01.クッコ、お宝を見つける
ほのぼの欠乏症が発症し、勢いで書きました。
1章は20話程度で毎日投稿予定。
以降は完全不定期です。
子豚のクッコローゼには髪の毛がある。
母親譲りのふわふわした金髪は、クッコローゼの唯一のチャームポイントだけれど、上向きの鼻に小さな目、短い体毛に覆われたピンク色のコロコロの体とは、どう見たって不釣り合いだから、首の付け根辺りで切り揃えている。
何より、クッコローゼは森の中で一人で暮らしているから、長い髪の毛なんて邪魔以外の何物でもない。
幼くたって女の子だけれど、おしゃれよりも生きていく方がよっぽど大事で重要だ。
だから髪の毛は短くていいし、クッコローゼなんて長い名前も、短くクッコと略したらいい。
「今日は大量だったな。罠には角兎がかかってたし、ネバ芋も掘れた。アッケの実にキノコもなんて。この辺りは森狼の縄張りだから、ゴブリンにもオークにも荒らされてなくて穴場だね!」
地味な緑のフードを目深に被り、収穫物をこぼれそうなほど詰め込んだ背負い籠と手作りの弓を担いで、テッテコと帰り道を急ぐクッコ。
この辺りは、森狼たちの縄張りなのだ。
アイツらは群れで行動するし、とってもしつこいから、絶対に会いたくはない。
上手いぐあいに木登りをして、木の上から狙撃すれば倒せなくはないけれど、肉は臭くて硬い上にちょっぴりしか付いていないから、戦うだけ無駄なのだ。
「《木々の騒めき、梢のお喋り。教えて、森の噂話》。
……うん、この辺に森狼はいないね。って、あれはなに?」
手近な大木にコツンと額を当てて、クッコが唱えた呪文、『森の噂話』は木々を介して周囲の情報を得る探索魔法だ。この魔法があるからこそ、森狼の縄張りで奴らの巡回コースを避けて採取活動ができるのだ。それでも、奴らは鼻が利くから、さっさと帰るに越したことはないのだけれど。
「うーん。あれを放っておくのはもったいないかも」
クッコは偶然見つけたお宝を回収するため、茂みを掻き分け進んでいった。
クッコのヒミツ:クッコの見た目は二足歩行する子豚さんだよ。自分で作ったお洋服を着ているよ。