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267. 皿うどん

二週間に一度のチートデイ。

サクラは現世で好きなものを食う!!




サクラは如月の和小物店を出ると お昼を食べるために店へと向かった。


今日は迷わない。

来る前から決めていた。

どうしても食べたいものがある。

それは――


『皿うどん』


長崎県民なんです。

長崎県民だから皿うどんを食べたいわけではない。

中には嫌いな人だっているだろう。

でも、サクラにとって『皿うどん』は子供の頃から生活に密着していた食べ物だった。


子供の頃、家の台所には70リットル透明袋に入ったパリパリの揚げ麺が台所に常にあり、こっそり抜いてはおやつ代わりに食べていた。


法事や町内会の集まりがあると、必ず大皿で パリパリ細麺の皿うどんと、ちゃんぽん麺に()()をかけた太麺皿うどんが鎮座していた。

1皿で4、5人分くらいあるんです。

大きいでしょう?

でっかいオードブル皿で来るから、他の料理がかすんでしまう。


あの 配達されてきた大皿皿うどんのラップを剥がしたときの匂いがたまらない。

それまで閉じ込められていた香りが 湯気と共に むわん、と 立つのだ。


サクラは店に入りる。

かた焼きそばはではなく、正しく皿うどんのある店に。


「皿うどん細麺ください」


かた焼きそばと皿うどんは違う。


麺の太さの違いは明らかだが、

皿うどんの麺はちゃんぽん麺を揚げたものだ。

ちゃんぽん麺はラーメンの麺と少し違う。

使っている「かんすい」の種類が独特で、唐灰汁(とうあく)を入れて作った特有の麺である。

かんすいと唐灰汁(とうあく)は、同じアルカリ塩水溶液だが、主成分が違うのだ。

長崎でも限られた製麺所でしか製造されていないんですよね。ちゃんぽんって、独特の風味がするでしょう?


某有名人チェーン店の麺は 残念ながら唐灰汁(とうあく)は使っていないようなので、是非本場で食べていただきたい。

今はおとりよせもありますからね。


かた焼きそばと皿うどんは、麺だけじゃなく、あんも違う。

かた焼きそばは 一般的に醤油味の五目あんで、肉、エビ、人参、タケノコ、椎茸など 八宝菜や中華丼のあんに近い。


一方皿うどん、厳密には「炒麺チャーメン」と呼ぶのが正解で、皿うどんは「炒麺チャーメン」の一種なのだ。

でも、皿うどんのほうが有名なので、皿うどんでいいです。


あんは イカ、エビなどの魚介類、豚肉、キャベツ、もやし、カマボコ、チクワ等が入っているあっさり塩味。


「はい、おまち~」


(きた!)


サクラの前に待ちに待った皿うどんが置かれた。

サクラは急いで上の()()をどかす。

何故って?

()()()()が食べたいからだ。

あんが上にかかったままだとすぐに蒸されてしんなりしてしまうではないか!

それは後でいくらでも食べられる。

先ずはパリパリの状態で楽しむのだ!


「いただきます!」


″あむっ、バリバリバリ″


口の中で麺が()()()

バリバリと音を立てて口の中で崩れ、あんと混ざり合う。

魚介の優しい甘みのあんが 香ばしく繊細な細さの麺に染み込んでいく。


「んー///」


噛むたびにザック、ザックと美味しい音と歯応え。

キャベツが甘い~

白菜じゃなくキャベツですよ!

この固さが皿うどんにぴったり。


「くふふ///」


豚肉発見~!

がっつり肉入りではないけれど、豚肉の旨みったらないわ!

魚介も豚肉も入ってる、まさにちゃんぽん(ごちゃまぜ)

魚介の出汁で味わう豚肉ってどうよ!?

旨い+旨い=バリ旨いに決まっている!

ありがとう!ありがとう!!ありがとう!!!


そして……


「てんぷら入り~」


てんぷらは いわゆる『丸天』、さつま揚げのことだ。

これが入っているのといないのでは旨みが違う!


(子供の頃、てんぷら(さつまあげ)ばっかり拾って食べて怒られたな……)


「はむっ、もぐっ」


とろっともやし、イカの歯ごたえと海の香り、ピンクと白で紅白の彩りかわいいかまぼこの口当たり。


ああ、もう麺がしんなりしてきた。

柔らかくなった麺は食感がかわって美味しい第二弾


とろとろと柔らかくなり、あんの旨みを吸い上げ、一体になった麺を味わう。


「ずるっ、もぐっ、」


(染み染み、うまうま///)


ぷりっとエビに柔らかくなった麺。

染み染みも味が馴染んでていいわぁ///

食感ではなく、麺の味のほうをより感じる。


ここで、ソースをかけて、美味しさ第三弾。

ソースはウスターソース。


「はむっ、、」


ソースをかけると 薄めのあんにちょい、しょっぱさが足されて……

より甘く、コクが出る!!


「むふっ///」


酸味のきいたソースを加えることで味が引き締まるのですよ!

あれですね、塩をかけるとより甘みを感じるスイカのように。

たっぷりかけるとソース味になってしまうので(それが好きな人もいるが)お好みで。

ウスターソースですよ!トンカツソースじゃありません。

ウスターソースをかけて 皿うどんは最終進化を終え、完成形となるのだ!


「はぐっ、はぐ、、」


麺は糖質だけど、今日は良い!野菜もたっぷり摂取して罪悪感を差し引きだ!


因みに皿うどんはちゃんぽんをアレンジしたもの。

ちゃんぽんを配達する際に、配達しやすいよう汁を少なめにして、スープがこぼれないようトロミヲツケたことからはじまったんですよね。

太麺(柔麺(やわめん))タイプも是非ご賞味あれ!


「ふはぁ///ご馳走さまでした」


久しぶりにソウルフードを堪能して サクラは現世を後にした。






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