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232. 女子旅 18 (ヨーコの場合) ☆

Ichen様よりイメージ写真いただきました!(11/29)

ありがとうございます!

ロカボ嬉しい大豆粉ピザの作り方も伝授してもらいました。

後書きにてご紹介させていただいてます!




竹林に金色の光が輝く。


「何事じゃ!?」


ヨーコは自分がサクラに渡した勾玉の魔力を感じ、六人娘の身を案じて駆けつけた。


勾玉の力の中心、まばゆい光が消えるとサクラたち六人と、ロバの魔物のバログが引く荷台が姿を現す。

一人も欠けてないし、怪我もないようだ。


そんなヨーコの心配をよそに、サクラはヨーコを見つけるなり笑顔を向けた。


「宅配ピザのお届けで~す!!」


「何じゃと!?」


「焼き立てですよ!早く食べましょうよ」


なんとも素っ頓狂な言葉が帰って来た。


「お主、そのためにあの勾玉を使ったのか?」


「はい。あ、ニョッキ 朝ごはん食べた?」


サクラは寄ってきたニョッキにピザの包みを渡す。

ニョッキ達はピザを浮けとると スンスンと匂いを嗅いで、『チーズの匂いじゃ!』とはしゃぎ、てきぱきと食事スペースを作り、冷製笹茶をいれた。


「魔物や山賊に襲われたのではのうて……」


「はい。ヨーコ様も早く」


呆れるヨーコにアイリーンがなだめるように ぽん と肩を叩く。


「そういうやつよ、諦めて」


ヨーコはアイリーンに促されて 食事の輪に加わった。


そうだ。

このサクラというのは そういうやつだ。

勾玉を渡したのだって ニョッキのために サクラの身を守っていた魔物よけを解いたからではないか。


「とんだ たわけ者じゃ」


ポツリ呟いて ピザの包みをサクラから受けとる。


(イシルが手を焼くというのも頷ける)


サクラにはヨーコが解いたはずの魔物よけが再びかかっていた。

アザミ野までイシルが会いに行ったというのか。

イシルにそこまでさせるとは 本当にイシルの片想いのようだ。


ヨーコは具沢山のピザをこぼさないよう手に持ち、一口くちにした。


「まふっ、もぐっ」


なんじゃ、これは?

ピザは昔食べたことがある。

酸味のきいたトマトソースに水牛チーズにバジルが香るとても味わい深いものじゃった。


しかし、今口にしたものは明らかに違う。

ダイスカットされたジャガイモとスライス玉ねぎがごってり盛られており、少し酸味のあるソースとホワイトソースがからまる。

ベーコンの塩気とピーマンの苦味、一口食べただけなのにズシンと来るボリューム。


「はぁ///」


うっとりため息をつくヨーコにサクラが笑いかける。


「美味しいでしょ?ヨーコ様、モントレーみたいで」


「モントレー?」


「あ、えーと、、市場でその日によってあまり野菜を乗っけた珍しいピザなんですよ~、今日はジャガイモメイン。ヒナが これがいいって。ヨーコ様も食べたことないだろうからって」


もう一口。

ジャガイモにまざってダイスにされてるのはアスパラか!

もうアザミ野のほうでは出回ってるんだなと季節を感じる。


「感謝する、ヒナ。ありがとう。初めてじゃ、こんなに旨いピザは」


「サクラがあったかいうちに届けてくれたおかげです」


ヒナが照れ臭そうに笑顔を見せた。

三匹のニョッキたちも はふはふと美味しそうに食べている。


「これ、何て言う食べ物か知ってる?」


「知っておる、『ピザ』じゃろ」


アイリーンの質問に 1ニョッキ、テンコが得意気に答える。


「『ピザ』って10回言える?」


「なんじゃ、容易(たやす)い御用じゃ、ちゃんと10くらい数えられるぞ!ピザ、ピザ、ピザ」


テンコは指折り数える


「ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ!」


キツネの指は四本、テンコは全ての指をおり終え、ちゃんと二回折り返し、意気揚々だ。


「じゃあ、ここは?」


アイリーンが腕をおり、肘を突き出し指差す。


「フン、騙されんぞ!そこは……ぴじ!!」


「ぷっ、『ぴじ』?」


「あわわわ///ぴぢ、あれ?ひじぢゃ!肘!!」


「くくく、得意満々に、『ぴじ』、、」


「ぬぐっ///黙れアイリーン!!」


テンコがオトナの姿になってアイリーンの口を塞ぐが、アイリーンの笑はとまらない。


「黙らぬか!お主らも笑うな///」


まわりも 笑いに包まれている。


随分賑やかじゃな、今日は。

笑いのあるこんな日も良いものだ。


「しかし、お主らは食わんのか?」


「私達は食べてきたんです」


シャナが膝の上の2ニョッキの口を拭いてやりながら答える。


「それなのに、こんなに買うてきて……」


「『白狐』達がいるでしょう?呼んであげてください」


今度はヒナが3ニョッキに答える。


「白狐?」


これはサクラからヒナへ。


如鬼(ニョッキ)になる前の狐達です。まだ人化が上手じゃないんですが、可愛いですよ」


「ヒナは白狐は抱っこするのに 我等の事は撫でてもくれん」


今日はサクラではなく リズの膝の上に収まってる3ニョッキが恨めしそうにヒナを見る。


「……発情するからですよ」


フン、と ヒナが冷たくあしらい、3ニョッキがしゅんとする。


「あやつらは熱いものが苦手なのでな、後に食わせるとしようぞ」


ヨーコは心遣いに感謝し、礼を言う。

白狐は『犬舌』でもあるが、客人に見せられぬ食べ方をする。

ピザなど食わせれば そこらじゅうベタベタのぐちゃぐちゃじゃ。


「あ、そうだ ヨーコ様、これを」


サクラがヨーコに小さな箱を差し出してきた。

綺麗なピンクの包み紙で包まれ、リボンがかけてあり、アザミの花が添えられている。


ヨーコは丁寧にリボンをほどき、包みをひろげ、箱を開けた。


「これは……」


中には綺麗な細工の髪飾りが入っていた。


「お揃いですよ」

「アザミ野旅のお土産ですぅ」


リズとスノーが『女子旅ですから!』とはしゃぐ。

見ると、全員同じ髪飾りをつけていた。


「お主ら……」


「つけましょう、ヨーコ様」


ヒナが立ち上がり、ヨーコの髪に髪飾りをつける。


「よくお似合いです」


シャナがヨーコを褒め、ヨーコが笑みを返した。

食事を楽しみ、お茶をのみながら アザミ野町の話しに花を咲かせる。

楽しい時間はあっという間に過ぎるものだ。


「じゃあ、また来ます」


「送ろうか」


「いえ」


ヨーコの申し出にサクラがやんわり断をいれた。


「帰るまでが女子旅です。まだ旅の途中ですから」


「そうじゃな」


旅の道は のんびり話をするいい時間。

お互いを知る時間だから。


「今度は一緒に行きましょうね」


「是非に」


サクラの言葉にヨーコが微笑みを返す。


((わらわ)を誘ってくれるのか。『女子』じゃと)


少し、心があったかくなり、嬉しさに目元が熱くなった。


この者達の力になろう。

オーガの村おこしをするというのなら手を貸そう。

丁度退屈もしていたのだ。

久しぶりに『力』をつかうのもいいかもしれない……





◇◆◇◆◇





三番手、荷台を引くのは スノーの従魔、フェルスのデュークくん。

御者はもちろんスノーである。


「いっけぇ~!!」


「ひゃあ!」

「ちょっと、スノー!?」

「……」

「……酔う」

「あはは、いけー!!」


「はいぃ、とばしますぅ~」


アイリーンほどではないが、荷馬車が浮きまくって 楽しくお話しするどころではない。


「スノー!前に人が!!」

「えぇ~?」


前方に5人くらいの人影が見える。


「ちょいと待ちな……どわっ!」

「女だけで旅とは……ふごっ!」

「有り金全部……ぶふっ!」

「「ひいいぃ!!」」


「問題なしですぅ~」


山賊、轢いたよこの子……

スノーは軽快にドワーフ村へと荷馬車を走らせた。


これなら素直にヨーコの申し出を受けて送ってもらえばよかった……





Ichen様よりいただきましたジャガイモのピザです。


挿絵(By みてみん)


このピザ生地は大豆粉でつくられてます!

サクラでも食べられる(*>∀<*)

作り方も教えてくださいました~

{大豆の粉 100g / 卵Mサイズ 1個 / 水 大さじ2 / 油 小さじ1}

こねて、厚さ5㎜に伸ばして、五分程焼き固めた後、好きな具材をのっけてこんがり焼いてください!


使用材料:大豆粉、卵、水、油、塩、ジャガイモ、ニンニク、パセリ、クリームチーズ、胡椒、硬いチーズ

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― 新着の感想 ―
[良い点] ぴじ! もう復唱しちゃいました。ぴじっ! なんなのですかこのかわいい生き物は(最大級の賛辞) このひっかけ、懐かしいですね~^^ なんだかんだ言ってアイリーンさん、テンコ君を気に入って…
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