273. 遠足 3 (お弁当 実食) ★
挿絵挿入(12/27)
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「うわぁ///美味しい」
ギルロスの膝の上、ナゲットにかぶりついたララがニコニコ顔で感嘆の声をあげる。
「ふわふわ~」
同じくテトもギルロスの膝の上。
「うめえな!卵にまいてる、、オムライス?ミディーにも作り方教えといてくれよサクラ」
こらこら、トムや、お母さんを名前で呼び捨てですか?
七歳にして『お母さん』っていうの恥ずかしい?
もう思春期?
「なんだか食べるの勿体ないね~」
「かわいい~」
そう言いながら 甘いフルーツサンドを口に運ぶのは しっかりものエイルと同じ年の女の子 おしゃまなマナとのんびりノーラ。
「全部サクラが作ったの?」
エイルがブロッコリーアフロの ちくわ星人をぽいっと口に入れてサクラに聞く。
「イシルさんと一緒に作ったんだよ」
「アイツは一体どんな顔してこれを作ってるんだか……」
それを聞いたギルロスは小さなララとテトを膝に抱えたまま苦笑いだ。
(どんな顔って……)
それはもう、イイ顔してますよ。
露骨ではないけど、滲み出る嬉しそうな、楽しそうな感じがなんとも……
見つめる瞳には愛しささえ見えますよ?
イシルさん、アスの水族館で買ったアザラシのぬいぐるみも大事にしてるみたいだから、きっと好きなんだな~、こういうかわいいの。
イシルさんのビジュアルからしたら想像しにくいだろうなぁ~、ギャップ萌えですよ。
サクラがニヤニヤしていると、それまで黙っていたユーリが オムライスを手に、ポツリと感想をのべた。
「似てるね」
「何に?」
「サクラの顔に」
「えっ!?」
「ホントだ!」
「サクラだ~」
「にてるね~」
子供達が楽しそうにはしゃぐ。
いや、、
まって、、
イシルさんがあんな目で見つめてるのは、、
イヤイヤイヤ、、
似てるとか言われても、、え?
ちょ、、
イシルさん、楽しそうに、、
何??それに、、似てるの?私が!?
サクラの脳内のイシルが自分に微笑みかける。
(~~~~///)
「サクラ、どうしたの?顔、真っ赤だよ?」
「なっ///なんでもないよ」
マナに突っ込まれてサクラは慌てて脳内スクリーンを閉じた。
「あ!ギルロスさん、食べにくいですよね、ララは私が抱っこしましょうか?」
ギルロスが弁当を食べていないことに気づき、話を変えようと サクラはギルロスに両手を差し出し ララを抱っこしようとする。
「いや、いい」
「お腹空いてないんですか?」
「サクラが口に入れてくれれば良いだけだ」
そう言ってギルロスは、アーと、うすく締まった口をあける。
(はいぃ!?)
ギルロスの突然の行動にサクラはあわあわ……
なんだ異世界のイケメン共は!
畳み掛けるように攻めて来やがる!!
今脳内のイシルを振り払ったばかりぞ!?
「サクラ、くれ」
アーン……
(ううっ///)
ギルロスの口がひらき、その口に……
″ヒョイ″
「ほーらギル、旨いよ、これ」
「これも美味しいから食べなよ、ね!」
何故かトムとユーリが勢い込んでナゲットとピーナッツバターサンドをギルロスの口に突っ込んだ。
助かった!!
「むぐっ、、もぐっ、、」
「な?旨いだろ」
「な、ギル」
ギルロスは口に突っ込まれたものを味わい、文句をたれる。
「お前ら……この組み合わせはどうかと思うぞ」
食べたけど。
「あたしのも食べて!ギル!」
「サンドイッチも~」
「タコさんも美味しいよ~」
エイルとマナとノーラの女子チームがギルロスにそれぞれ差し出し、なんだか食べさせっこが始まってしまった。
「サクラ」
ユーリがサクラの前にひとくちオムライスを差し出す。
(ユーリ!?)
ユーリが食べてほしそうにこっちを見ている。
ああ、何て可愛いんだ!
この前までツンツンしていた小僧とは思えない可愛さ!
これを断ることは出来ん!
「あーん……あむ、、」
イシルの作ったひとくちオムライス、下の段にあったのか、顔は描かれてはいなかった。
「ん~!」
ケチャップライスのオムライスだけかと思いきや、サクラが食べたものはチャーハンだった!
チャーハン、ていうか、焼き飯?
中華味じゃなく和風ダシの醤油味。
具はハムと玉ねぎだけだが、香ばしい醤油のこげた風味が旨い!
だから顔が描かれていなかったのか~
この味にケチャップは違うよね。
「美味しいね///」
サクラはユーリに笑顔を向ける。
笑顔を向けられたユーリがちょっとはにかむ。
尊い!!
「サクラ、これも!」
あーん、と、今度はトムがオムライスを差し出す。
あれっ?ニコニコ顔のデコレーションが白い。
ケチャップじゃないもので顔が描かれている。
ということは、ケチャップライスでも焼き飯でもない?
「あーん……はむっ、、」
これは……
「カレー!!」
入っていたのはカレーピラフ。
描かれたニコニコ顔はマヨネーズ!!
カレーピラフにはピーマンが入っていたが、そのちょい苦がまたたまらない。
ひき肉、玉ねぎ、ピーマン!
マヨネーズがカレーピラフを包んでマイルドにしてくれて、合うわぁ~
ピーマン苦手な子供にもうってつけ。
「ん~///美味しいね!!」
サクラはトムにも笑顔を向けた。
トムも嬉しそうだ。
これまた尊い笑顔!
自分が選んだものを美味しいって言ってもらえると嬉しいよね!
「そういやサンミのとこでカレーライス食ったぜ、旨かったから依頼主にも送らせてもらったよ」
ギルロスは銀狼亭の新メニューのカレーライスを食べたようだ。
ギルロスには体の弱い依頼主がいて、旅先で美味しい、珍しいものを見つけると、転送の魔法で送っているのだ。
「あれはサクラが教えたんだろ?」
「ええ、ライス(麦)にかけるだけですから。今カレーパンも試作中なんです」
「門前広場にパン屋ができるんだろ?」
「はい。バーガーウルフのパンもあるので、マーサさんの自宅で焼くには量的に手狭になってしまったみたいです。それならいっそ近くに作ろうということになったみたいで」
パンは基本的に村の者は自宅で焼くから 今までパン屋は必要なかった。
外から来る者は多くなかったし、マーサが小塚い稼ぎに銀狼亭におろしてるくらいの量で事足りていたからだ。
「警備隊屯所に店員募集の貼り紙がしてあったぜ」
「誰も来なかったら私が行きますよ」
人が決まるまで。
「そうはならないようだがな」
「あれ?決まったんですか?」
「ああ、決まったよ。二人来たが、一人はホルムのとこに行ってもらうってさ」
「ホルムさんとこに?」
「ホルムんとこもワインと一緒に軽いものを出してるだろ?貴族の相手が出来そうなやつだったからさ、頼んで行ってもらったんだよ」
「へぇ~、優秀な人なんですね~、村の人ですか?」
「いや」
「商人さん?」
「いや」
「まさか、貴族?」
「それも違うな、会えばわかるさ」
どんな人だろう……
オーガの村の人かな?それもハーフリング?
アスのところには 悪魔だけじゃなく人間の従業員もいたから、そこの人かな?
ドワーフの子供達。
女の子チーム
サミーの娘しっかりもののエイル(真ん中)
おしゃまなマナ(左)
おっとりノーラ(右)
男の子チーム
ミディーの息子ちょっぴり反抗期のトム(真ん中左)
人間の男の子ユーリ(真ん中右)
口数少ないシムズ(左)
お調子者ザムザ(右)




