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257. テュリャ テュリャ テュリャ テュリャリャ~♪ ★

挿絵挿入しました(12/23)

イメージ壊したくない方は画像オフ機能をお使いくださいm(_ _)m




サクラは銀狼亭にて久しぶりにジャガイモ皮むきのお手伝い。

しゅるりしゅるりとジャガイモの皮をむく。


「やっぱりモルガンピューラーの使い心地は抜群だな~」


モルガンピューラーの売れゆきはすこぶるいい。


いや、注文書を見て驚いたよ。

アジサイ町の商人ギルドから届いた注文書の値段が1個10000円だったのだ。


「あ~そう言えば 商人ギルドに値段言ってなかったわ」


ラルゴが注文書を見てエヘヘと笑う。


その場のノリで決めた『販売記念の大特価!今なら2個で9800¥!』のうたい文句のとおり、その日の限定100個とその日受けた注文は2個で9800¥。

使用した者からの評判が評判を呼び、商人ギルドへ モルガンピューラーの問い合わせが殺到し、確認するからという職員に せっかちな客が本来なら10000円なのだから10000円で発注すればいいじゃないかと 押しきられたようだ。

商人ギルドに支払う手数料を引いてもかなりの儲けになる。


「やっぱそれだけの価値があるんだよ」


ラルゴは鼻高々だった。

いや、オレがつくったんじゃないけどね。と。


ラルゴは アザミ野方面にも実演販売に向かい、今はこの村に買いつけに来る商人もいて、確実にその先へと広まっている。


モルガンは惜しみ無く皆に作り方を教えた。


「この技術はドワーフの宝じゃから」


四の道の加治屋通りに出向いては指導し、村の外から教えを請いに来たものを迎え入れ、技術をひろめていく。

教わったものは国へ帰り、その国で修理、作製をになってゆく。

人を切らない刃物の技術を。

ドワーフにしか出来ない卓越した技術を。


「真似できるもんならすればいい」


モルガンは笑う。

腕に自信がある、誇りがある。

技術は磨かねば 事は成せない。

これは秘すべき技術ではない、と。


「サクラ、終わったらローニを手伝ってやってくれるかい?」


「はーい」


サンミに言われ、ジャガイモ皮むきの次は ローニさんと 宿のお掃除リセットのお手伝いだ。


「力仕事は私がやるからさ、サクラは洗濯してくれる?」


「かしこまりぃ!」


宿の方の仕事をしているローニの指示に従う。

パープル系の赤の似合うオトナなローニさんは サンミさんと同じ年くらいかな。


宿のリセットは結構力を使う。

シーツをはるのにマットレスを持ち上げたり、ベッドの数を入れ換えたり、ベッドを持ち上げて掃除したり。

そんな力仕事もドワーフローニさんにかかればちょちょいのちょい。


サクラはローニがひっぺがしたリネンを水魔法と風魔法とを使い、庭で洗濯する。

自分ちのじゃないからね、お日様でのんきに乾かすよりも、早くて清潔、が一番!

クリーニングの魔法?

そんな高等技術使えませんよ。


「今日は風魔法じゃなく、重力魔法で試してみよう」


サクラは空気のかたまりを重力魔法で包み込み、風船状にすると、中に洗濯物と水、洗剤を入れる。

イメージはドラム洗濯機。

まとめて大物洗いだ!


手に魔力を集中し……


ゆっくりと円をかきはじめ、指揮者のように手を動かす。

イシルが虫干しをした時、教わった感覚ををイメージして……


「テュリャ テュリャ テュリャ テュ、リャ、リャ~♪」


歌いだした。


「ヘイ!洗濯開始!」


日曜日に 市場(いちば)へでかけ

糸と(あさ)を 買ってきた~♪


中の洗濯物がぐるぐる回る。


テュリャ テュリャ テュリャ

テュリャ テュリャ テュリャリャ~、

テュリャ テュリャ テュリャ

テュリャ リャ~♪


「逆回転!もみ洗い!」


月曜日に おふろをたいて

火曜日は おふろにはいり


「脱水!」


テュリャ テュリャ テュリャ

テュリャ テュリャ テュリャリャ~、

テュリャ テュリャ テュリャ

テュリャ リャ~♪


「給水!」


水曜日に ともだちが来て

木曜日は 送っていった


「すすぎ!」


テュリャ テュリャ テュリャ

テュリャ テュリャ テュリャリャ~、

テュリャ テュリャ テュリャ

テュリャ リャ~♪


「再び脱水!」


金曜日は 糸まきもせず

土曜日は おしゃべりばかり


「乾燥!」


テュリャ テュリャ テュリャ

テュリャ テュリャ テュリャリャ~、

テュリャ テュリャ テュリャ

テュリャ リャ


「プレス!」


ともだちよ これが私の

一週間の 仕事です

テュリャ テュリャ テュリャ

テュリャ テュリャ テュリャリャ

テュリャ テュリャ テュリャ

テュリャ リャ~♪


「完璧!」


ノリノリで洗濯第一段終了!


「変な歌」


「え?」


誰も見ていないと思っていたサクラは ぎょっとして振り返る。

二階だ。

二階の窓から トムと同じくらいの年の男の子がいた。


(子供連れのお客さんがいるんだ、珍しい)


「あ……」


男の子は プイッと部屋の中に消える。


(つまんなそうだったな……)


さて、気を取り直して洗濯第二段!


「テュリャ テュリャ テュリャ テュ、リャ、リャ~♪」


調子よく洗濯していると……


「……なんだその歌は」


呆れ顔のギルロスがこちをみていた。

やっぱり、変な歌だよね?


「見回りですか~?」


「ああ」


そう言いながらも ヒラリと塀を越えて サクラに近づく。


「今日はここで手伝いか」


「はい。イシルさんオーガの村に行ってるんで」


「ふーん……」


サクラの横にどかっと座った。


あれ?見回りは?


「続けていいぜ、洗濯」


「そう、ですか?」


では、失礼して、洗濯物畳ませて頂きます。

仕事中ですから。


「これっ くら~いの♪ (プレス!) お弁当~箱に (プレス!) おっにぎり おっにぎ~り ちょいっとつ~めて(プレス!)」


サクラの隣でギルロスが笑っている。


「きっざ~み生姜にごっましおかっけて……」


ふわっと サクラの髪に ギルロスの手が触れ、サクラの手が止まる。


「あの、ギルロスさん、」


ギルロスはサクラの髪についた葉っぱを取り除く。


「ありがとうございます」


ですよね。すみません、自意識過剰でした。


「続けろよ」


「ニンジンさん(プレス) サンショウさん(プレス) シイタケさん(プレス) ゴボウさん(プレス) あっな~の空いた……」


ギルロスの手が サクラの髪に触れ、指で毛先を弄る。

先ほどの事があるし、特にそれ以上触ってもこないので しばらくほっといたのだが、毛先を指でつまんで擦られているだけなのに どうにもくすぐったい。


「あの、ギルロスさん……」


いつの間にかギルロスが距離を詰めてきていた。

サクラの毛先を指先にからめながら、なんともいえない優しい顔でこちらをみているギルロスがいた。


(ダメだろその顔は///)


イケメンのトロ顔ご馳走様です!

思わず魅入(みい)ってしまいます!!

それはもう、穴が空くほどに!!!


「どうした?」


おまけにガツンと胸に響く低音イケメンボイス。

アスの魔力より(←サクラには効きにくい)よっぽど破壊力があるな!!


「くすぐったいか?」


うわー!顔と声のダブル攻撃ヤメテー!!


「ギルロスさん、そういうのは ちょっと、、」


「そういうのって?」


ギルロスがじわじわと距離を縮めてくる。

オオカミの縄張りに追い込まれるウサギの気分……

違ったら恥ずかしいけど、これは迫られてるんだよね?


「私、恋愛する気はまったくなくてですね、、」


「うん」


「こういうのは 困りますから……」


「うん」


「あの、聞いてます?」


「うん」


(ひぃ///聞いてねぇ!!)


ラン、呼ぶ!?


「おっ?」


不意にギルロスがサクラの前から消えた。


「なにサボってんだい」


どうやら サクラに覆いかかるギルロスを サンミがぶん投げたようだ。


(ああ、天の助け!神様、仏様、サンミ様~!!!)


「サクラ困ってんじゃないか」


「好きな女を口説いて何が悪い」


わお、ハッキリ言いますね 告白されてませんが。


「断られてただろ」


「それで引いてたら恋愛なんて出来ないだろ」


「今は仕事中だろ、さっさと行きな」


サンミが しっしっ、と、犬っコロを追うようにギルロスを追い払う。


「惜しかったな サクラ」


ギルロスは意味深にニヤリと笑い 塀を飛び越えて行った。


「モテるねぇ~サクラ」


テュリャ テュリャ テュリャ テュリャリャ~♪




挿絵(By みてみん)









『一週間』の歌はロシア民謡


『お弁当箱』の歌は作者不明なんですね~

因みに『サンドイッチ』バージョンもあるみたいです。

これっくらいの おべんとばこに

サンドイッチ サンドイッチ ちょいとつめて

からーしバターに マヨネーズぬって

いちごさん ハムさん きゅうりさん トマトさん

まるいまるい さくらんぼさん

すじのはいった ベーコン

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