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249. 来客 3(アスの場合) ★

挿絵挿入しました(12/5)

イメージ壊したくない方は画像オフ機能をお使いくださいm(_ _)m




アスの指がサクラの髪を鋤く。


イシルとヨーコが調理場へ行った後、アスはサクラの髪を整えながらパーティーのコーディネートを考える。

アスは櫛を使い、髪の毛の流れを整えながらハーフアップでサクラの髪に(かんざし)を差した。

ハーフアップのまま流すとやはり少しかわいらしい印象になってしまう。


「ウィッグつき(かんざし)も捨てがたいけど、今回は大人っぽく行きたいのよね~」


サクラは出会った頃より首のラインがキレイにでている。

少し痩せたようだ。

折角だからピンで飾り、うなじを出して、襟首の広い服にしよう。

そうすればサクラが外したがらない 白薔薇の華奢なネックレスも映えるだろう。

大人っぽく、シンプルに。

赤い口紅を引き立たせるように……


アスは(かんざし)を抜き、うなじを出すために髪を纏め、サクラの首もとから髪をすくいあげた。


「あら?」


サクラのうなじに、うっすら赤い痕が見える。


「……」


耳の後ろ側の生え際、首の付け根あたり。

こんなとこ、ぶつけるはずがない。

いや、粗忽者(おっちょこちょい)のサクラならぶつけるか?


「どうかした?アス」


動きを止めたアスをサクラがいぶかしむ。


「子ブタちゃん、最近 首痛めた?」


「首?」


サクラに自覚はないようだ。

ということは、これは、やはり……


(イシル~~~~)


髪をおろしていたら普段はわからない。

サクラのうなじをパーティーで皆に見せたくないから わざとこんなところに――――


(キスマークつけるなんて!!)


どんなに小さくても、薄くてもこんなところに()があったら うなじなんて見せられない。

わざとだ。

パッと見わからないが、めざとい者なら気づいてしまう。

噂好きの貴族たちなら 例えこれが虫刺されであったとしても あることないこと言い出すだろう。


(独占欲強すぎ)


イシルの思いが強くこめられていて アスは赤い痕に(いざな)われる。


明々(あかあか)とゆらめく 暖かな光の中、気持ち良さそうに眠るサクラを胸に 満ち足りた時を過ごす。


なんて 穏やかな時間……


愛しい気持ちが溢れて……


アスはキスマークに吸い寄せられるように サクラのうなじに唇をよせていく。


少しの罪悪感を伴い 抑えきれず 眠るサクラのうなじにキスを――


″ムギュウッ″


「いったあぁーーい!!なにすんのよっ!!」


強烈な痛みと共に アスはイシルの残留思念から引きはがされる。


「いや、アスが近すぎるから……」


キスマークにたどり着く前にサクラに阻まれた。

イシルにデーモンキラーでつけられた腕の傷を 包帯の上から強く握られたのだ。


「容赦無しね」


「だってアス何回呼んでも反応しないんだもん」


「ほんと、イシルに似てきたわ」


さて、これじゃあ首は出せないな。

この前のかくれんぼ騒ぎの時、イシルのうなじに色気を見いだして悪ノリした自分が悪いのだが。


(子ブタちゃんのうなじを人前に晒したくないのねぇ……)


イシルのことだ、パーティー前に消えてしまうようなつけ方はしていないはずだ。

治癒魔法で消したら怒るだろう。


(ドレスは考え直しだわ)





◇◆◇◆◇





「うわあぁ!ちらし寿司!笹にくるまってるのはチマキ?いや

笹寿司ですか?うお!!刺し身盛り!」


打ち合わせを終え、キッチンにやって来たサクラが うっきうきでが調理台を巡っている。


「食べました?ヨーコ様」


「いなり寿司は食べたが ちらし寿司と笹寿司は持ち帰り、職人達に試食させようと思うてな」


イシルがサクラに声をかける。


「お刺身食べていいですよ、サクラさん。お昼ラーメン少しだけでは足りなかったでしょう?ちらし寿司はランと一緒に食べましょう」


「ありがとうございます!」


魚の糖質はほぼないといっていい。

100g中0.1g~0.3gだ。

100gは居酒屋で出てくる大きさで、大体7切れくらい。

スーパーで一人前パックもこれくらいだろう。


ただし、カロリーは高いものがある。

マグロの大トロ・ブリ・イワシなど脂がガッツリ乗っている系のお刺身はカロリーが高いので、カロリー計算のダイエットでは注意が必要だ。


それでも糖質のみを気にするロカボダイエットには関係なし!

高カロリーの大トロも、糖質は赤身と同じ100g中0.1g


サクラはヨーコと一緒に刺身を食べる。

醤油の付け方、

わさびやショウガなどの薬味から、

大葉やかいわれ、芽ねぎ、穂紫蘇(ほじそ)といったツマの役割、食べ方を説明しながら……


アスはそんなサクラを嬉しそうに眺めているイシルに近づく。


「やってくれたわね」


イシルは口の端でちょっとだけ笑う。


あんなこと(キスマーク)しなくても言ってくれれば良いじゃない」


「言ってもきかないだろう」


まあ、確かに。


「つけたかったんでしょ」


「それも、ある」


「まったく、しょうがないわね。一つ、貸しだからね」


「お前には返してもらってない貸しが山程あるはずだが?」


おっとイケナイ 話をかえよう。


「キスマークつける隙があるなら実力行使しちゃえばいいのに」


イシルはアスを見る。


「なによ」


「お前だって無理だろ」


――本当に好きな相手なら


「……フン」


イシルの言葉が嫌なことを思い出させる。


(あ!来た来た♪)


サクラが食べた刺身の味がアスに流れ込んでくる。

美味しいものの前では全てが後回し。


(ん~、これが刺身の味、、なんなの!?このとろけるような脂は!!?次は何?)


この状態が気に入っているのだ。


今は。




アス


――――アスモデウス


ソロモンの七十二の悪魔の一人で称号は王。

利己、達成、美、自信などの概念を司る色欲の悪魔。


ある日アスモデウスは美しい人間のサラに一目惚れをした。

寄って来る男があれば、サラに取り憑き サラが結婚する度 初夜に夫を絞め殺したという。

しかしそれが7度も起きた為、サラは悪魔憑きと呼ばれるようになってしまう。

そんなサラを救うため、人に姿を変えた天使が夫となる者に助言をした。


″魚の内臓を香炉に入れておけば大丈夫だ″


サラの夫が言われた通り香炉を焚いたところ、その匂いに耐えられず アスモデウスは部屋から逃げ出した――


残忍で、傲慢な悪魔アスモデウスは 色欲の悪魔にもかかわらず 想いを寄せるサラ自身には最後まで手を出さなかったという。(トビト記より)




挿絵(By みてみん)






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