表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/25

第17話 合流

 アリッサと合流した俺は、まず始めに待ち合わせ場所に居れなかったことを謝罪した……のだが、アリッサは一切嫌な顔せず許してくれた。


 そう、許してもらえたのだ。

 アリッサは女神なのかも知れない。


 流石にそれは悪い気がして何度も謝らせて頂いた。

 だが、アリッサは自分に親衛隊なんてものがあるのが恥ずかしかったらしく、終始顔を朱に染めていた。かわいい。


 そんなことを考えながらふと横を見てみると、アリッサが顎に手を当てながらボソボソ何かを呟いていることに気づく。



「エマさん達にラゼルくんのことを知られたのは不味いかもしれない……。ラゼルくんは格好良くて優しくて素敵でイケメンだしもしかしたら、なんてことも……」



 あまりにも小さな声で聞き取れはしなかったが、今俺のことを話していた……よな?



「ごめん、聞き取れなかった。申し訳ないけどもう一回言ってもらえる?」

「んくっ!?や、やだなぁ〜ラゼルくん。私ナニモ言ッテナイヨ?」



 え?絶対に何か言っていたと思うんだけど……。

 まぁ本人が触れて欲しくなさそうにしてるし、アリッサには悪いことしたから聞かなかったことにして別の話題を振るか。



「そういえばなんだけど、仮想世界(バーチャルワールド)には機能制限があるんだな」



 やはり触れて欲しくなったのか、アリッサは食い気味に返事をしてきた。



「ま、まあ時代に革命を起こすって言われてるレベルの魔道具だからね。模擬戦は等級(レベル)10を超えたら利用できる筈だよ」

「れ、等級(レベル)10!?等級(レベル)10って言ったらDランク冒険者になれるかどうかってくらいの等級(レベル)じゃねーか!?」



 マジか!?

 そんな等級(レベル)になるまで学校が支援してくれるってのか!?

 さ、流石は天下のグラントーレだぜ……



「あの、勘違いしてるみたいだけど、エマさん達の等級(レベル)は確か3だったはずだよ」



 ん?エマ達の等級(レベル)が3?

 もしそうなら、エマ達も仮想世界(バーチャルワールド)が使えないんじゃ……?

 だが、あいつらは俺みたいに[利用条件を満たしてません]なんて言われてなかっただろうし、もし言われていたとしてもそれならそれで俺は今ここに居ることはなかったはずだ。

 俺の抱いた疑問に答えるようにアリッサが説明をしてくれた。


「エマさん達が仮想世界(バーチャルワールド)を使えるのは『グラントーレ』に通う生徒とその教師全員に特別許可が出ているからだね」

「特別許可?」

「簡単に言うと機能制限の免除だね」

「なるほどな。だからあいつらは仮想世界(バーチャルワールド)を当たり前のように使えて、俺だけが使えなかったって訳か」



 そうなるとあいつらはこの制限を免除するシステムのことを知らなかったってことか……

 だが、そう考えるとあいつらは俺とアリッサの関係や、俺が《グラントーレ》に来た訳もわかっていないのにも関わらず、俺に突っかかってきて、無駄に俺の時間だけを奪ったってことになるのか……



(よし、今度会ったら覚えていろよ…。絶対目に物見せてやるからな!エマ!キャシー!ご、ごる、・・・・・ゴリラ!!)



 密かにアリッサ親衛隊3人組に仕返しをしようと決意した俺だった。



「ーールくん!ラゼルくん!!ちょっと聞いてる!?」

「っと悪い、ちょっと考え事してて聞いてなかった。スマン」

「そんなことだろうと思った。ほら見えてきたよ」



 見えてきた?見えてきたって一体なにが……


 アリッサのいう見えてきたモノに皆目見当もつかない俺は辺りを見渡してみる。

 だが、アリッサがいう見えてきたモノが何なのか俺には見当もつかなかった。



「・・・嘘でしょラゼルくん。ほらあれだよ。あれ!」



 嘘でしょとはなんだ嘘でしょとは。

 流石の俺でも来たことのない街で突然「見えてきたよ!」とだけ言われても分からない。

 そう言いながらアリッサはある建物へと指を指していた。

 その建物の入り口の上にはある施設をイメージしたマークが刻まれていて……


 そこまでして、ようやく俺は何が見えてきたのか理解した。

 アリッサが「嘘でしょ」と言いたい気持ちも今では完全に分かった。

 まあ確かに「嘘でしょ」ってなるよな。


 

 アリッサが指差していた建物は、俺が幼い頃から目指していた夢を叶えるには欠かせない施設、冒険者組合(ギルド)だったのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ