみをすくった。
だしの部分だ。
「どうするの?」
「もう一段階、進化です」
丼に明太子の焼きおにぎりを乗せ、暖めたダシを上からかけると――
″じゅわっ″
じんわりと、焼きおにぎりにダシが染み込んでいく。
上からネギをちらして、焼きおにぎりのだし茶漬け。
「これを、シリュウさんに」
パリパリお焦げとダシの優しい味わい、そこに明太子のプチプチした食感と塩気がうれしい、簡単だけど味わい深い逸品です。
「ありがとう、サクラ。また、一緒に料理してくれる?」
「勿論です!」
具沢山根野菜の味噌汁とおかかのおにぎり、めんたいにぎり。
両方の焼きおにぎりに出汁茶漬け。
サクラは隊員達にも、またお願いと言われて、シリュウと入れ替わりにラ・マリエへと向かった。




