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217. 女子旅 3 (VS ニョッキ) ★

挿し絵挿入しました(10/28)

イメージ壊したくない方は画像オフ機能をお使いくださいm(_ _)m






『たけのこニョッキ、ニョッキッキ!』


「1ニョッキ!」「2ニョッキ!」「3ニョッキ!」


竹林で如鬼(ニョッキ)が現れた。

狐の耳を生やした銀髪の 陰陽師のような服を着た小人――――

ハッキリ言って、かわいい。

頭をわしゃわしゃなでくりまわし、モフいしっぽに抱きつきたい。


どうする?


→戦う

話す

脅す

かどわかす


なんだ、この選択肢は……


「とりあえず話しかけてみましょうか」


シャナがオトナの対応をみせる。


『鳴かぬなら鳴くまでまとうホトトギス』

様子を伺い、慎重に事を運び、絶好のタイミングを待つ家康タイプ。


「手っ取り早く脅せばいいんじゃない?動物には どっちが上か ハッキリさせてあげないとね」


アイリーンはヤる気だ。


『鳴かぬなら殺してしまえホトトギス』

力を以てすべてをねじ伏せる信長タイプ。


あんななにもふ可愛いのに。

サクラとしては是非ともかどわかしたい。あ、うちにはランがいた。

ケンカしちゃうかな……


『鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス』相手の懐に入り込みうまく立ち回る秀吉タイプ?


「来ないのならこちらからゆくぞ!」


意見のまとまらない秀吉(サクラ)家康(シャナ)信長(アイリーン)を前に、如鬼(ニョッキ)が攻撃を仕掛けてきた。


額に一点の赤い印と、胸に太陽の描かれた服を着ている1ニョッキのアイリーンへの攻撃!

大きなふさしっぽをふりふりアイリーンの前に躍り出た。


「我の問いに答えよ」


どうやら禅問答のようだ。


「影が10こある生き物な~んだ!」


「は?」


「ふふふ、わからんじゃろ」


1ニョッキは禅問答、、いや、なぞなぞを仕掛けてきた。


「そなたは可愛いからな、特別にヒントをやってもよいぞ?」


ふよふよと宙に浮き、1ニョッキが上から目線でアイリーンに勝ち誇った笑みを向けた。


「答えられねば我の嫁に来てもらう!」


竹に引き込まれたのはどうやら狐の嫁取りだったようだ。

ということは、倒せば出られるのか?


「我の嫁に来たくば わざと間違ってもよいのだぞ///」


1ニョッキは細い目を更に細めて ゴロニャン、ゴロニャンとアイリーンにまとわりつき、じゃれた。

可愛いな、おい。


「……トカゲよ」


「え?」


(とぉ)(かげ)()()() くだらないわ」


「はうっ!」


「バカじゃないの」


「ぐはっ!」


容赦ない言葉の刃物が1ニョッキの心をえぐっていく。


「じゃあ、あたしの番ね」


アイリーンの問答がえし!


「1ニョッキくんは1000円持って200円のリンゴを二個と150円のバナナを買いに行きました。途中で2ニョッキくんに会ってバナナを一本50円で売りました。2ニョッキくんはそのうちの一本を3ニョッキくんに70円で売り、1ニョッキくんは儲けたお金で花を一輪60円で3本買いました」


1ニョッキは頭の中でぐるぐると計算をしている。


「1000円から、200円と、200円と、150円……バナナが50円と、、」


狐は親指が退化しているので四本指。

両手で8本。

1000円から指折りで引いてもよくわからない。

つまり、計算がニガテなのだ。


「2ニョッキに売って、、あれ?」


ぐるぐるとしている。


「2ニョッキが3ニョッキに売って、70円が……んんっ?」


ぐるぐる……


「花を60円と60円と60円……」


1ニョッキがパンクしそうになったところで アイリーンが質問した。


「さて、1ニョッキ君は今、何を何個、何本持っているでしょうか?」


「は?」


アイリーンが天使の笑顔で1ニョッキに質問を繰り返す。


「何を、何個持ってる?」


「金は関係ないではないか!」


「そうね」


「3ニョッキも関係ないではないか!」


「そうね」


「そんなの、リンゴを二個と花を三本とバナナを一本に決まっとろうが!」


アイリーンが笑みを深める。


「ハズレよ」


「なんで、、」


「150円のバナナとは言ったけど、一房に()()()()()()()なんて言ってないもの」


「は?」


「だから、正解は『わかりません』よ?」


「!?」


なんて……


なんて意地の悪い質問なんだ……


孤児院(うちの子)達なら『バナナは元々何本だったの?』って聞くわ。ちゃんと人の話しは聞きなさい」


1ニョッキは目に涙をためてふるふると震える。


「あら?悔しい?泣きそうね、泣いてもいいのよ?」


アイリーンの優しい言葉が余計に涙を誘う。

1ニョッキは、ひぐっ、と唇をかみしめ耐えている。


「可哀想に、あたしが慰めてあげようか?」


「ふえぇ///」

(こんなに可愛い顔をしておるのに、なんて残酷な女子なのだ!?)


負けた相手に慰められるほど屈辱的なことはない。


「こんな意地悪な嫁は嫌じゃ~!!」


1ニョッキは″コーン″とひと鳴きすると 心を折られ、可愛らしい狐の姿に戻ってしまった。


「あたしも、バカはお断りよ」


フン、とアイリーンがニョッキ達に侮蔑の目を向ける。


「オノレ!今度は我が!」


おかっぱ頭に 額に二点の赤い印をつけ 胸に三日月を浮かべた服を着た2ニョッキが前へ出た。

二股に別れた長いしっぽをくねくねさせながらシャナに挑む。


「おののくがよい!!」


2ニョッキのシャナへの攻撃!

2ニョッキは大きく息を吸いこんだ。

そして、一気に吐き出す!


「なまむぎなまごめなまたまご!なまむぎなまごめなまたまご!!なまむぎなまごめなまたまご!!!」


早口言葉である。

2ニョッキはやりきった満足感で腰を手に仁王立ちで地に立ち、どや顔でシャナを見上げる。


「どうじゃ、言えんじゃろ?言えねば我の嫁に来てもらう!」


この子達は、、遊んでほしいのか?


「生麦生米生卵、生麦生米生卵、生麦生米生卵」


シャナは難なく涼しい顔してそれを返した。


「くっ、中々やるな、サスガは我の嫁候補!」


「私から、いいかしら?」


シャナから2ニョッキへの早口言葉攻撃!


「この竹垣に誰 竹立て掛けた?この竹垣に我 竹立て掛けた。この竹垣に我 竹立て掛けたのは、竹立て掛けたかったから 竹立て掛けたのだ」


「なんじゃ、そりゃ、、も、も一回……」


シャナは膝に手を当て、前屈みになると、小さい子にするように 2ニョッキに目線をあわせて親切にもう一度繰り返した。


「この竹垣に誰 竹立て掛けた?この竹垣に我 竹立て掛けた。この竹垣に我 竹立て掛けたのは、竹立て掛けたかったから 竹立て掛けたのだ」


「ゴクリ///」


コラ、マセガキ、お前何処を見てるんだ?

シャナのだ◯ちゅーの攻撃に2ニョッキの頭の中はピンク一色!


「ゆっくり……」


2ニョッキが真っ赤な顔でお願いし、シャナはゆっくり口を動かす。


「この竹がきに誰竹たてかけた この竹がきに我竹たてかけた この竹がきに我竹たてかけたのは 竹たてかけたかったから 竹 たてかけたのだ」


「ほわ///」


2ニョッキは早口言葉よりもシャナの赤い唇が気になるようだ。


「さあ、言って?」


2ニョッキの挑戦!!


「この竹がきに だれ たけたけたけ、、」


「……」


「たけかけたけたけ、、あぐっ」


舌かんだ。


「キュウゥ~~ン、、」


2ニョッキ、途中棄権。3ニョッキの後ろに隠れた。


「おのれ!赦さんぞ!!」


3ニョッキは三ツ又の尻尾を艶かしく揺らすと ぐぐぐっ、と 妖気をふくらませ、オトナの姿になった。





挿絵(By みてみん)





銀色にきらめく長髪をなびかせて 額に三点の赤い印を刻んだ 胸に星を掲げた服を着た3ニョッキのサクラへの攻撃!


「本領発揮じゃ!はじめからこうすればよかったのじゃ!この場で手込めにしてくれる!」


甘い香りが漂い、3ニョッキの目が妖しく光る。

辺りが暗くなり、狐火がぼうっ、と浮かび上がった。


″誘惑″


「さあ、われの元に来るがよい」


3ニョッキの誘惑攻撃!

3ニョッキは目を細めサクラへ手を伸ばすと サクラを捕えようとした。


″ピシッ″


「!?」


射るような殺気を感じて 3ニョッキは手をひっこめた。

なんだ、これは、、このまま手を出せば命が危ないと本能が知らせてくる。


イシルがサクラにかけた魔物(オトコ)避け発動!!

サクラに『誘惑』は通用しない!


「なんじゃ、お主は!何処からそんな魔力を、、」


「へ?」


サクラはわかっていないようだ。


さて、次はサクラのターン!

どうする?


→誘惑

手懐ける

かどわかす

餌付け


いや、全部一緒じゃね?

どうするかと悩んで、サクラはあることを思い出した。


「どうしたの?」


リュックをごそごそと探るサクラにアイリーンが聞く。


「これ、忘れてた」


サクラが取り出したのはお弁当箱。


「馬車で皆で食べてとイシルさんが持たせてくれたんだった。思ったより早くオーガの村に着いちゃったから出しそびれてたよ」


パカッと蓋をあけると、そこには甘く煮た()()に包まれたおいなりさんが並んでいた。


「「ふおおぉぉ///」」


3匹の如鬼(ニョッキ)が一瞬にして誘惑される。


3匹の如鬼(ニョッキ)が食べたそうにこちらを見ている。

あげますか?《→YES/NO》


サクラはお弁当箱を3ニョッキに差し出した。

サクラのニョッキへの餌付け攻撃!


「食べる?」


3ニョッキだけではなく、1ニョッキ、2ニョッキもおいなりさんに手を出した。


「「ぱくっ」」


三匹はおいなりさんを口に、顔を蕩けさせる。


「「はうーん///」」


サクラは如鬼(ニョッキ)の餌付けに成功した。


″お主ら、何をしておるのじゃ″


三匹の如鬼(ニョッキ)が再びいなり寿司に手を伸ばしかけたところで 凛とした声が竹林に響いた。


「「ヨーコ様!!」」


大本命、ヨーコ様のお出ましである。















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― 新着の感想 ―
[良い点] ニョッキちゃんたち、とんでもなく可愛いですね…… 特に「おののくがよい!」→早口言葉→途中棄権の流れはしょーもな可愛すぎて悶えました。 最後にはみんなおいなりさんで陥落。ギャンかわでござい…
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