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第12話 クセの強い三人組

「ちょっと。聞いているの?私たちはあなたに話しかけているの」

「聞いてるよ。それで一体俺に何の御用で?」



 アリッサを待っている際に見知らぬ女3人組に声を掛けられた俺は、その3人組に連れられ声を掛けられた辺りから少し離れた路地裏へと来ていた。


 最初こそは「人違いでは?」だとか「何処かでお会いしましたっけ?」などといった返しをしていたのだが、向こうからしては人違いではなく、俺に話しかけてきたようで「うるさいわね!あなたに話しかけてるって言ってるでしょ!」の一点張りで、なくなく話をする羽目となったのだ。

 その際に「ここだと少し目立つわね」と言われ、この陽の光があまり通らないこのジメジメとした路地裏へと連行されたという訳だ。


 勿論、俺に話しかけてきたこの女たちのことなんてバルジ初心者の俺が知るはずもない。

 そのためこの3人組が俺に何の用があって話しかけてきたのかも分からないのだ。

 俺は名前も知らない女の子から突然声を掛けられるほど、イケてる面構えをしていると言う訳でもない。

 俺の顔はよく言っても平均的だ。そういえばランオに住んでいた頃に両親があんなにもイケメンと美人なのにどうしてこんなに平凡な顔付きをしているんだってよく言われたっけ……。

 ……嫌なことを思い出してしまった。



「分からないの?あんたごときがアリッサ様と話してはいけないの。アリッサ様の職業(クラス)を知っていて?」


 

 俺が話を理解していないとでも思ったのか、この女の声は少し苛立ったような声になっていた。

 これからされるであろう話はなんとなく予想出来ていたのだが、そういった素振りを俺が一切見せなかったからこの女は勘違いをしてしまったのだろう。

 知らない奴相手に感情を悟られるようではまだまだだとガルフ爺ちゃんに育てられたからな。

 まあ、そんなことを考えているような時でもないか。お相手さん方は何も話そうとしない俺を見てさらに苛立ってきているようだし。



「……賢者だろ?勿論知っているさ。だが、それが俺とアリッサが会話しちゃいけない理由にはならないんじゃないか?」

「そう、それよ!あんたアリッサ様を呼び捨てにして……!なんなの!?アリッサ様とあんなにも親しげに話すなんて……!この不届き者!!キィ〜!!」



 俺がアリッサと親しく話していた……って一体いつから見てたんだよ。

 初対面なのに不届き者扱いとかするし、かなり失礼な奴だな。

 しかも、キィ〜って……本当に言う人間いたんだ。正直物語の中だけの存在だと思っていたんだが……



「俺とアリッサが仲よかったらどうかするのか?というか、さっきからアンタしか喋らないけど、後ろの二人はなんなんだ?」



 先程から一言も喋らないから怖いんだが。特に左側の人がゴリラみたいな見た目をしているから特に怖い。腕とか簡単に引きちぎりそうな筋肉量してるんだけど。



「ふっふっふっ、よくぞ聞いてくれたわねアリッサ様に近づく不届き者!この二人は【アリッサ様親衛隊】のメンバーのキャシーとゴルゥラ!!」



 不届き者だとかアリッサ親衛隊だとかいろいろ気になる所はあるが、取り敢えずどっちがゴルゥラさんなのかはわかった。



「そしてこの私がそのリーダーであるエマ!」



 先程から話し掛けていた失礼な女(エマ)がそう名乗ると、ゴリラっぽくない方の人が控えめに手を挙げる。



「あ、あたしがキャシーっす。ヨロシクー」



 やっぱね。そうだと思ったよ。

 キャシーさんの名乗りに続くようにゴルゥラさんも手を挙げーー



「ウホッホウ。ウホッホホォーウ」



 と言った。



























「いや、分からないよ!?何を言ってるかはなんとなく分かるけど、何ていったのかは分からないよ!?」

「ウホ?」



 見た目だけじゃなくて中身もゴリラなの!?見た目はゴリラ、中身もゴリラならもうそれはゴリラじゃん!



「あはは、そうっすよねぇ〜……えっと、コレはゴルゥラっす」

「ウホウホ!ウホ!」



 そうよ!私がゴルゥラよ!とでも言っているのだろうか?流石の俺もゴリラ語は分からないしそんな言語があるのかどうかすら知らないのだが。



「……それで?あんたは何の目的があってアリッサ様に近づいたの?」



 エマとかいうリーダーの女が俺の混乱を察したのか、仕切り直すかのように俺に切り込む。



「アリッサはただの幼なーー」

「そんなの関係ないわ」



 聞けよ。聞いたなのなら聞けよ。一体何のために聞いたんだよ。

 嫌がらせか?嫌がらせなのか?時間を無駄にさせようとしてるのか?



「どうせあなたもアリッサ様についてる悪い虫なんでしょう?そんな悪い虫のあんたが本当のことを言うとも思えない」



 そう俺に言ったエマはある建物を指差しながらこう言った。



「私と勝負しなさい」

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