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139. イシルの苦行

サクラを森から家へ連れ帰った時のお話です。




時は一晩(さかのぼ)り――――




サクラを森から連れ帰ったイシル。

サクラを抱えて家に帰ると、ランが何事かと飛び出してきた。


「サクラどうしたんだ?」


「ウッディチャックの巣穴で眠ってしまったみたいです」


「はぁ?」


イシルは まとわりつくランにかまわず階段を上がると、サクラを部屋へと運び、ランに着替えを用意させる。

寝るときに着るガウンのような夜着(ねまき)だ。


イシルはサクラを着替えさせるため、ベッドに座らせ、パーカーを剥ぎ、ワンピースのベルトを外すと サクラを自分の胸にもたれさせ、上からシーツでサクラをおおった。


「外に出ていてください」


イシルはランを部屋の外に出す。

ランが外に出て、扉が閉まったことを確認すると、イシルはシーツの中でサクラを着替えさせる。

手探りでサクラの両腕を服から抜き、ワンピースを下からすくいあげ、頭から脱がせた。


ぽふん、と、反動でサクラの体がイシルの胸へと飛び込んでくる。


「くっ///」


胸の中のサクラの体に反応する己の胸の高鳴りを イシルは目を閉じて落ち着かせる。


女らしい柔らかな体が 重力をもってイシルに沈み込んできて、素肌の温もりを伝えてくる。胸の膨らみ、甘い匂い、曲線を描くシーツの中の下着姿のシルエット……

ああ、駄目だ。目を閉じると余計にサクラを感じてしまい、掻き立てられた。薮蛇だ。


「……はぁ」


落ち着こう。頭を空にして――――


イシルはシーツの中に手を滑らせると、手探りでサクラに夜着(ねまき)を羽織らせた。

腕をつかみ、袖を通すと、どうしても サクラの素肌に触れてしまう。


「ふぅ……」


イシルは大きく息を吐く。


次は、今世紀最大の難関である。

失敗すれば サクラを押し倒してしまうだろう。

そんなことはしたくない。

したいけど、したくない。


イシルは夜着(ねまき)のボタンをとめようとして サクラの胸元に手をまわす。

夜着(ねまき)の合わせを持ち、サクラの胸の前でひき合わせる。


″ぷにっ″


手首に柔らかな弾力を感じる。


「っ///」


気にするな、

気にしたら敗けだ

大丈夫、

あとはボタンをとめるだけ!


″コツン″


サクラが少し傾き、イシルの手に固いものが触れた。

イシルは小さな金属音と共に()()をすくい上げる。


″シャラッ″


小さなティアドロップの中に白い薔薇が一輪。

それはローズの街でイシルがサクラにあげた首飾りだった。


「つけていたんだ……」


嬉しかった。

そして、愛しさで胸がいっぱいになり、溢れる。


サクラの姿をしたオモイダケが語った言葉が 目の前のサクラとリンクする。


″好きです″


″イシルさんが、好き″


″大っ好きなんです″


″誰にも渡したくなんかないんです″


″隣にいたい″


″側にいたい″


″抱きしめたい″


″キスしたい″


「僕も……同じ気持です」


イシルはシーツでくるんだサクラの胸元に顔を寄せると、サクラの心臓(ココロ)に 唇で触れた。


ぴちゅっ……″


しっとりと唇に馴染む肌を舌で濡らしながら、薄く唇を開けて 密着させる。


″ちゅうっ……″


ゆっくりと吸い上げると、サクラの白い肌が 唇の形に朱く染まる。


イシルの唇の刻印


消えないように、同じ場所に もう一度くちづけた。


″ちゅ……″


己の気持ちを唇にのせて、ゆっくりと 朱の色を深める。


離れがたくて、重ねて もう一度……


″ちゅ……″


『好きだ』


サクラの胸元の(シルシ)が更に朱く刻まれた。


唇に サクラの肌の弾力が乗り、すべやかにイシルをその先へと誘い、押し上げていく――――


″ドンドンドン″


「イシル、まだかよー」


ドアの向こうでランがしびれを切らしてわめきだした。


「はぁ……」


危なかった。


(今日ばかりはランディアに感謝だな)


イシルはサクラの夜着(ねまき)のボタンを止める


″ぷにっ″


「くっ///」


背後では追いたてるようにランがドアを連打している。

目の前では 無邪気な寝顔で サクラと サクラの二つの膨らみがイシルを誘う。


どんな魔物よりも手強い!!


イシルは 半ばやけくそにボタンを止めてしまうと、サクラをベッドに寝かせ、毛布をかけた。


″バァァ……ン″


「ドアを壊す気ですか」


「イシルが、鍵なんかかけるからだろ」


「サクラさんは寝てますから静かにしてください」


「なんもしてねーだろーな」


「最大限努力しましたよ」


「ホントかよ……」


努力はした。無理だっただけだ。


「少し出かけてきます」


「どこ行くんだよ、オレの飯は?」


「用意してから行きますよ。お風呂は入ったんですか?」


「おう!」


「嘘ですね」


イシルはランを風呂場にぶちこむと ランの食事をつくり、出かけていった。


ランが風呂からでると、テーブルの上に鉄板と 生肉が乗っていた。

自分(テメー)で焼け と。


「オレの扱い雑すぎるだろ!クソジジイ!」


肉、好きだけどね。一人焼き肉ってさ、ちょっぴり切ないランでした。

イシルが、どこに行ったかって?


アスの所に戦闘(うんどう)しに行きましたよ。

イシルが本気で戦えるのは 今のところアスだけですからね。







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